平瀬美里 舞台 注意書きの多い料理店(10/20~10/24)観賞記 あらすじ編

未だ20歳を迎える前の身でありながら、すでに、死を目の当たりにし、生死をさまよい、死を選択しと、芝居とはいえ「死」というものを自分で考えさせられてきた平瀬美里・みぃちゃんが、

ついに、

死を通り越して、

幽霊を演じるに至った!

世界の俳優史上でも、ここまで死についての演技をした役者は、プロアマ問わずそうはいないのではないか?いやいや、役者ならそれは誰もが通る道で、実はそこまで体験してからが役者の第一歩ではないか?、はトーシロの小生にはどちらが正しいのかは知る由もないが、今作「注意書きの多い料理店」は、単に死の表現にとどまらず、役者道に足を踏み入れたみぃちゃんが、いよいよ本格的にその街道を走ることができる「若葉マーク」の取れた状態に進化したといえる、素晴らしい作品になったといって過言でないと思う。小生は全8公演中半分の4公演をこの瞼に焼き付けてきたつもりなので、彼女の出演時はいつもどおり前後編に分けて、その模様をお届けしたい。

会場は、小演劇の聖地というべき下北沢の、ここ、

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駅前劇場。あおの本多劇場のれっきとした系列劇場ということで、3Bjunior出身役者では聖地に一番乗りのみぃちゃん。作・演出は、申し訳ない、前作「早稲田の中心でROCKを叫べ」の告知で、江東区のレインボータウンFMでの番組出演がなければ、存じ上げぬままであっただろう、松竹芸能所属のコメディアンでもある友池さん。一応過去作のリメイクでもあるということでググってみると、コメディではあるけど切ないストーリーで、満足度がかなり高い、みたいな評もあったので、通算5作品目とはいえ、そうした作品のヒロイン務めるかなあ、と期待と不安で初日の20日を迎えたのね。

座席は前2列に座れるSチケット9番を入手して、この日は2列目のセンターという、まずはみぃちゃん主体に見ながらも劇の内容をしっかりと観るという姿勢で臨み、以下22日のマチネは、持参の双眼鏡で、みぃちゃん登場時は彼女の表情のみをロックオンするべく最後方センターで、3回目の23日土曜のマチネの観劇は真ん中列の下手最端で、そして千秋楽24日のソワレは再びSチケット14番で2列目下手最端で着席。千秋楽以外では、開演10~15分前に前説として、友池さんと出演者1~2名がミニトーク。その際は撮影も可能ということで、初日はみぃちゃんが担当。

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22日は、そのみぃちゃんと前作早稲田・・・で同級生役だった、今作は高橋ミユ役の花澤歩さんと新人アルバイト・観月アイコ役のえなえさん、

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そして23日土曜は、ウェブマガジン編集長・倉持役の植田敬仁さんと、ホールスタッフ・関根カンナ役の西村美咲さんが、友池さんの、コメディアンとしてのトーク回しでおしゃべり。みぃちゃんは、リラックスには音楽!と言い、植田さんは新コロ禍でこの2年弱で5作品も中止や延期の憂き目を見て、初日の終演時には極まったと話し、西村さんは楽屋での、ユーチューブネタを集める、花澤さんの相方の渡辺ハルカ役の郷咲あやねさんがゴミを持ち帰らないという話から友池さんが呼び込んで郷咲さんが言い訳するというハプニングも。

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残念ながら22日は小生が開演ぎりぎりに到着したので、花澤さんやえなえさんの話をきけずじまいT_T。それと書き忘れた!今作は終演後の演者との語らい的な物販がなく、かつプレゼント等も渡せない代わりに、応援札というメッセージを寄せることができる仕組みがあり、それが場内の物販前に掲示されていて、小生も、この、

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2口計6000円でみぃちゃんを支援。この額のいくばくかが、演者の弁当などに還元されるということで、果たしてみぃちゃんは何を口にしたんだろうかな?やはり、高級ツ○ハン○ーグだろうか!?

さて前説後に諸注意影ナレは23日以外はみぃちゃんの収録音源と23日はおそらくは、主人公の風野サトシ役のヲサダコージさん。そしておおむねオンタイムで暗転して、15人の登場人物が織り成す喜怒哀楽のすべてを表現し尽くした、とある街の料理店の物語が幕を開ける。

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7年前のある6月の雨の日、「風野料理店」のコックの岩槻(安田ユーシ)は、オーナーの風野に、調理によって形状が変化した高級ツナを、ミミズだとブログで吹聴して風評被害を与えたブロガーをこのまま放っておくつもりかを詰問している。一方風野はそのブロガーを突き飛ばした岩槻を、暴力を受けた側が暴力だと言い張ればこちらの非は免れないと責める。すでに客足は途絶えて運営が危ぶまれる中、事務を手掛けるナツミ(小川香奈)からサイトのコメントの酷さを告げられると、岩槻はエプロンを脱ぎ、それも暴力だろう?と店を出て、推移を見守っていた後輩コックの山根(ROY)には、それが先輩の逃げと映る。ナツミは窮地を自らの貯金で乗り切ればと援助を申し出て、風評被害を食い止めるべく雨の中を出かける。改めて目にするネットの罵詈雑言に絶望を感じる風野。そこに、開いてますか?と顔をのぞかせた一人の女の子。嫌がらせに来た者と勘違いした風野に、田舎から上京したばかりで世事に疎いという彼女は、あまりお金がないのでと、想像より高級なレストランだと知り店を出ようとする。絶望の淵にいた風野は、どうせ客は途絶えてしまったので、一番高級な、ツナ&ハンバーグを作ろうかと勧めるが、それはちゃんとお金が出来たときに注文するからと断り一番安価なものを注文すると、風野はオーダーを受ける。

それから7年後の同じ場所。翌日にオープンを控えるレストラン「イーハトゥーヴ」では、居丈高な奥田(右門青寿)と気弱な青年・遠藤(TOMOYA)が面接中。一見奥田が面接官で遠藤がアルバイト希望者に見えるが、実は逆で、遠藤は先輩の山根とともに奥田にお引き取りを願い、さらに、スタッフのカンナと打ち合わせを終えた店長の風野が戻り不採用を告げる。採用されるものと決めている奥田は意に介さず、カンナが採用はホールスタッフのみと機転を利かせても動じない。それどころか遅刻して面接に来たアイコには店長のような貫禄を見せ、自分を無碍にすると悪影響があると、自らあの奥田譲二だと脅かす。カンナがその名を検索すると、インチキ霊媒師と多数ヒットし馬鹿にするスタッフらだが、霊を舐めるな、ここにも・・・、と奥田が言う刹那、遠藤が窓に映った白い影に気付くが他の者には見えない。さらに現れては消えを繰り返す白い影に遠藤が驚き、もう一度白い人影が窓に映り、それは全員の目にもわかり、霊媒師なら何とかしろと奥田に頼み、ハァ!と気を送れば、入口から入ってきたのはナツミ。しかし今は、イーハトゥーブの運営会社の本社部長となっていて、さらには風野と妻であるという。失礼なアイコや奥田を見咎めると奥田は外に出て、あの白い影を除霊するといいながら逃げ出し追うナツミ。

その時、壁から一人の白い服の女性(平瀬美里)が、悪霊じゃないのに、とスッと姿を見せるがすぐさまカウンター越しに消えるが、依然遠藤以外には見えない様子。そこに、学生らしき女性2名・ミユとハルカが、いかにも出そう戦慄が走るね、とはしゃぎながら勝手に入りこみ写真を撮りまくる。この付近は白い服の女性らしい霊がでるということで、どうやらSNSに上げる気満々の彼女たちをなんとか風野が追い出すと、不審に思うアイコに、隠してもすぐ分かるからとカンナが7年前に、風野の店が風評被害で潰れて、本社傘下のチェーンとしてようやく明日再出発を迎えたことを語る。その途中にまたしても現れた白い服女性だが、今は遠藤は仕込みで厨房のため、誰にも見えない。彼女は風野と山根を懐かし気に眺めながら、もう一人は?とつぶやく。一方、元は引きこもりがちだったアイコは話を聞き手伝いたいと言い、カンナの指導の下研修生扱いで準備で奥へ向かう。しかし山根はホールはともかく厨房は人手が不安と訴えると、風野は助っ人を呼んでいると言い、表から一人の作業着の男を招き入れると、それは岩槻。女性は、そうそうこの3人!と喜ぶが、当の岩槻と山根は浮かぬ顔で、山根はあんたが逃げてからどれだけ大変だったかと岩槻を拒絶。あれから実家の工事会社を手伝っていた岩槻だが、ここは俺のいるべき場所じゃないと帰ろうとするが、女性が、ちょっと待ってよ!と工具箱を持ち引き留めると、彼女が見えない3人は恐れおののき岩槻も帰れない。風野が改めて岩槻に戻るよう願い、あの料理にもう一度賭けようと言うと、山根は、7年間苦しんだあの料理はナツミが許さないと諦める。説得すれば大丈夫と言う風野だが、途中で立ち聞きしていたナツミが入ってきて、許すわけないと強く否定。昔のような情熱とかだけでは出来ない、岩槻には本来の電気は直して帰ってと冷たく言い放つナツミ。女性は、あの時のみんなが揃ったのにと悲し気に壁から消える間際、厨房でミスした遠藤が来て、白い服の女!と指差す。折悪しくそこにはナツミがいるため、従業員の教育もなっていないとあきれるナツミ。自分が見たのは幽霊だと言い張る遠藤に、また女性が現れて、物には触れられるんだ、と机をもちあげようとするが重くて持てないので代わりに椅子を上げると、遠藤は今椅子を持っていると皆に言えば、いよいよ居そうだとなったが、美味しいものを食べたい!という女性の言葉に遠藤が恐れをなして逃げれば追いかける女性。いよいよ訳が分からなくなる4人。これ以上の風評被害は避けるべく、さっき来ていた奥田の本来を思い出したナツミが除霊を依頼するよう山根に命じて、岩槻にも修理を早くと依頼し岩槻も脚立をとりに外に出る。入れ替わりでホールに戻ったカンナには、仕事しなさいと命じて、あの子別店舗から引き抜いたの、お気に入りなのねと風野に言い捨てて社に戻る。

ホールには風野とカンナの二人だけとなり、ナツミとはなんだかんだで仲良いじゃんと、ぶっきらぼうに「アレルギーの方は申し出ください」と書かれた注意書きを各所に貼り出す。どうやら二人は浮気をしている様子で風野が機嫌を取り成すと冷静に戻ったカンナ。風野の純粋な、料理に対しての思いなどが好きというカンナは、二人して束の間じゃれあうが、そこに戻った岩槻に驚いてその場を誤解しないよう取り繕う。それには気付かない岩槻は、久々に会ったナツミが、良い妻だと褒め、折々で愛を告白しないと、と独身のわりに分かったようなことを言う。それを、注意書きを貼りながら背中で、ナツミのことを話す風野の言葉を聞くカンナ。また顔を出した霊の女性は、修羅場だね、と微笑むが、岩槻の煽りとカンナの、今の気持ちをはっきり言えばという詰問に押される風野は、岩槻の照明が暗きゃ言いやすいだろうという悪ふざけに完全に舞い上がり、真っ暗のなか、俺の本当に好きなのは君だ!と握りしめたその手は、再び照明が灯されると、それはアイコのものだった!こんな情熱的なの初めてと恥じらうアイコを冷ややかにみつめるカンナ。風野は、違う違う、今のはおばあちゃんの霊だと思ったんだ、ありがとうおばあちゃん!と遠くに手を振りごまかすが、私はおばあちゃんの霊じゃない!と女性がおかんむりで椅子を持ち上げ、制止する遠藤・・・。

・・・この店はミミズを出すのか?若い男性客・早乙女(一ノ瀬翔太)が、応対する山根を詰っている、食材のツナが調理方法ではそうした食感になることもあると否定して再度確認を願う山根だが、早乙女は閲覧数No1のブロガーだと明かし、そんな注意書きは無い、この店のことは書かせてもらうと宣言。厨房から来た岩槻が代金はいらない帰れと、つい早乙女の肩を押してしまうと、暴力だ!絶対に潰してやるからな!と息巻いて店を出る。それを傍観している風野。ここは風野の記憶の再現で、彼は、あの時ホールにいさえすれば。自分は何をすべきだったんだろう?・・・

開店の朝なのにあの時のことに思い浸る風野を見て、霊の女性が現れて、過去は変わらないのに。開店楽しみにしていたのに、と寂しげな表情。しかしその声はもちろん風野には届かず、逆に、なんで幽霊なんか出るんだ?嫌がらせか?と当たり散らす風野。邪魔するな!消えろ!の叫びに、私だってわからないと戸惑う女性。そこに宅配の荷物を手にした遠藤が、いま女性の霊はいないと庇い、間違った荷物だと風野に渡すと、それは「高級ツナ缶」で、間違いじゃない、これがうちの売りになるんだ、と立ち上がり厨房へ向かう風野。庇ってくれたことに女性が感謝すると、アイコ出勤するが、手には手作りの弁当を持ち、遠藤、使えねえ、と言い捨て店長を探す。まもなくアイコを押し返す風野、昨日は勘違いだからと宥めるが、言葉の勘違いでますます本気になるアイコに笑う女性と遠藤。なぜここにいるのかと問うと、わからないといいつつ、自分がかつて女優を目指す卵だったことを明かし、この世への未練はたくさんあるんだと答える女性に、それで成仏できないの?と聞くが、元々生きている時から存在してるかもわからなかったから、幽霊じゃなくて幽霊みたいな存在にすぎないのかもと自嘲すると、自分も音楽を中途半端に諦めたままここで勤めるダサいやつと励ます遠藤に、死ぬ前にここで食べればよかったと、当時の看板メニュー「高級ツナハンバーグ」を思い出す。それが未練じゃないかと遠藤がさらに問うたとき、ナツミが一人の着流しの男性を連れてくる。それはなんと奥田譲二で、除霊を正式に依頼したという。今居るな、とうなずく遠藤に、パワー蓄えた塩で清めるとあたりに塩をまき散らかす奥田。何も利かないからと呆れる女性だが、ナツミの持参した「まかれた塩はデザインです」という注意書きに怒って、椅子を持ち上げて暴れるのを懸命に阻止する遠藤。ナツミが全員を集めてミーティングを始めると、俺がやるいう風野だが、泣いて納得できないというアイコに再び中座するミーティング。おまけにカンナは休むとアイコから聞いて、しっかりしてと呆れるナツミ。しかも、あの、幽霊騒ぎで昨日来たミユとハルカの二人が客を装い再び入り込む。それを一旦追い出すが、一緒にアイコまで帰ってしまい、ついには奥田に、接客は真心!解散!と宣言までされてしまいまったく空気だった風野に、手伝うよと霊の女性が店外へと消える。

そんな開店間際に、ドアをノックする者があり、それはウェブ雑誌の編集長の倉持で、午前中はナツミと店長の取材、午後は食レポでライターが来る旨を告げ、まずは取材開始となった時、アイコが血相変えて舞い戻り弁当箱が宙を舞って追いかけてくる!と叫ぶと、その後から弁当を持って追いかけた女性が、してやったりと満足げ。アイコを戻そうとした女性の行動だが、見えない者には驚きだがなぜか倉持は唖然とする。それを目撃したミユとハルカも入ってきて弁当箱が宙に浮いてると投稿ネタに喜びを隠せない。とっさに、これは開店記念のマジックだと繕う風野が、霊に協力を呼び掛けて、気を向けると、女性がひょいと弁当箱を上げ下げ。女性が見えない者は納得しかけるが、なんと倉持が、何を見せられているのか、この女性は誰か?と聞き、あなたも見えるんだ、二人目とうれしい女性。どうやら倉持は彼女が見えるようだが、ミユとハルカには、自分は霊感強いので、邪悪な霊ならここに入れないからといい、霊は居ないと説得する。腑に落ちないミユは、本当に客ですとメニューを見始めてハルカも付き合い着席。ホールが大変そうだと聞いて出勤したカンナに、ナツミが最初のお客様のオーダーをとるよう命じて、倉持には店の外観の取材をと誘い倉持も従う。そしてミユとハルカがオーダーをすると、さっそく店の奥も見たいと席を離れて、撮らないでと風野が後を追うと、女性がぼーっと佇むアイコを、働けよ!と再び弁当で脅かして奥へと追い込む。そこへミユとハルカのランチのスープを運ぶ遠藤が、ホールが騒ぎなのは君か?邪魔しないで!と責めると、さっきは何とかすると言って何よ、と霊の女性が怒る。そこに、同じく緊急事と聞いた岩槻がエプロン姿でやってくるが誰も居らず、ただ置かれていた弁当箱を持ち上げ不思議そうに眺めると、今度は待機していた奥田が、いるんだな、と例の除霊の塩を方々に巻き散らかす。続いて何もないから帰ろうというハルカとミユが、奥田へ自分の怒りをぶつける女性が椅子を持ち上げたところに戻り、やっぱり何かいると写真を撮るミユ。風野が辛うじて、これもマジックと変な動きを始め呆れる岩槻。紛らわしいから黙っていてと岩槻に命じた風野に、まだ何かありそうと興味ありげなミユが、食べてから帰ろうとスープを一口すすると、減塩のはずがありえないほどの塩辛さ。それもそのはず、そこには奥田の撒いた塩が混入しているのだが、ミユとハルカと風野は知る由もない。厨房へ確認しますと向かった風野から、話すなと言われた岩槻は、ゼスチャーでミユとハルカの誤解を解こうとするが伝わらず、やばい店だね二人は帰ってしまう。そこに今度はカンナが戻り、まだ話せないと思った岩槻が手にした弁当箱から説明をゼスチャーで始めるが、今度はカンナが弁当を自分に作ってきたと勘違い。しかも中には、昨日あったばかりだが愛してる、という手紙つき。これはアイコが風野に宛てたものだがカンナは気味悪がる。一方スープのミスは考えられないという山根は、そんな岩槻を見て、陰で何をしていると非難。そしてナツミはSNSでの投稿を見せて、白い影と宙に浮く弁当箱の画像が拡散されていると伝えると、倉持もこの評判ではうちでは取材対象ではないとナツミに断りを入れに来る。ホールのそうした状況に、霊女性は、開店なのにどうして!と叫び、誰も自分の思いに気付いてくれないと悲しむ。

そんなことが以前にもあった彼女。7年前のある5月の風野料理店内、マネージャーらしい男(友池さん)に、クルミちゃんは、サインはパッとしない、オーディションの結果も芳しくない、女優としての志はぼんやりしてる、それじゃあ誰の印象にも残らないから、と言われた記憶が思い起こされる。あの時も今も、私は透明人間なんだ・・・。

休憩時間なのか、誰も居ないホールで顔を伏せる彼女、クルミ気付いた遠藤は、同じ半端者なのに言えたものじゃなかったと先ほどのことを詫び、クルミは似てるから私が見えるのかな?と納得する。その遠藤は、あの高級ツハンバーグに君のためにチャレンジするからと約束。命あるものには触れられないクルミと指切りしたとき、カンナが入ってきてひとりで何?と冷やかすと照れて厨房に戻る遠藤。カンナは問わず語りでクルミに私ってバカな女でしょ?と語りかけると、あなたは生きているから、いつか誰かが見つけてくれると答える。もちろんカンナには通じないが、何かに満足した彼女は、やって来た風野に、別れようか?仕事終わってから話そうと午後の準備に戻る。カウンターの下で、アイコがその話を耳にしていたことは気付かない二人。

そこへナツミが、SNSが大変!と入ってくるが、今度は逆に「心霊レストランが面白そう」と、集客につながる可能性が高いのだという。クルミは照れるなあとうれし気に壁に消えるが、午後からは「幽霊に会えるレストラン」とコンセプトを変更するとして、奥田を霊を呼ぶイタコのような役割に変え、奥田は霧吹きで、幽霊は湿気の多いほうが出やすいと方々を濡らす。さらに岩槻が、終わったよとなつみに告げると、来客の仕方として、客の着座と同時に照明が赤く血に染まったように変わり、さらには、血まみれのゾンビに扮したミユとハルカが、刃物で襲い掛かるふりをしてからオーダーを取るという。山根にも、トマトソースは血が滴る感じでと命じ、方々には、「血は演出です」などの注意書を足してゆく。ノリノリのミユとハルカ、奥田に対して、従業員たちは悪趣味、やりすぎと批判し、霊をいつまでも自縛させるというクルミには重いものではないか。

そんなとき、シミュレーションも兼ねて、倉持の社のライターに施行するため、同人がドアを開けて来店。その男性ライターは、なんとあの7年前の風評被害もたらした早乙女だが、彼にはわずか1店舗のことにすぎず忘れてしまっている。山根が、何しに来たと問うと倉持の社の取材だとして接客がなっていないと言い捨て、霊に会えるというコンセプトにも疑いの目を向け、早乙女の着席を見極めたアイコが照明スイッチおし、ミユとハルカ、奥田がマニュアルどおり動くが、早乙女には通じず、演出もダメ、幽霊も出ない、取材は出来ないと宣告。ミユとハルカは、ノリが悪いねと帰ってしまい、焦る奥田は昔は見えたんだと懸命だが、現れたクルミは、可哀想とつぶやく。そこへ遠藤が、できたよ!と運んできたのはあのツナチーズハンバーグ。早乙女を前にしてその料理はダメだと止める山根だが、クルミはありがとうと喜ぶ。そこで早乙女もすべてを思い出したのか、あの時の料理店がまた懲りずにミミズかと嘲笑。岩槻が前に出ると、クルミが止めるために椅子を持ち上げると同時に、岩槻がしたのは、今度は土下座。あの時の非を詫びるが早乙女は宙に浮く椅子に腰を抜かしていると、倉持が遅れましたと入るや早乙女に、お前はまた迷惑かけてるのかと連れ出し、今度繰り返したらクビだ、先方にもう一度謝って来いと激怒して連れ立ち帰ってゆく。それを見た奥田、自分は書くことが得意です!と倉持を追い出てゆく。

あんなもの(早乙女)に怯えてたのかと呆然とする岩槻たちを尻目に、遠藤はクルミがこの料理を食べたいと言い作ったと明かすと、これで満足すればクルミは消えると気付いたナツミが反対。またSNSで叩かれると。しかし風野は、今度こそちゃんと向き合おうと説得し、クルミをこれ以上自縛しては可哀想と皆も言う。そして風野は、もしかしてあの時のクルミちゃんと問いかけ、彼女にお礼を言いたかったと問い、あの時店に来てくれたから今の自分があると、何かが書かれたコースターを渡す。ありがとう、っみんなとクルミが言うと白霧が立ち込め成仏の時が来る。遠藤は自身で料理を作るも、行かないで!君なんか嫌い必要もないから、未練残せ!と止めるが、嘘下手だね、と泣き笑うクルミが、コースターを残し消えゆく。

冗談じゃない、これからが大変と泣きながら、風野にはたくさんあるという言いたいことを堪えて本社に連絡するから注意書きをはがしてと命じるナツミ。カンナは時を待たずにお世話になりましたと風野にエプロンを返し、嫌な女でしょ、と言い去ると、恰好良いと友達になってと追うアイコ。格好良いといえば岩槻の土下座に、そう感謝した山根は、帰る岩槻を、ここでは俺が先輩だからと厨房連れてゆき、嬉しそうに、偉くなったなあと従う岩槻。いまだ立ち上がれない遠藤に、風野が優しくコースターを渡し、山根の呼ぶ声に、はいっと起き上がる遠藤だった。

7年前のある5月風野料理店、マネージャーの問いに「誰かひとりでも私を見て頑張ろうって思ってもらえる女優になりたい」と答えたクルミは、ぼんやりしてるなあと言い残して先に帰った彼を見送る。その彼女に、店のサービス、としてココアを出す風野は、素敵だと思うと告げる。野菜いですねとクルミは、ダサいとも言われた、コースターに書いた自分のサインを渡し、今度オーディション受かったら、ここの一番の「ツナチーズハンバーグ」を自分のお金で注文しますねと言うと、メニューは残すと二人で指切り約束。ほどなくマネーシャーからの携帯で店を後にするクルミに、気を付けてと声を掛ける風野のコースターを見る眼が微笑んでいた(fin)。

実に、あらすじだけで9000字近くを費やしたのは、少しでも書き残したい部分が多かったから。4度目の再演時にはネタバレになるけれど、もちろん泡沫ブログだからwwその可能性は少ないね。いや、でも、クルミじゃないけど、

誰かひとりでもいいから、

見聞きして、そうだったんだって、

思ってもらえるブログでありたいかな

なんてね(後編の、所感編へつづく)。

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