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猫・タヌの話 いわなの郷物語

イワナくてもわかると思いますが、
フィクションです。

今回は800字弱。


吾輩は猫である。
名前はまだない
と言いたいが、タヌとつけられてしまった。
もう単純な名前をつけられたものだ。
タヌキに似てるからなんて
全く迷惑な話だ。

でも、ここの人たちも嫌いじゃないから
そんな嫌な顔もしたくない。

いわなの郷に住み着いてもう10年。
人がいない時代もあったけど、
この夏は
ずいぶん人が来た。

なんとかウィルスとかで
口の前に何やらおかしげなものをつけたり
シュッシュとか言って
手にかけたりして
人間のやることはよくわからない。

熱い思いをして
ここの魚を焼いて
うまい
うまいと

喜んでいる。


たまに
おこぼれを預かるが
無理に食べさせようとしてくる。

腹が減ってたら食べてあげている。
子供はそれで喜ぶんだから
単純だ。

それでも食べられない時は
がっかりされるけど
無理はできない。

喜ばれるとうれしいけど
我々にとっては大事なことではない。

寝ていると変にさわってくるのも
困るけど
さわられてもなんてことはないから
構わずさわらせている。

いわなの郷で働く人は
なんか喜んでくれてるようだ。

まあ
最近は若い(猫)のがずいぶん入ってきたから
食えるのだから十分だ。

今の若いもんは
人を恐れすぎてるね。

人間はそんな怖いもんでもないのに。

人間も大変だ。
放射能がどうのと言って引っ越して
また戻ってきて
つまらない話を延々としている。

人間がいた方が
いわなも増えるから
人間とも距離をとって生きている。

今頃になって人間は
ソーシャルディスタンスなんて言ってるけど
我々猫は
昔からそれで生きてきたのにね。


吾輩は猫である。
名前はタヌとつけられた。
人間に。

その人間のことをまだ聞きたいのかい?

じゃあ一眠りするから
それからにさせておくれ。

写真(2020-09-03 13.21)

普段しゃべらないので
ずいぶん疲れたよ。

君も
なんか疲れた顔してるよ。

ちょっと休んではどうだい?

じゃあ
おやすみなさい。




今日もお読み頂き、
ありがとうございました。

ご縁に感謝です。サポート頂いたら、今後の学習投資に使わせて頂きます。