愛来 劇団TEAM-ODAC第37回本公演「浦安鉄筋家族~子ども大戦争~」




我が主現場の一つたるアメフラっシのエース的存在の愛来は、かつて「なんでもできちゃう天才肌の人」というような評価に、そうではなく不器用だけど負けず嫌いだから、努力でやってきたという点を分かってもらえない、ということを何かのライブの締めの挨拶でもどかし気に言ったことがある。それほどに、こちらのイメージと本人の意識の差はあるのだが、少なくとも彼女が、この芸能世界での活動に対しては非常に謙虚に取り組んでいることは間違いないことはわかる。とくにインスタグラムのライブ配信でたまに披露するギターの弾き語りなどはその最たるもので、フジテレビ・きくちP氏の引きで始まった「ガチンコ3」が事実上休止状態になってからも、いつ再開しても問題ないように日々研鑽していることがうかがえる。

そんな彼女が、昨年3月の五反田タイガー「WORKER ANTSと働かないアリ」以来の舞台「浦安鉄筋家族」という男女の役者が集う作品のオファーを受けたとなれば、今後は芝居に対してもますます活動意欲が高まってゆくことは容易に想像ができるが、今現在の彼女の力量はいかがなものかを見てみるべく、小生は7月10日の初日と16日の金曜日の2公演を、ここ新宿の、


こくみん共済coopホール・スペースゼロにやって来た。

 ・あらすじ

原作は、以下ウィキペディアによれば、浜岡賢次さんという漫画家の方で、初代は1993年から週刊少年チャンピオンに連載されていて、昨年はテレビ東京でドラマ化されたもの。大沢木家(おおさわぎ 多分大騒ぎとかかっているんでしょう)の次男になるのかな?小鉄を主人公に、浦安第二小学校や浦安界隈の出来事を中心に描きながら、随所にギャグを満載する、基本的には1話完結というか、小鉄が小学生という設定のまま20年近い連載をしているので、成長ストーリーでは無いというところだろうか。なおテレ東のドラマは、父の大鉄(佐藤二朗)が主演とのことだが、こちらは新コロ禍の直撃を受け、撮影中断や再開前にセット解体の憂き目を見るなど、メイキングの段階でなかなかシュールな作品となったそうだが、実は小生、恥ずかしながら自身大学生のころに始まったというこの作品、

 存じ上げませんでしたT_T

 ので、原作とどうのこうのの比較は出来ないが、それが良いのかどうかは、原作を知る方による舞台評などを諸兄姉に調べていただきたくお願いします。

 さて今回の舞台オリジナル作品は―

大沢木小鉄(いとう大樹)は、今日も放課後の公園で、上田信彦(優/金城和己のダブルキャスト)、土井津仁(塩﨑大智)、鈴木フグオ(宮下雄也)、西川のり子(井尻晏菜)、花子(飯塚理恵)たちクラスメートと缶蹴りで元気いっぱいに遊んでいる。家が貧しい仁は、ガーデニングの肥料代わりだという、うんこ(糞 なお人糞か動物糞かは不明)を集めているが、小鉄は缶の周りにばら撒き、うんこのバリア!と喜ぶ。その糞を誤って踏んでしまった、裕福な家のクラスメート・あかね(愛来)は、懸命に靴の匂いを落とそうとするが、要らないなら頂戴と拝みこむ仁。その隣では、常にお菓子を食べることが大好きなフグオに、餌付けのように菓子を食べさせられている太った花子が、人間山脈とからかわれて激昂し、強引に缶を奪い、果てまで消えてしまえと空高く放り投げてしまう。というようにこのクラスはみんな個性豊かな面々だ。

だが、そんな元気なクラスの主流派には馴染めず、普段は、小鉄が席の隣であるだけで、その賑やかさに耐えられない様を思い出しては怒りを抑える山崎民子(江﨑葵)、根本和江(安田愛里/折見麻緒のダブルキャスト)、淡口静香(高松雪)の「影薄い」3人。しかしこの日は、小鉄から、たみちゃん・ねもっちと綽名で呼ばれたことで、静香に優越感を見せつける放課後だったが、学年主任の教師・長崎屋奈々子(星希成奏)に早く帰るよう促せられながら紹介された、臨時の校長先生・佐川中路(櫨本全一)の、目立たない君たちが強くなるには学力しかない、今を遊んでは将来負けるだけだ、という言葉に圧倒され逃げるように帰宅する。そこへ入れ替わるようにやって来た小鉄達の担任の春巻龍(小林竜之)は、学校の給食を楽しみにしているようなやる気ない先生で、校舎裏に勝手に敷いた布団で寝ていたら給食を食べそびれてしまい、落ちたご飯粒を拾っては口にする人物。その春巻先生を、背後から殴打足蹴で諫める佐川校長は、一週間の清掃を春巻先生に命じるとともに、クラスにも何やらを与える企みを匂わせ、そんなことまで必要かと不信に思う奈々子先生だった。

その校舎の屋上では、公園での缶蹴りなのに、忍者の隠れ身の術ばりに壁と同化する布で隠れる金子翼(高品雄基)通称・金子先生が、完璧な隠れ場所と悦に入っていたが、そこに見知らぬ制服を着た女の子が佇んでいることに臆してしまう。その子・真壁日向(清水麻璃亜)は、どうやら死んだ母を求めて飛び降りるつもりがあるのか、しかしその一歩は踏み出せず躊躇していたが、まさかこの屋上まで、あの花子が投げた缶が飛んできているとは思わず、突然缶を探しにきた小鉄にびっくりして、誤って日向は途切れていた柵の向こうに踏み出してしまい転落してしまう。それを目撃した金子先生は思わず身を露見してしまい小鉄に見つかるが、小鉄に、女の子は、とその責任をどう感じているか量り兼ねていると、その小鉄から、あれ?誰か落ちたよね、人?と逆に問われ混乱してしまう。

その時公園では、戻らない小鉄をクラスメートが待っていたが、ほどなく、粗大ごみのテレビと壊れたキーボードを拾って帰る途中の仁ママ(千代反田美香)がやってきて、これでインターネットができると仁に早く帰れと言い残す。また、フグオの父(佐々木雄治)とフグオの母(竹中美月)が、フグオの好物であるカルピスアイスと原液を大量に運んで帰る途上で、フグオも一緒に帰宅。またあかねも、あかねの母(三浦佑香)が、今日は海外のお友達が来るからと迎えに来て帰るが、その友達はトランプさんとのことだった。流れ解散的に信彦も帰るが、花子と仁は残っていると、突然姿を現したのが本来は田中という苗字だが小鉄に綽名として中田ちゃん(中太花梨)と呼ばれるクラスメート。3人で缶蹴り続行となるが、仁が、中田ちゃんが花子を「人間アンドレ」とぼろくそ悪口言っていたと吹き込み再び怒る花子に逃げる中田ちゃんと、どうやら缶蹴りは自然に終了となり皆帰っていった。

さて、当の小鉄の実家・大沢木家では、父・大鉄(鏡憲二)が、切らした煙草の禁断症状のため、ニートでセーラームーンのヲタクである兄の晴郎(草間博紀)のフィギアを引きちぎり、さらには姉の桜(聞間彩)も巻き込んで大喧嘩を始めるが、認知症気味でまったく意に介さずにいる祖父・金鉄(直樹フェスティバル)。騒ぎにようやく気付いた母・順子(東ななえ)が、仕方ないと大鉄に煙草を与えてようやく騒ぎは一段落するが、今度は桜が、今日は彼氏の花丸木(馬越琢己)が家に来る日と聞くと再び期限が悪化する大鉄。ほどなくやって来た花丸木は、爬虫類を思わせるくねくね感ある人物で、話す語尾に「・・らむ」とつけ、おまけにアクシデント的なことがあるたびに、上着もズボンも脱げて白ブリーフひとつの裸身になってしまう変人である。これが、大沢木家ではまともに可愛らしい高校生の桜がなぜ好意を寄せているのか全く不明だが、今日の所は歓迎されてないらむ、と帰る花丸木に安心の大鉄だったが、また災難。今度は、隣家の、小鉄のクラスメートの、のり子の両親である、おとん(伊﨑央登)とおかん(後藤郁)が、ガスも水道も電気も切れたのでと当然のように風呂を借りるべく上がり込んできて、まさに大騒ぎの大沢木家であったが、小鉄が戻らないことには正気に戻る金鉄が探しにゆくと出てゆく。

その頃小鉄は、あの、屋上から落ちた女の子の生死を確かめるべく、自身の責任は無きものとして、のみならず金子先生が落とした犯人であると断定気味に、あの死体を見てきてよ?と命じたところであった。その死体―日向は、少し前に幽体が離脱していて、この学校をさまよう幽霊の山田真夜(中西智代梨)に、自分が不登校で前校を追われ転校したが、母親・ヒカルの元へ行ってしまおうかと悩んではいたところ、小鉄らにびっくりして間違って落ちたのだが、父・太陽(松田岳/小西啓太のダブルキャスト)、あの冷酷に弱者を切り捨てて、ヒカルは死んだ、忘れろ、強くあれ、と一辺倒の父が嫌で、このままで死んでも良いかもと迷っている心情を吐露していた。

まさにそのまま幽霊として、真夜に迎え入れられようというその時、金子先生の、僕が罪を背負ってもと、いつの間にか罪を認めている金子先生が、小鉄に、僕たちは友達だよね、友達だよね!という、その友達、というキーワードに、何等かの反応を示した日向。一瞬の闇の後に、幽体はいつしか再び日向自身の身に戻り、ほどなく起き上がる。い、生きていた!と喜ぶ小鉄は自己紹介で、明日は日向遊ぼうと約束。日向は逆に幽霊の真夜が見えなくなったことで蘇ったことを知ると、小鉄を探しに来た大鉄に呼ばれて、明日な!と帰る小鉄。なお、大鉄には幽霊の真夜が見えるようで、べっぴんさん、ワシのこの禿げ頭を舐めてくれと頼んで帰っていった。一方日向が生き返らせたのは自分?と金子先生と彼女はぎこちなく、ありがとうとどういたしましてを交わしてそれぞれ戻っていった。なお、実は日向が落ちたのは、春巻先生が敷いていた布団の上だから、と言えなくもないが、それは誰も知る由もなかった。

翌日、教室内は、やって来ない春巻先生に代わり、あかねが先生役で教壇に立つが依然として賑やか。給食後の休み時間から5時間目は体育だが、自習として何をして遊ぶかを多数決で決めようとなり、ドッチボールか鬼ごっこかで別れたが、信彦の「ドッチでもいいぜ」が、ドッチボールと評価され軍配があがって時に、春巻先生がひとりの女の子を連れて入室。それは昨日蘇った日向であり、その姿を見て小鉄は、ドッチボールじゃなくて缶蹴りをしようぜ!と提案したとき、教室のスピーカーからマイクテストの声。それは奈々子先生に改めて臨時の校長と紹介された佐川校長の声だった。

今を遊ぶか勉強するかで差が出ると、かつて民子、和江、静香らを前にして言い放った持論を再度ぶち上げて、とくに毎回の全国テストの水準が非常に悪い小鉄たちのクラスには、休み時間なしの罰則を与えると宣言。佐川校長は次第に自身の話に高ぶり、放送室内で、やりすぎですと諫める奈々子先生にも手を挙げてしまうと、奈々子先生が、女に暴力振るうとは何者じゃい、と逆に佐川校長に挑みかかり放送は途切れ、ほどなく教室に戻ってきた奈々子先生は、お前ら!とことん遊べ!と煽る。

だが、佐川校長の計画はこれで終わることはなかった。日向の父・太陽を手始めに生徒たちの家庭に次々と電話をかけて、先の方針を告げ、そうならないように家での勉強を積極的に取り組ませるよう求める。そこで、太陽が、かつて初恋の相手にヒカルを奪い、かつ常に学校で成績が自分を上回る1番であった真壁太陽であると知り、日向の将来を左右するぞと脅すが、太陽にはむしろ佐川校長の方針は思いのこと。宜しく頼みますと肩透かしを食らう。一方大沢木家では、言ってること自体は間違っていないと、消極的ながら理解も示す順子だったが大鉄はそっけない。兄の晴郎は、こうなっちまって、と変わらずセーラームーンのフィギアで楽しむ長男を見るが、どこか、それでもいいのではという感を見せる。そこにのり子のおとん・おかん、あの電話聴いたかと、当初は佐川校長の方針に反発するのだが、同じように晴郎を見て、こちらは、自由の結果が彼か、と考えて、やはり校長の言うことも一理あるのかと思い直す。そこに帰宅した小鉄とのり子に、それぞれの親が話があると告げる。

以下、フグオは両親に縛られて大好きな菓子まで取り上げられ、あかねも母から勉強時間増加に戸惑い、道すがらすれ違う佐川校長には、あっかんべー!と反発を見せる。そして電話のない仁の家には直接訪問するのだが、あの、壊れたテレビとキーボードを懸命に叩き、縦笛のダミー音と紙芝居風に描いた天気図で、あたかもネットがつながったかのように振る舞う健気な仁に驚く中、仁からは新聞の勧誘と勘違いされたまま100円の物乞いに会う始末。母は、労働で対価を得るのだと、貧乏でもそこは芯が通っているのか仁に命じるとささっと佐川校長の靴を数磨きで100万円!と請求する仁。逃げる佐川校長を追い詰めて1000円を手に戻った母は、これでできる!ネット通販が!と再び壊れたキーボードに向かう。そして日向は、太陽から三たびの転校を告げられ、せっかく出来た友達との別れに抗うものの成す術ない自分にもどかしさを覚える。

そうして数日が経過したある日、公園で桜と待合せる花丸木が、また弄られると隠れれば、やって来たのは小鉄一行。みな一様に学校でも家庭でも締めつけが厳しくなり、息苦しさを訴えるが、信彦のように、全国テスト水準が悪いことを認めて、将来か、と何をすべきか答えが出ないことにもどかしい者もいる。親の考えに理解も出来る年頃であるがゆえに、まだ甘えたい自分と葛藤する姿に、つい、親なんてみんな子供第一だよ、と諭す花丸木は、木が引っ掛かり白ブリーフ一枚。遅れた桜に、小鉄、また花丸木君にひどいことしたな、と誤解される。このまま言われるまま大人しくするのか、となった時、居たんだとさえ言われてしまう中田ちゃんが、戦争しかない!と言い切ると興味を示した小鉄。金子先生にその為の武器となるものの準備を依頼して、俺たちは向かおう!学校へ、と急ぐ。

面白いことになってるね、と幽霊の真冬が屋上から眺めると、食物探しに来ていた春巻先生が「気」を感じ抗うと、真冬のパンチがヒットして、日向と同じく柵が切れたところから落下する。続いて真冬が邂逅したのは、帰らない小鉄を探しに来ていた大鉄で、しかしこちらは過去自らのタクシーに乗せた記憶があり、あの時の乗車賃払え!と詰め寄るが逆にこちらのパンチは空を切るのみ。そこに、やはり布団で一命を取り留めた春巻先生と遭遇し、順子やのり子のおとん・おかん達も加わり、どうやら学校に居るらしいとなり向かえば、そこには拡声器で「戻って来なさい」と説得する奈々子先生の姿が。時は間に合わず、小鉄達は屋上に籠城を開始しており、この戦争には一歩も引かないと対抗。集まる親達はただ子供達に止めるように求めるのみで、誰も真意を汲もうとしない。フグオは将来どうあろうと、今好きなものを食べて過ごせないことは我慢できない、あかねは、今より多少時間を制限するなら大丈夫だけど、すべて楽しい時間を奪われるのは拒否する、のり子は、子供の自分が見てもダメな両親だけど、そんな両親が好きだしその子供である自分が好きと、父や母に告げる。続く信彦と花子は、奈々子先生の、親御さん来ていないよ、の報告に怒り、死んでやると飛び降りようとする。

その両者に、あれがあなた達の「結果」だ、と嘲笑う佐川校長。大鉄はたまらずに、自分は無学だが彼らの言うことに何の間違いがあるかと佐川校長に挑むが、あわれ非力なことに自滅。代わって順子が、夫の思いをこめ佐川校長に一撃、失神しまう佐川校長。その佐川校長と考えは近しい太陽は日向に、甘えずに強く生きなければ亡き母ヒカルと同じだと諭すが、そんな母が好きだった自分は父を嫌おう、憎もうとするものの、実はそんな父も大好きな自分が分からなくて悩んできたことを涙ながらに吐露。それを弱さだと、まだわからない太陽に、小鉄がついに爆発。

自分達子供だって、大人の期待も分かるし、そうあろうと努力することもある。でも、まだ子供でいたいという思いを持ってはいけないのか?人生の先輩の大人に教えてほしい。もっと僕らの話を聞いてほしい・・・

その声に最初に反応したのは、失神から回復し、初恋の人ヒカルの死を聞かされた佐川校長で、太陽に(日向は)昔のヒカルにそっくりだと告げ、自分は明日臨時職が解け別の学校に赴任する。彼らは馬鹿な親のあなた達が好きに育てたらよい、良い意味で言いましたよ、と立ち去る。「戦争はあなた達の勝利よ」と奈々子先生に軍配をあげられた小鉄達も屋上を後にして、親達もまた、様々な顔を浮かべながら子供達を迎えにゆく。

下の教室では、あの影薄い3人が、気付かれないほど存在感が無い中田ちゃんに、学校籠城をチクった者として反省させられており、小鉄から強力な爆弾製造を頼まれていた金子先生が、嬉しげにバリカンで髪を刈りたそうにする中田ちゃんを止めると仁が降りてきて、戦争は終わったので撤収を宣言し、金子先生自慢の爆弾を預かる。一方留守を預かる大沢木家の晴郎の元に、学校の騒動を他所に、担任にあるまじく勝手に上がり込み入浴を済ませた春巻先生が、食べ物まで寄越せと厚かましく晴郎と小競合い。最後は「ゴムバッチン」で春巻先生の勝利となる。そこに幽霊の真冬が遊びに来て、人間に直接触れることが出来た事を喜ぶかのように春巻先生と晴郎にはパンチを見舞い、「乳を見せてくれ」と懇願する金鉄には、アホか!と襖を突き破るほどど突く。

時は経ち、太陽の新たな仕事先の海外へ出発はする前日。日向に、お前の幸せを一番に考えることを約する太陽に、ようやくお父さんも大好きだと言えた日向。たがやっと出来た友達との別れに寂しい顔を見せた時、待てよと追い付いた小鉄達。今から缶蹴りしようぜ、との小鉄に、終わるまで待つと許す太陽。日向を親として数を数えるが、どこにも隠れずすぐ見つかる小鉄は、俺たちはずっと浦安にいるからいつでも帰って来いよ!と、今度はおもいっきり缶を蹴飛ばし、みんなに隠れろ!と合図。日向、次は俺たちを探しに来いよ!と、しばしの別れを告げ親子も旅立つ。

数日後のある午後、なぜか仁の母のあのテレビに光が灯り、なんと普通のパソコンのように転じているではないか。その仁の家の前でデートを開始した花丸木と桜は、パソコンに触れるや感電したかのように震える。騒ぎに出てきた仁の母は、これで念願のネットショッピングができると目を輝かせる。そこに学校終わりで遊んでいる小鉄達がやってくると、これ以上母の堕落は見たくないと、仁はあの金子先生の爆弾に点火。ほどなく吹き飛び倒れるあばら家、髪もちりぢで、ね、ネットが、とうわごとの仁の母、そしていつの間にかシャツとズボンが脱げ白ブリーフ一枚の花丸木を、なんで?と指指して驚く小鉄達。日向が次に帰るまで、そんな賑やかな浦安は変わらない毎日を送りそうだ。

・雑感あれこれ

先述したように、小生は原作を知らないで見た者だが、テレビ映画演劇等で実写化された漫画原作ものは、その愛好家達に、一部例外はあれどもたいていは評価低いよね。贔屓のタレントが出ているそうした作品の批判はねえ、あまり見たくないので、これまでも今日千秋楽明けのこれからもググることはしないなあ。

というのは、もえちんもお世話になっている、今作でAKB48の清水麻璃亜さん演じた日向(その父太陽も)はオリジナルキャラクターで、それだけで原作○○○といっちゃう原理主義者っていそうだしでね。でも小生は、劇団ODACが舞台化するなら何かテーマを持たせたい、ということで娘に無理解かつ力だけが強さという父親を設定して、子供側の声みたいなものをぶつけよう的な意図は買えると思うけどね。

その分、勿論小生は知らない、原作が織り成すギャグが舞台でも笑いに結び付いているか、というのは、これは正直両日ともに難しかったと思う。この劇団は、前作の「ダルマ」でも思ったが、20代後半から30代40代前半の女性がコア客層なのが今作で確信できたんだけど、そこにいきなり「うんこ」でも、笑いはないよなあwww。でもそれでいて、両日ともにフグオ役の宮下さんのアドリブ、父母に縛られて父役の佐々木さんに股関を引っ張られた後の、


たま一個減っちった

ちん○ってラスいちじゃね?

アマゾ○で注文できねえかな?


みたいなアドリブwwwが受けたりも、それは不思議だけど、この辺は演者サイドはどう捉えるのかしら?いずれにしろ、漫画のギャグを実演でも受けるようにするのは、かなり高度なものだと小生は理解したがね。その分先述のとおり、小鉄のいとう大樹さんのあの独演に代表されるテーマには入り込めたのは、やはり小生もオヤジだってことなのかしらね。

役者さんでは、これはまず以下の二人には、やはり失礼承知で言及したいけど、金子先生役の高品さんと、花丸木役の馬越さんには、前作「ダルマ」の、シリアスで悲しい役から一転の、老けた小学生と、キモイ白ブリーフの爬虫類と、180度、いや異次元で怪演されたことが素晴らしかった。とくに高品さんは、声まで低めに発声して、オッサン小学生ぶりを印象づけていたのがびっくり。名古屋でのアメフラっシのライブ後の特典会で、両者と共演したもえちんに、

ダルマと天馬(二人の役名)が、

大変なことになってるよ

と話したけど、12日の月曜日だかに観に行ったもえちんにはどう映ったかな?

全体的に出演者が多くて、皆さんのはっちゃけた姿がもっとあれば良いのに、という気はしたけど、仁の母役の千代反田さんや、ダルマでもオカマのコメディリリーフだった晴郎の草間さん、春巻先生役の小林さん、金鉄の直樹フェスティバルさん(この芸名も笑えるがw)、さらに先述の宮下さんなど、振り切りが分かる人達は、さらに振り切るレベルにいるんだろうなと思えたね。

女性では、清水さんはODACや、姉妹劇団なのかな、五反田タイガーで、死んだりなどヒロインが多いが、それだけ大事に看板的に迎えてもらえているのが羨ましいね。もえちんもこの間の配信番組「アメフラしゃべり」で、一度ライブ共演したいといっていたけど、確かにアイドル清水麻璃亜は見てみたいね。あと幽霊真冬の中西さん、彼女もAKB48の人みたいだが、逆にああした起用はアリなんだねと、これもビックリだね。東ななえさんは、また9月にもえちんがお世話になるので、役者としての強い発声を教えてくださいね。そして飯塚さんは、今回は控えめな役どころだったかな。彼女の、身体的な弄りはほどほどで、感情揺さぶる役をもっと見たいね。

そして、全体的に、コンプライアンス的にはなかなかグレーな表現も多かったのは、原作の世界観もあるんだろうけど、演出も気を配っただろうね。貧乏一家・タクシー運転手の描き方・強者の論理・認知症気味の高齢者、表現しないといけないキャラクターをギリギリに描く難しさは、これからの表現業界はますます頭を悩ますんだろうな。いちファンが良かった、と言っても済まないからね。

・愛来初の汚れ役!?

最後は勿論、我が愛来に触れるわけだけど、前に、汚れ役?なんて宣伝記事に書いたけど、そう、登場してすぐに靴でうんこ踏んづけての、仁をどついたりのシーンで、まあ、糞は飼い犬で慣れているかもしれないがwww、実演はいきなり難しいし、仁役の塩﨑さんを叩いたりも、ダルマのもえちん同様、タイミングや力加減など、とにかく登場すぐのシーンが悩みどころだったと思うな。持ち前の努力で、稽古を重ねて完成させていったんだろうけど、あれも笑わせる、って意識したらますます難しかったんじゃないかな。

その分、屋上から母に訴えるシーンは、これはライブ締めの感想を自分の言葉で常に即興で表現してきたので、それを台本に忠実に気持ちいれたら良いだけだから、そう難しくはなかったんじゃないかな、と小生は睨んでいるの。努力の人だと、本人はあのシーンも稽古の賜物だと言うだろうが、あそこは両日ともに、普段のアメフラっシの愛来として普通に出来ていることの再演だよ。自信持っていいし、また、さらに言えば、まだ五反田タイガーさんやODACさんから声かかってない、市川優月・ゆづや小島はな・はなちゃんも、感情こめるシーンなどは普段のライブがそのまま活かせるということで、オファーというその日が来ても、臆せずに臨めると思うよ。

時代は新コロ禍、いやでもそれはついてくる。芸は身を助けるとは良く言ったもので、愛来さて初めて臨んだコメディ作品は、難しいなりにまた財産として残ったことでしょう。なんでも器用に出来ないからこそ、今作で自身だけでなく、ベテランの先輩達でさえも、笑ってもらうための、笑いなき苦しみを味わっただろう姿を目の当たりにしたことで、また小生は愛来のライブに、あっ、あの姿って、浦安の苦労が活かされた部分じゃね?とか、また酒の肴が増えること間違いなし。この夏は本業のライブ機会盛りだくさんの中、身につけ吸収した技は、どんどん出していってね。

あっ、ついたうんこはいらないけどねwww。





 

 

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