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【特別公開】≪緊急講義2≫ クライムノベルは何を達成できるか?

次代のプロ作家を育てるオンラインサロン"「私」物語化計画"の本編。タイトルは『緊急講義2 クライムノベルは何を達成できるか?』。前回に引き続き、クライムノベル(犯罪小説)の話だ。最近に起こったさまざまな事件を受けて、クライムノベル(犯罪小説)の持つ構造について講義は展開している。

《「児童ぶっ殺す」と長男 元次官、川崎殺傷よぎり殺害か》
元農林水産事務次官の熊沢英昭容疑者(76)が東京都練馬区の自宅で長男(44)を殺害したとされる事件で、長男が事件直前、運動会中の児童らについて「ぶっ殺す」と発言していたことが、捜査関係者への取材でわかった。
(中略)
気を取り直して、クライムノベル(犯罪小説)の持つ構造について解説していきたいと思う。

引用:緊急講義2 クライムノベルは何を達成できるか? 山川健一

Webサイト上にテキストの冒頭部分が特別公開されている。まずは、これををチェックした上で、わたしの感想を読んでいただければと思う。

わたしの感想

今回は、元農林水産事務次官の父が息子を殺害した事件から、山川健一さんの著作『安息の地』、それにドストエフスキーの『罪と罰』などに触れながらクライムノベルの構造を……そんな講義の内容だった。

『安息の地』は、両親が23歳の息子を殺すという実際に起った事件を元にしたノンフィクション・ノベルである。山川健一さんの著作の中でも個人的に最も好きな作品のひとつだ。興味ある方は、ぜひ一度手にとってほしい。

さて……。

元農林水産事務次官の父が息子を殺害した事件で最も気になったことがあった。事件そのものではない。事件を巡る周辺の話というべきか。当事者ではない外野の反応というか。代表的なコラムを挙げれば、下のこれ。先に書いておくけれど、決して橋下徹さんの意見を非難するわけではないからね。

唐突だが、小さな頃からサスペンスが好きだ。推理小説や探偵小説なんかも含めて。尊敬する人物はアインシュタインとアンディー・ウォーホルと、エルキュール・ポアロだからね。ポアロはアガサ・クリスティの小説に登場する探偵だ。なぜだか、ひとりだけ架空の人物。

そんなサスペンス脳のわたしが常日頃から意識しているのは物事を単純に信じないってことだ。

サスペンスの常套では、物語の序盤でものすごく怪しい人物が実はとても良い人で、犯人ではなかったりする。逆に、好人物だと思われていた人が悪人だったり。その裏をかいて、疑いの晴れた怪しい人物がやっぱり真犯人だってこともある。まあ、サスペンスにはあらゆるパターンが存在している。

元農林水産事務次官の父が起こした事件で気になったのは、現時点でハッキリとした事実、真実に近いと思われる事柄が少ないってことだ。息子は死んでしまっている。ここまで報じられている事柄は元農林水産事務次官の父が逮捕されてからの供述、それにマスコミが調べた近隣の人や息子の知り合いからの話だけだ。

これらは真実ではない。

事件はそれまでの流れで語られる。外野は印象で物事を捉える。

川崎市で児童ら20人が殺傷された事件の延長線上にこの事件が乗っている。農林水産事務次官という肩書をもっていた人が起こしてしまったのだから、よほどの思いつめた動機があったのではないかと思われている。

これ、怖いなと感じる。

もしかしたら、川崎市の殺傷事件が引き金になったというのは隠れ蓑で、まったく別の動機が隠されているかもしれない。もしかしたら、それ以前、数ヶ月前に息子と同居を復活させてから計画していたことなのかもしれない。そもそも、まだ、元農林水産事務次官の父は容疑者である。

この事件、全容の解明(そんなことが人間にできるとは思っていないのだけれど)は何も成されていないのが現状だ。

今日の時点で事件のあれこれについて、名前の通っている人たちが何らかの決めつけを元にした各自の意見を語ることが怖い。そう感じてしまう。

これまで起こった多くの事件でも同じようなことがあった。流れや印象といった不確かなことで、事件を単純化しないほうがいいと感じてしまうんだよね。サスペンス脳のわたしとしては。

真実はいつもひとつ!なんてコナンくんは言っているけれど、真実とはなんぞや?と思うし、ひとつに限定されるほど物事はシンプルではないと思っているんだわ。


Text:Atsushi Yoshikawa

(注)感想はあくまでも、わたし個人の感想です。決して、"「私」物語化計画"の講義に対する正答や正解ではありません。

#オンラインサロン #私物語化計画 #山川健一 #小説 #クライムノベル


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