理屈とカニバリズム
「ねえ、証拠は?」
彼と出会ったきっかけは、この発言にある。
「だからさ、このお金が君のものだという証拠はどこにあるの?」
少し知恵をつけた猿たちが理屈で彼のお金を奪おうとしている。猿どもは、彼の逃げ場をなくすように、一人のリーダーを中心に彼を囲っている。彼は、傷が多いのか包帯を各所に巻いていた。そのような者に付け入る輩を俺は許せなかった。その包帯は、弱さのシンボルなのではなく、弱く生まれた運命への抵抗という強さの表れだ。
「僕のものだ。この発言が何よりの証拠だよ」
彼は、錦