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バイカルチュラル アセスメント〜ニュージーランドとマオリの文化が混じり合う保育〜

皆さま、こんにちは!ストーリーパーク、インターンのキャシーです。
先日、Yanagi Educational Groupが開催されたニュージーランド保育についての勉強会に参加させていただきました。今回のテーマは「バイカルチュラルアセスメント」(bicultural assessment)で、ニュージーランドとマオリの二つの文化を大事にされるニュージーランド保育では、どのように子どものアセスメントを行なっているかを学びました。ゲストとして、マオリ語、英語、日本語を含む五つの言語がペラペラな、ニュージーランドの元幼児教育者のヒューグリベンさんがお話してくださいました。今回は、こちらの勉強会での学びを共有させていただきたく思います。

バイカルチュラル・マルチカルチュラルとは?

バイカルチュラリズム(biculturalism)とは、二つの異なる国、民族、宗教などの文化を同時に平行して経験をすることです。文化にはたくさんの要素があり、食事、服装、マナー、芸術、祝儀だけではなく、子どもの育て方、勤務時間、そしてユーモアなども含みます。バイカルチュラリズムの意味は幅広く、家庭で両親が異なる文化を公平に子どもと共有することや、子どもが家庭と学校やコミュニティで異なる文化を経験することを示します。マルチカルチュラリズム(multiculturalism)の場合は、二つ以上の文化を経験することを言います。

バイリンガルとはどう違う?

バイカルチュラリズムとバイリンガリズム(bilingualism)は一緒に使われることが多いですが、意味は違います。バイカルチュラルは文化のことを言いますが、バイリンガルは二つの言語を話せることを言います。なので、確かにバイカルチュラルな子どもはバイリンガルなケースは非常に多いですが、必ずしもバイリンガルとは限りません。考えてみれば、異なる文化でも話す言語は一緒だったり、そうでなくても共通する言語で話すことはよくありますね。

バイカルチュラルアセスメント(評価)とは?

ニュージーランド保育におけるバイカルチュラリズムとは、主にニュージーランドとマオリの二つの文化のイマージョンのことを言います。ニュージーランド・マオリの二つの文化を経験する現地の子どもたちを、保育者はどのようにアセスメントをし、どのようなことを心がけているのかが今回のテーマです。ヒューさんは、バイカルチュラルアセスメントにおけるもっとも大切なことはこの二つだと言います。

  1. 「できた・できない」を確認することがアセスメントではない

  2. 何事に対しても、「こうあるべき」という概念を捨てなければならない

バイカルチュラルアセスメントは「できた・できない」ではない

ニュージーランドの幼児教育カリキュラム、テファリキにもよくありますが、アセスメントはこどもができるものとできないものを確認するものではありません。ヒューさん曰く、ニュージーランドでは子どもの学問を重視するのではなく、子どもを全体的に見ることを非常に大切にされています。登園時の保護者の「昨日はよく眠れていない」といったコメントや、お迎え時に保育者から保護者に伝える「今日は〇〇を楽しんでいましたよ」というコメントも、すべてアセスメントになります。幅広い視覚から子どもを観察し見守ることで、固定概念が割合と強い「できる・できない」のチェックリストに囚われず、色々な要素が混じり合うバイカルチュラルな環境でもアセスメントを行うことができます。

バイカルチュラルアセスメントは「こうあるべき」という概念を捨てること

先ほど、固定概念について少し触れましたが、こちらについてもヒューさんが語ってくださいました。バイカルチュラルアセスメントを行うには、何事に対しても否定的にならず、「こうあるべき」という概念を捨てることが大切だとおっしゃいました。保育者も一人の人間で、その本人が関わってきた文化しか知ることができません。だからこそ、新しい文化に触れる際や、自分とは違う意見にぶつかった際に、「そういう考え方もあるのかな?それはどうしてだろう?」と、共感できなくても興味を持って受け入れることが大切だとヒューさんはお話されていました。このように、保育者も子どもと一緒に学び、視野を広げていくことがバイカルチュラルアセスメントなのかもしれません。

バイカルチュラルアセスメントの一つの方法がラーニングストーリー

ヒューさんは、非認知能力の把握や保育者・保護者・子どものコミュニケーションを重点とするバイカルチュラルアセスメントには、ラーニングストーリーの作成がとても適していると言います。文字と写真、イラストや動画などを使って子どもの学びを共有することで、バイカルチュラルなコミュニティの中、深い関係性を築くことができます。そして、蓄積されたラーニングストーリーをまとめた物を教室に置いて、子どもたちが自由に振り返りをし、新たな学びに繋がっていくのを見届けるのが、ヒューさんの一つの楽しみだとお話してくださいました。

勉強会のお知らせ

Yanagi Educational Group開催の勉強会、まだまだ続きます!ニュージーランド保育にご興味のある方は是非以下のポスターをご覧ください。

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