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繰延資産の別表十六(六)

先日、とある方が作成した法人税の申告書をみていて気になることがあった。
繰延資産の別表十六(六)に保険料の前払費用が載っていたのだ。

ん?保険料の前払いって繰延資産の別表に載ってたらおかしくない…?

結論、保険料の前払いは、繰延資産の別表に載らない。
当たり前のようだけど混乱したのは、
税法上の繰延資産を、会計上は「長期前払費用」と処理するからなのかもしれない。

下記、簡単に調べたことをまとめてみる。

税法上の繰延資産とは、

「法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう(法法2条24号)。」

「法第二条第二十四号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、法人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする(法令14条1項)。」
 1.創立費
 2.開業費
 3.開発費
 4.株式交付費
 5.社債等発行費
 6.前各号に掲げるもののほか、次に掲げる費用で支出の効果がその支出日以後一年以上に及ぶもの
  イ 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
  ロ 資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ち退き料その他の費用
  ハ 役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
  二 製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
  ホ イからニまでに掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用

条文の引用が長くなったけれど、
やはり、「前払費用は除く」と明記されている。

ちなみに…前払費用とは、
「法人が一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出する費用のうち、その支出する日の属する事業年度終了の日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう(法令14条2項)。」

別表十六(六)「繰延資産の償却額の計算に関する明細書」について

国税庁のHPによると、
この明細書は、税法上の繰延資産について、当期の償却費として損金経理をした金額がある場合に使用する。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/tebiki2013/pdf/20.pdf

したがって、保険の前払費用は、税法上の繰延資産に該当せず、
別表十六(六)には記載する必要がない。


以上、うまくまとめられなかったけれど、
こうして書く練習をすることで
疑問点を調べ、整理する力も少しずつついてくると信じ、
なるべく定期的に更新していきたい。

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