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舞台 ダンスライン2022 千秋楽(7/3)観賞記 あらすじ編


アリスインプロジェクト2022年夏公演として、6月29日から7月3日までの5日間、ここ、


新宿村LIVEで全8公演で上演された、

舞台 ダンスライン

小生が応援してきたアイドルグループ・3Bjunior出身者である、森青葉・平瀬美里・播磨かなの3人が出演、なかでも森青葉・あおちゃんは、実に9か月ぶりにファンの前で、今度は舞台役者としての姿を披露する、ということであれば、本当は全通してもよいのであるが、そこは腹8分目に抑えるべき50歳を超えた高齢者。それでも彼女たち同様毎日1公演を観に新宿に通うことで、演者と行動を共にするというストーカーファンとしての模範は示せたのではないか、と自負をして、あとは観てきた公演を、久しぶりにしっかりとした観賞記として残し、語り部としての役割を全うするのみとなった。

作品概要
パンフレットを紐解けば、作者の麻草郁さんによれば原点ともいうべき作品が「ライン」という題名で2011年に上演され、それを大きく改訂したものが、2018年に、今も公式ユーチューブでオープニングダンスが配信されている「ダンスライン」で、通算としては3回目の上演となる作品。演出は、劇団Bobjack Theaterの演出家でもある扇田賢(さとし)さんが手がけて、出演者21名(すべて女性)シングルキャストで、2018年版での出演者は一人もいないという顔ぶれでリニューアル。


出演者は、主演の双子の姉妹、北野美環に、でんぱ組inc.の現役アイドルかつ高校生の高咲陽菜、北野凛胡に、活動終了となったラストアイドル出身でこれがソロ初の舞台となった相澤瑠香。姉妹の祖母で、美環だけに、その若かりし頃の姿が見えるという北野苺に、元東京flavorというアイドルから、今や中小演劇作品では引く手あまたの活躍を見せる、白石まゆみ。
凛胡が所属するダンス部員は、ダンス部以外の部活にも顔をだすが、すべてで華のある活躍を見せるが、突然アメリカにダンス留学して、気まぐれ的に帰国して学園を騒がす長沼亜里沙に松村芽久未(元NMB48なんだね)、部長の橋本綾久に、女性4人組ボーカルユニット「elfin'」の小倉舞子、副部長の大沢あかりに、演劇一筋で6年目になるのかな、はせまゆこと長谷川麻由。2年の前山渚に、松竹グループ合同オーディションファイナリストという篠原みなみ、1年生部員の永山雫にavexのダンス&ボーカルのサバイバルユニット所属経験あるという増田小春、同じく1年生岩本小夏に、浅草少女歌劇団ローファーズハイの鎌田彩樺。
美環が所属する演劇部員は、ある件の責任を取り部長を辞めた百合園絵里に森青葉、現部長平山樹に平瀬美里、2年生で絵里に心酔する桜日和に播磨かな、同じく2年生部員中川原由香に、2013年からスターダスト名古屋営業所のN-Twinkle TRIBEでアイドル経験もある羽野瑠華、1年生部員森下比呂に、かつてチームしゃちほこの歌のエースで、ギター・ゴルフなど多彩な活動を見せていたが脱退とスタダ契約終了して再スタートした伊藤千由李、ある件で演劇部に居られず退部した片岡観音子に、2016年から舞台演劇に出演し続けるが、元はダンサーとして活動し、その素養が高いという大野愛(まどか)。
ダンス部演劇部両方を目の敵といわんばかりにマークし活動を制限すようとする生徒会メンバーは、会長の若葉香織に、昨年3月までテレビ東京でOAされていた「青春高校3年C組」の一員として活動していた黒木美佑、会長を慕う2年の高畑千真季に、舞台活動で広島から上京し4年目となる宮崎妙美、1年生の田畑美紅に、芸能活動をするための条件として課せられた資格取得で美容師免許を取得し、赤いリップを使ったメイク動画なども配信するという異色キャリアのある樹乃(じゅの)、同じく1年の稲城菖蒲に、2014年デビューながら今だ高校2年生でもあるスタダ所属の羽野真央。
そして、両部の顧問で、昼行燈のようなやる気なさげな女性教師宮路千鶴に、元サンスポアイドルリポーターというアイドル経験もある西野亜弥、そして亜里沙が帰国時に一緒に付いて来日のトレーナー広田マリアンヌに、元アイドルグループ「COLOR’z」のメンバーの菜乃華れみ。この21名が、美環の、祖母苺の心残り探しの奔走と、凛胡の、ダンス部危機を乗り越えるための奔走に、協力・対立を経ながら目的を果たし、終盤のラインダンスで客席を感動させる青春ドラマを繰り広げたのである。

あらすじ
美環は、ふと、自分を呼ぶ声に気づき目をやると、そこには若い女性がいた。彼女は祖母の苺だと名乗り、自分の心残りを、双子の姉の凛胡と探してほしいと頼む。美環は、凛胡には嫌われているようだから無理だと言う。その日の朝も、校庭のベンチに一人座る凛胡は目も合わせてくれず途方にくれる美環。そこに朝練だと集まる副部長のあかり以下ダンス部が元気にダンスを始めると、他方からは、演劇部の2年生の桜と中川原、1年の森下の3人も、演劇部独特の早口言葉の発生を開始する。そこに、活動停止中だと見とがめた生徒会長若葉香織とその配下の生徒会役員3名が、演劇部3名を連行しようとすると、凛胡は、暗記している校則から、自主練は活動停止中の違反に当たらないと主張。何の練習かと若葉が詰め寄ると、そこにダンス部長の綾久が駆けてきて、さらに顧問の宮路が追いかけてきて、若葉は、凛胡に無駄な抵抗せず、こちらの世界に戻れ、凛胡はそちらの生徒じゃないから、と言い残してその場は去る。一方宮路は、部長を辞めたい綾久を説得して、大会に備えよと諭す。そんな綾久に声をかける桜だが、演劇部はもう関わらないでと冷たく言う綾久らダンス部が立ち去ると、美環は、こんなときだからこそ新しいことを始めればいいよ!と凛胡に声かけるが、同じ思いである凛胡は、その美環が、演劇部の活動停止の原因ともなった戯曲「ドンキホーテ」の無断路上上演という新しいことをしたことが悪いんだと詰る。そこに折悪しく、今度は辞めたはずの百合園絵里と平山樹が、まさにその時の芝居を再現し始めてしまう。これが演劇部の平常運転であると、凛胡の腹立ちも他所に、彼女を抱きしめて、困ったら私にも相談してと微笑み立ち去る。活動も出来ないのにどうして楽しそうなのか凛胡は戸惑いその場を去る。一部始終を見ていたという苺が、仲直りしないとと取りなすも、美環は自信を失い、いつも脚本などの執筆場所にしていたベンチでうなだれていると、そこに同学年で演劇部をある理由で辞めてしまった片岡観音子が、ある書類を手にやってくるが、美環には声をかけないでその書類をベンチに置いて帰る。苺がみやると、ワールドティーンエイジカルチャーアワードという世界大会の参加申請書だった。そこに凛胡もやってきて書類を手に取ると、美環がかつて出たいといっていた大会だと思い出し、自分も、もしかしてこれなら危機を超えられるかも、と何かを思いついたように去る。そして苺も、大会・ダンスという言葉に何かを思い出したように反応すると、落ち込んでいた美環も元気を取り戻し、二人でお祖母ちゃんの心残りを探すよと駆け出す。それを密かに監視していた、高畑・田端・稲城の生徒会たち・・・。
申請書をどうすべきか思案する凛胡の前に、突然留学で消えた長沼亜里沙が、これも突然舞い戻り凛胡に声をかける。しかも、怪しげな関西弁も話す、個人トレーナーだという広田マリアンヌを従えて。美環は喜び、現れた演劇部の面々も帰国を歓迎するが、ダンス部は、まさに亜里沙の穴を、本番に、実はダンスが上手くない凛胡で埋めようとして失敗し、観客の嘲笑が心の傷となってしまった綾久のこともあり、あかりを中心に、もう亜里沙は不要の体制だと言い放つ。ダンス部の危機は私が居ないと乗り切れないと言い切る亜里沙が、凛胡の登板を知ると、そのつもりもないのに凛胡や綾久を傷つけてしまう言葉を発してしまう亜里沙はエゴイストだと、広田も諫める。険悪なムードに美環が止めてと願うと、絵里ら演劇部が、あのドンキホーテを演じで場が一変、皆が魅入って場が収まると、騒ぎやってきた宮路も、演劇部はまだ停止中と注意するが、亜里沙から、ダンス部の廃部の話を問われて立往生。皆が不安の中、3年生には、綾久までいなくなり活動が成り立つのかと諭す宮路に、生徒会長の若葉が、新しい部活「日本言語学研究会」の予算書を持ち込む。不信になる3年生たちの足取りは重い。
廃部話に、力なく河原の草野球を眺めるタンス部員らに、ひとり混ざる演劇部の桜。そこに凛胡が来て、あかりにあの世界大会の参加許可書を見せると、英語を少し解す桜が読めば、決勝はテレビ中継もあるという。たちまち凛胡を中心に話が弾み出し、いつの間にか演劇部も加わって皆が前向きになると、何を演るかが悩ましくなるが、そこは苺が、ラインダンスを勧めれば兼ねて見舞い時に苺からその話を聞かされていた凛胡はすぐ思い出す。かくして両部合同のダンスレッスンヲ秘密裏に開始するも束の間、遅れた亜里沙と広田が高畑らに捕まり現場を抑えられるが、敢えて観察に留めて練習の続行を指示。すると衣装の採寸で高畑ら3人を巻き込むメンバー達。そこへ凛胡から大会概要は知らされていた宮路が、本当に世界本選に出た時の覚悟を問うと、これしか思い浮かばなかったと凛胡はお願いしますと答え、宮路も承諾。巻き込まれていた高畑らは若葉に報告するが、不敵に、凛胡の覚悟はどこまで持つのか、と笑うばかり。
果たして、ラインダンスもかなり洗練されてきたところにやってきた若葉は、自分もこの大会に学校に正式に、日本言語学研究会でエントリーしたと皆を見やる。それが意味するところは、国外の大会には非公式の同好会であっても学校からは1校しか参加できないという校則により、凛胡らの申請は若葉に遅れたため不可能であることで、凛胡はうなだれてしまう。美環は必死にあがいて打開しようとする。その時、亜里沙が、こんな苦難の時にいつも元気に突破するはずの美環が今日も居ないと問いかけるが、みな目を伏せるばかり。今私はいるよ亜里沙、と美環が呼びかけるが、若葉が冷静に亜里沙に、美環は3ヶ月前に亡くなったと告げる。訳がわからない美環に、そのうち気づくと思ったと苺は、寿命だと優しく諭す。
決して聞こえないのたが凛胡の名を美環が叫ぶと、困難にはいつも新たなやり方で立ち向かう美環が妬ましく、居なくなれと思ってしまったことを悔いる凛胡を、決して感じてもらえはしないが、優しく抱きしめる美環。その時、衝動的に、失うものは何も無いよねと、意を決したように走り出した凛胡に、苺は美感に、追って確かめようと促すと、凛胡は宮路、片岡の元に走り、そして若葉には、私のことを好きなのたがら応援して!と言い残し、同様して発熱する若葉を他所に、綾久とともに河原で諦めモードのダンス部と演劇部にも走り寄り、絵里に、なぜ演劇が好きか、を尋ねると、答えはあそこにある、と連れ出したのは、美環の執筆場所。美環は、生きていると嬉しいことも悲しいことも、全部格好良いって教えてくれた、その美環が、次作で冒頭部分だけ書き残して去った以上、私達は続きを演じ続けないと、というのが理由だと話す。絵里が美環の死に何ら感情を見せなかったことが許せず部を辞めた片岡の誤解はここに解かれた。
そこに、少し前に宮路に何かお願い事をしていた亜里沙が、苺そっくりの女子高生を連れてくる。梨花という彼女は、亜里沙に請われるまま、苺と、梨花の祖母のカリンは双子であり、同じホールでダンサーをしていたこと、苺が中心で華やかなのにカリンは端で踊る立場で辞めようとした時、怒った苺が、怪我であっさり引退して、スターに成り代わったカリンを嬉しげに客席から笑う苺が憎かったと言って亡くなったこと、などを話す。美環は、それが苺の心残りと気付き、り凛胡がみんなを動かした結果に喜ぶ。
そこに現れた若葉達生徒会。果たして今度はいかなる妨害を仕掛けるかと構えるが、若葉は、ラインダンス増員、生徒会4人加わり世界を目指す、凛胡には発案者として逃げるな、私のことを香織と呼んで、と命じると、練習も塾も一緒にゆこう、香織と応じる凛胡。若葉の目はただの少女に戻り、とくに会長愛が強かった高畑は戸惑いながらも、エールに加わる。
練習を経て衣装も決まり、わだかまりのあった者達も晴れて解消していよいよ迎えた本番。これまでのダンス部演劇部、そして生徒会とのいきさつを描いたようなダンス構成、孤立した凛胡の苦悩、そこに、凛胡ならできる!と励ます美環と苺も加わり、立ち直る場面までが描かれ、いよいよ大団円たる部員18名によるラインダンス、それを上から見ながら加わる宮路と広田、そして苺。21名の高く蹴り上げた脚は、未来への一歩であるかのような線を描いて消えていった。

同じラインに立って
僕は君と走り出す
同じ景色見つめて
振り向かなくても分かる
届け僕のこの声
届け世界の果てに
届け光を超えて
届け未来の君へ
(上演時間約2時間)

以上のストーリーも、いよいよ最後のひと公演を残すばかり。開演まであと数分、舞台袖からは彼女達の鼓動すら聞こえてきそうなほど高まる中、しっかりと目に焼き付けて、後編の総括編を書き上げたい。


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