鈴木萌花 劇団TEAM-ODAC第36回本公演 ダルマ2021(6/5 6/8)観賞記

小生が、2014年11月23日にお披露目されてから約1年弱経ってから応援し始めたスターダストプラネット(当時はスターダストプロモーションの制作3部)のアイドル・3Bjuniorの結成時は26人。そこから、2018年11月3日の事実上の解散から、この世界自体から(今までのところ)去った者、別の事務所に所属やフリーランスとして活動をする者、同じスターダストプロモーションには残りながら俳優としてすでに数作品に出演する者、未だ舞台には立っていない者、そして、今もスタプラ内のアイドルとして活動する者としては現在9人。なんだかんだ3分の1も在籍しているのは、この新コロ禍の活動減少期を考えたら、むしろよく残っている方かもしれないね。
その9人の中で、アイドル活動のみならずギタリストとしての腕もあり、さらには俳優としても舞台に2度立っていて、総合的な芸能のキャリアとしては1、2を争うと言ってよいだろう、アメフラっシの鈴木萌花・もえちんが、6月3日から6月8日まで、ここ、

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浅草花劇場での舞台「ダルマ2021」という作品に出演していて、小生は5日マチネの3公演目と、8日千秋楽(昼の1公演のみ)を観賞したので、こちらはネタバレない素人の主観まみれのレポとして書き下ろし。

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浅草といえば、もえちんにとっては、アイドルとしては早い段階で1000人規模の会場としてライブをした、あの浅草公会堂が思い出されただろうが、残念ながら、

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現在改装工事中で、あの時の姿を見ることは叶わず。そこを横目にさらに4~5分ほどゆっくりと歩いてゆけば、あの「浅草花やしき」の手前に、まるで入口として勘違いしそうな佇まいを見せているのが当劇場。小生は行けなかったが、あの、いぎなり東北産がこの4月に2日間公演したそうだね。いかにも大衆演劇が似合うハコながら、いやいや、本作品はTEAM ODACという劇団の十八番らしい歴史ある作品で、確かここの重鎮の伊東大樹さんが、アメフラ(スタダ)の誰かと懇意で、あの、「アメフラっシの公開げいこ」にゲストで来ていただいて、そこから、もえちんと愛来の、ODACの関係劇団たる「五反田タイガー」出演のご縁ができたんだったよね(適当)。そしてこの作品、前記事の、舞台「ワタシタチのキョリ」でもちょこっと触れたけど、それと同じように"生と死"がテーマであり、この、

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パンフレットには、ワタキョの15人が時間かけて演じていた「生きるとはなにか?」を、

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こうして演者に聞いちゃってるんだもの。
でも、小生実はもっと別のところにも注目があって、それは、

男女混合の演劇

ということ。

お前学校のフォークダンスで、女の子と手が触れあうだけで、もう愛だの恋だの妄想してただろ?

ん、いいえ。小生の場合は、手を触れられたら、女の子が嫌だろうから、ずる休みしていたよ。(半分実話)

話を戻します!(By 石村スズエ(ワタシタチのキョリより))
3Bjuniorで演劇の舞台に立った者のうち、
葉月智子・小田垣陽菜・澪風
に続く4人目(ただし、サムライロックオーケストラの、高井千帆、愛来や、ももクロ一座の出演は含めない)が、現役アイドルのもえちんですよ。しかも、出演者がね、主役のダルマを演じる、高品雄基さんを始め、20代~30代の、いかにも舞台に勤しむという成年が多くて、

おぢさん、3Bjunior関係者初の、スキャンダルを懸念したのよ!

という心配は実は10%ほどだけど(あるのかよwww)、やはりこれまでの女性演劇とは違う声量や目線、距離や間合いの取り方や、殺陣が主体のアクション活劇という一歩間違えば共演者の怪我に繋がる緊張感が稽古中からみなぎる現場というのが、もえちんにいかなる洗礼を浴びせるかが注目でしてね。出演女性陣は、ヒロインのエキナ役の多田愛佳さん、静音役の清水麻璃亜さん、ユキノ役の飯塚理恵さん、蘭役の清水佐紀さん、サツキ役の諸塚香奈実さんなど、すでに共演しているので、人見知りタイプだろうもえちんもここは安心だろうが、男優陣に、役者としては3作品目の新米がどうぶつかっていったんでしょうか?5日は12:00、そして今日千秋楽は14:00に、上演のブザーが鳴り響く!

・あらすじ

自然災害や自ら同士の争いで、200万年に及んだ人間社会に幕を下ろそうとしている世界。力だけが一番である弱肉強食の世にあって、ただ命ぜられるままに罪なき者を斬り捨ててきたダルマは、ある日「樹海から外の世界へ出てきた」という、天馬(馬越琢己)を斬ろうとする。賢明に命乞いをする天馬だが、自ら落とした小さなオルゴールをダルマに取られると一変、命よりも大事と言わんばかりに返してくれ、と乞うテーマ彼に何か不思議なものを感じて逃がす。それを見逃さない殺戮集団の頭目・黒田(平田裕一郎)と堤(益永拓弥)、迅(渡邉響)、木与羅(澤田征士郎)、中木(小林知史)、安田(森遼)、俊忠(壱岐翼)、高次(坂上翔麻)の一味はダルマを囲むが、俺は(組織を)抜ける、と宣言し、黒田と刃を交わす。

集団の追撃を交わし一人、あの天馬という男がやって来たという樹海に逃げ込んだダルマだが、出口のないその世界に体力を奪われ意識を失い、命尽きかけたその時、あの天馬とその幼なじみのエキナの声に意識を戻すが、殺戮人間の性だろうか、エキナに刃を向けてしまい、彼女はダルマに激しい憎悪を向ける。命の恩人だから、とエキナを説き伏せ天馬はダルマを、樹海でひっそりと身を寄せ生活を営む自分の村に引き入れる。

村では、長である天神(小西啓太)、料理番の源太(林勇輝)、かつて外界で看護師だったというサツキ、ある時を境に「オカマ」として生き変わったた高次(草野博紀)とその妻の蘭、身体は強くないが剣術で村を守りたいという弧次郎(三井淳平)、以前はある国のお嬢様であったという静音、そして、明るく元気ながらも、人の発言にいちいち突っ込みを入れるものの、自身の役割である洗濯番は何かとさぼりがちなコト(鈴木萌花)が、の許可により迎えられ、意識を回復するまでになったダルマを、新たな家族として歓迎するが、エキナはただ一人依然憎悪を消せないでいた。

この村にはこの他にも住人がいて、食料調達で、笹治(和田泰右、7日と8日は金城和己)、羽賀(松本祐一)、そして、かつては静音に仕える執事であったというユキが、2人に従いて出かけていた。二人がユキノの体形等を弄っては、それに彼女が怒りながらを繰り返す道中の一行だが、彼女は、まもなく誕生日を迎える静音のために、2人の故郷の海岸に生息する貝殻を贈るために笹治らに従いてきたのかだが、どうも笹治と羽賀は、このところ樹海への出入に迷いがち。そのうちただならぬ気配を感じて身を隠せば、現れたのは、あの黒田の一味。どこで捕らえたか、飼い犬のように首輪を繋いだ女性・峯(片瀬なゆき)をいたぶりダルマ殺戮に執念を燃やす黒田。凶悪な一味をやり過ごした3人は懸命に村へと急ぐ。

その頃村では、闘うことしか知らずにいたダルマが、サツキの傷の手当を受けたり、源太の燃料の木の伐採やコトの洗濯を手伝いながら人間らしい生活に徐々に慣れる中で、自分のこれまでの生きてきた意味はなんであったかを問い直す。そんなダルマを友達だと呼ぶ天馬は、実は幼なじみのエキナを愛しているのだが、エキナにはその思いがなかなか届かない。欲しければ奪えばいい、かつてそうしていくつもの命を奪ってきたダルマには、そう答える術しかなかった。

そんなダルマに、あんたは意外におしゃべりなんだね、と、当初の憎悪、血の匂いを毛嫌いしていたエキナは、ある時自分の出自、次から次へと男に売られて、死ぬためにこの樹海へやってきたが、死を前に空腹で鳴るお腹の「生」の動きに勝てないまま、いつしか生きることを選んだことをダルマに話すと、殺戮マシンの自分がどこかに夢見ていた母親の存在を実感できたとエキナに伝え感謝する。その姿に、これまでの彼への憎悪が徐々に和らいでゆき、ダルマもまた、自分だけ何もしないのは良くないと、水汲みなどで進んでエキナに協力するうちに、やがてその仲は、恋を感じさせるものに昇華してゆくのだが、ふとその2人の肩寄せ合う姿を目撃した天馬は何か胸騒ぎを覚えたのか、徐々にダルマに対して、別の感情を抱くことになる。また、弧次郎に剣術の指南を求められるダルマも、弱い者は強がるなと、完全には闘争本能を捨て去ることができないように、運命の歯車が何か嚙み合わなくなり始めていた。

一方、完全に道に迷ったユキノら一行は、再び禍々しい気配を感じ急ぎ崖下に身を隠すと、いまだダルマ追撃を止めない黒田一味が現れるが、配下の者たちは樹海を彷徨う時の経過と空腹に消耗している。そこで黒田は、ご馳走を与えてやろうと、あの奴隷のように扱っていた峯を、こともなげに撃ち殺して、食えよ、と命じ、群がる配下達。その様を目にした3人はいよいよ身の危険を認識、村への帰路を探る。

そんな危険な兆候に毒されたのだろうか、ある時天馬が、一人のエキナに対して、改めて好きである、お前が欲しいと迫るが、私はモノじゃないと激しく激怒するエキナ。ここにダルマへの怒りが芽生えてしまった天馬は、お前がそう言ったんだというべくエキナを強引に倒して我がモノとしようとするが、静音の誕生祝で狩りから戻る途中の弧次郎に見咎められ、なおかつ遅れてやってきたダルマにはっきり憎悪を口にして立ち去る天馬。結局自分は禍の元凶なのかとその眼が悲しんだ時、平次の「みんな逃げなきゃ!村が、村が襲われたの!」との叫びが轟く。

果たして村では、黒田一味の配下が、村の食料を食い尽くし、天神らを縛り上げている。そこにサツキも捕らえられ、源太以外の、外出していない村人は全員が拘束。そこに、同じく捕らえられた天馬が連れてこられると、こいつはあの時ダルマが逃がした男だと気づかれて、黒田はダルマの居場所を言わなければ一人ずつ村人を殺すと脅迫。すでにダルマ憎しに染まる天馬は、その生存を口にすると、「村の危機では一人でも多く逃げろ」という掟に反した天馬を窘める天神ら。黒田は、天馬に、トランシーバーを手渡し、見つけて報告しろ、それで7村人の命は保証すると約束して、天馬は再びダルマを探しに飛び出る。

ダルマ、エキナ、弧次郎、平次の4人は、あの天神の掟に従い村を捨て逃げるのだが、これで良いのかと問う弧次郎に、エキナは強く、それがみんなの望みでもあるからと主張するが、そこを天馬に追いつかれてしまう。そんな天馬を途中で見つけて追っていたユキノも合流したところで、黒田からトランシーバー越しに、時間がかかってるのでひとりずつ殺して行くとの声が。天馬がダルマを見つけたことを報じると、ダルマに「お前は所詮俺と同じ殺しが大好きな人間、闘えよ!」と挑発しながら、天馬には、約束は破るものだと言い捨てて、村人をいたぶり始める。逃げるんだよみんな!と叫ぶコトをクソガキ黙れと蹴り、ユキノに、自分に内緒で出かけたことを怒ってると伝えてと声を貼る静音を蔑み、高次に、死んだ娘と私の分まで生きて(高次は、娘を亡くしてから、その娘の分も生きるという意味でオカマとなったのだった)と叫ぶ蘭、姉のように慕っていた弧次郎に、とにかく逃げてと訴えるサツキ等を嘲笑い、そして天神を立たせて見せしめのように銃を向けて発砲、うずくまる天神。その音が途絶えて項垂れるダルマ等。お前のせいだとダルマを詰り、自責から再び村へと戻る天馬。静音を助けてくださいと懇願するユキノ。所詮自分は勘違いしていた、ただの殺人マシンと受け入れたダルマが向かおうとするが、必死に止めるエキナ。その時、そんなことだろうと思った、と声がすれば、そう、唯一捕らわれから逃れた源太が、持ち出していた袋を広げれば、数々の刀。そこにはダルマの、あの血をたくさん吸い込んでいる刀も加わっていて、近くで成り行きをみていた笹治と羽賀を呼び出し、ルールは変更だとして、村人救出に動く。命を無駄にするなと、自分ひとり行くつもりのダルマに、死にに行かない、みんなを助けに行くという源太を先頭に村に戻る笹治、羽賀、弧太郎。ダルマはエキナに、あのオルゴールを天馬に返すように頼み、初めて人を助けるために何かをする、みんなを助けたい(たとえそれが人殺しでも)と言い残して向かう。そして、今から俺は男に戻ると、最後に向かった平次らの背中に向けて、エキナは、みんなを助けて・・・。彼女もまた、仲間の死を越えてまで逃げることを受け入れていたわけではなかったのだ。

まずは先に天馬が村に戻ると、辛うじて一命は取り留めていた天神に安心するもつかの間、まさに殺戮が始まろうとしていたその時にでダルマが駆け付けると、待っていたと恍惚のような喜びを浮かべる黒田。かくして全面対決の火ぶたが切って落とされる。ダルマの太刀裁き、応戦する黒田の配下、なるほど剣の腕は確かな笹治と羽賀。その援護を受けて、首尾よく村人の元までたどり着いた弧次郎が縄を解き放つと、女性陣を守りながら後退する村人たちと、それを追う黒田の配下。蘭と平次夫妻は、平次が浅い傷を負うものの、配下にも致命傷は与えないで戦力をそいで逃げることに成功。弧次郎、サツキ、コトを、なんと木の棒ひとつで防御に専念する相当の達人ぶりを見せる源太。コトも、木刀を持ち応戦し始めた弧太郎から譲り受けた、料理のお玉で黒田配下の脳天に見事なダメージを負わせる。しかしあわや源太もこれまでか、という時にダルマが間に合い、配下らを引き付けて4人を救う。ダルマの強さを認める源太に対して、そのダルマを畏敬して続こうとした弧次郎を、止めなさい生きるの!と窘め平手を打ち抱きしめる、姉替わりのサツキ。源太も、同じように手を広げて、コトを迎えようとするが、ふんっ!と鼻であしらわれて、恥ずかしい~と下がってゆく源太であった。

さて、もう一組の静音とユキノにも黒田配下の追手が立ちはだかるが、ここは笹治と羽賀が応戦。お互い致命傷を与えるまでにはゆかず一進一退というところで目の前の敵にかかるのが手一杯。そんなときに運悪いことに現れたのが、なんと黒田。誰にしようかな、といよいよ殺戮を愉しむ表情を惜しまないその眼が、お前だ!と照準を合わせて銃声を轟かせれば、倒れたのは静音。笑い声を残して立ち去る黒田に、あと一歩間に合わなかったダルマが目にしたのは、すでに忌の際であった静音の声。勝手に出かけたことをユキノに直接叱ると、もう執事は止めて自分のために生きてと願う。その静音に、故郷の貝殻を渡せたユキノに、感謝を込めながら息を引き取った静音。大丈夫です、私は常に静音様のお傍に、と言い残して、あの源太が包んでいた袋にあった短刀を心臓に一突きして静音の後を追う。ようやく配下を振り払った笹治と羽賀駆け寄るも既に物言わぬ2人。ダルマを襲う絶望感。

そのダルマをいよいよ追い詰めた黒田の配下。次々に襲い掛かる刃を交わして、一人ずつに致命傷を負わせて徐々にその数は減り、最後のひとりを仕留める寸前で現れた黒田。助けを求める配下を、邪魔するなというように撃ち殺して、さあ、闘おうぜと言わんばかりの恍惚とした笑みの黒田に、もう止めないかと頼むダルマ。同じ血に飢えた同類が!と意に介さない黒田が襲い掛かりると、お互い致命傷を与えるまでには至らないがかなりの傷を受ける。俺たちは力で奪ってきた、力で殺せと言う黒田に、俺は違う(変わった)と叫ぶダルマ。黒田の一砲を受けるが、これも致命傷とはならず、ついにその剣が黒田の首筋を捉えて左右に一太刀ずつ振り払えば、最後まで恍惚とした喜びに近い表情を残して絶命した黒田であった。

ようやく黒田の呪縛から解放されたダルマが、息を整えるその時に、背後から一発の銃声が。それは黒田の落としたあの銃をダルマに向けていた天馬が放ったもの。ダルマは、お前に救われたと感謝し、半ばそのまま撃たれても良いと言わんばかりに戦意を見せない。全部奪った憎いお前が憎い、と二発、三発と連射するが、まるで真意は別にあるというように命中しない弾道。お前は友達だと、撃たれることを受け入れたように抵抗しないダルマを前に、いよいよ躊躇いを振りほどいてもう一発と天馬が構えたその時、背後から、キラリと光るナイフが天馬の背を貫く。それは、エキナの一突きであった。

駆け寄るダルマ、我に返ったようなエキナ。天馬は二人にすまなかった、欲をかいちゃった、と詫びて、自分を止めるための一突きだったことをエキナに感謝。そして、友達だと言ってくれたことを裏切ってすまなかったと最後までダルマに謝りながら、しかしその一突きは致命傷を与えており、そのまま天馬は息を引き取る。天馬の名を叫ぶ二人だが、ついにその眼が再び開くことはなかった。

村が払った犠牲は3人の命。ここも無事じゃないと立ち去ることを提案する弧次郎に、安全な場所はどこにもないと源太。早朝ひとり立ち去ったというダルマの為にも、彼が帰る場所として残ろうと言う高次。そうして一致した皆が朝食の準備で散ると、ひとり佇んだ天神は、亡くした3人に詫びながら、自分もそのうちそっちに逝くと、力なく肩を落としたその時、いつまでんなことやってんだ!メシ食わさないぞ!と、これまでにない最上級の突っ込みを浴びせるコトであった。

そしてもうひとつの別れ。自分も行きたいと、ひとり早くに立ったダルマを追ったエキナに、源太からまたいつでも戻れと言われた、(エキナには)そこで眠る天馬を守っていてほしい(自分が帰るまで)と願うダルマ。ただ、一度だけ、とエキナを抱き寄せて、天馬に怒られるなと謝り、背を向け旅立つダルマ。その背に、死ねばいいのに、と、最初に出会ったときの言葉を投げつけるも、その心には、ありがとうが溢れていた。しかし、その後道中は天候が荒れ出し嵐が到来。いつしか周りに群がる野盗かなにかか、または黒田一味の残党か?血に飢えたような眼の者たちに囲まれる中、誰にも一度は、何かの為に闘う時がくる。それは争うことではなく生きること。その為の闘いだと言い切るダルマは、生きるために、再びその刃を抜く・・・

・雑感

いやあ、あらすじだけでざっと6000字近くになっちゃった。なんせ2時間半休憩なしで、生死という重いテーマを問うてくる作品で、後半のからは客席も固唾をのんでステージを直視している様が感じられるたもの。それでも、上演期間がもろ裏被りになった「ワタシタチのキョリ」のように、仕掛けというのか、張られた伏線を回収したりという要素は、素人の自分が見ても、こちらは少なくて、シンプルに劇を観ることは出来やすかったと思う。

そして、この浅草花劇場の客席構造は、

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このようになっていて、2階は右のようにステージを真横から観るバルコニー席になっていて、小生は5日の初見を2階の赤丸箇所、千秋楽を左1階の赤丸箇所で観賞したんだけど、この2階席が、1階最前よりもはるかに良席なんじゃないか、というくらい演技・表情ともに楽しめた。それは、小生がとくに印象に残っているシーンの多くが、こちら下手すぐのステージの階段セット上段で行われたことも手伝ったんだよね。

例えば、黒田が、天神を狙撃したり、ダルマを挑発するシーンでの、あの恍惚と喜びを浮かべる表情が間近で見られたこと。配下役ですら、黒田に不満を言ったりするように、わずかでも人間らしい面をのぞかせることがあるんだけど、黒田だけは唯一、完全に殺戮を愛しているかのように人心地を失ったキャラクターで、それを演じた平田さんが見事に怪演していたのね。昔、沖雅也さんが、「必殺仕置屋稼業」という必殺シリーズで、ニヒルな殺し屋を演じる際に、藤田まことさんの中村主水らと敢えて仲良くせず距離を置いていた、なんてストイックに撮影に臨んだというエピソードがあるけど、この平田さんは、ホントただ一人の絶対悪を貫くために、稽古や上演期間中、役作りでこうした距離をとったりしたんだろうかな。

それから、静音の後を追い自害するユキノのシーンも、ここで行われたんだけど、思わず声だしそうになっちゃったもの。もちろん表情とかが双眼鏡を通すことなく観られたこともあるんだけど、ここは自分の予想が大きく覆されたこともある。静音が黒田に殺されることは、村人にも犠牲者が出ることが物語としては自然だと素直に受けられたんだけど、その後、ユキノが後追うとは、たとえ忠実な執事だったとはいえ、かなり意外だった。上手側で呆然と見つめるダルマに対して、あらゆる罵詈雑言を投げて静音を抱えて逃げてゆく、なんて想像をしていたところに、それらの言葉され残すことなくだったからねえ。千秋楽のカーテンコールで、演じた飯塚さんは「この社会状況で、この上演によって、戻れる場所や打ち込めるものの大切さを改めて感じた」旨の感想を言っていたけど、劇中のユキノにとっては、静音がその存在だったんだね。一番心打たれたシーンでした。

俳優の皆さんでは、やはり喜怒哀楽のうち、喜楽の表出がほとんどできないダルマの高品さん。その苦労に加えての殺陣の緊張感の連続の中、でも千秋楽を終えた後は、あの平田さんでさえ安堵のような笑みを見せたんだけど、彼は、まだダルマでありつづけるように、微笑みも薄かった。性格的には生真面目なのかしらwww、まあ小生はこの作品で初めましてだから滅多なことは言えないね。それにしても、通った2回とも、

なんと女性のお客さんの多いこと!

5日公演なんて最前のお客さんは全員女性だったもの。多田さんや清水麻璃亜さんのAKB系、ベリーズ工房の清水佐紀さん、そして我がもえちんもいて、最初は自分含めて、客席は高年男性主体だと先入観持ってたが大きな間違い。この辺も男女がキャスティングされる演劇の方が当たり前であることを、性を分けることが当たり前のアイドル界に慣れた自分が忘れてしまっていたのね。やはりアイドル界も、もっと男女混合のフェスにしてもらうかな(その必要あるか?www)。

・もえちん熱演

さて最後残り1000字の限りだけど、もえちんについて触れておかないとね。男性俳優さんとアドレス交換はできた?はホントに冗談として、まずは無事千秋楽を終えてなによりでした。源太役の林さんに蹴りをお見舞いしたり、最後に天神役の小西さんを罵るなど、鈴木萌花としては絶対に無い部分を表現することに、最初はどれだけ試行錯誤したんだろうかなあと想像したよ。蹴りは、もっと強く蹴っても良かったし、なんなら千秋楽では、あのお玉で黒田配下の役者さんに頭をガチ叩きのアドリブ入れても良かったのに、と思うほど、この辺はもえちんの優しさのなせるところなのだろうね。黒田に、ガキ!といたぶられた時の表情は、誰も居ないところでだけ孤独感に涙するという、強いコトらしく、泣き叫ぶ代わりに憎悪で黒田を見据えるのが素晴らしかった。それと、千秋楽で、高次の草野さんが、やや卑猥なアドリブとして、

ミキ〇ルーン、わたしのは黒い色♡

なんて言ったときは、双眼鏡ですぐさまもえちんを覗いた、こちらも疚しいおぢさんだけど、あそこはよく耐えたね、というか、やや失笑って口元に見えたけど、ああした洗礼もおそらくは男性俳優さんだからこそ受けられた、ある意味では宝物かもしれないので、大事にしてね、ミキプ〇ーン、って、おい!!

そして、五反田タイガーさんの客演から引き続きいての、今回も数多くのツッコミを見せる役柄をいただけて、それらのトーンや調子も場面に応じて微妙に変化させられているなあと感じられたところは、これからもタイガーさんはもとより、こうした役回りなら、あの鈴木萌花って子に発注しようか、と他の演劇関係者にもお薦めできると思う。このツッコミも、普段のアメフラっシでは、むしろメンバーにツッコまれる側ですらあるように、実際の自分には無いであろう性質だけど、経験と真面目に取り組む姿勢で、滑舌良く噛むことなく、工夫もみられるまで進化させたものだよね。今回の、異性との舞台共演は、さらにもえちんの、あらゆる表現力を向上させること願ってやみません。それを、次の作品でも、自分の曲作りでも、また楽しませてください。

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