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実践コース:課題.6【「私」を分割する】"「私」物語化計画"

オンラインサロン"「私」物語化計画"の「実践コース」。第6回のテーマは『「私」を分割する』だ。

何やら抽象的な課題だが、内容はものすごくシンプル。

自分という人間をよく内省してみて、人格を2つに分割してみてください。それを具体的な2人の登場人物としてキャラクターメイキングし、2人が会話するシーンを小説として書いてください。今の自分を分割するのでもいいし、過去の自分と今の自分に分割しても構いません。(400字×5枚程度)

"「私」物語化計画"の「実践コース:作家へのロードマップ」では参加者に毎月課題が出される。課題を提出すると、山川健一さんとプロの編集者による赤字・添削を受けることができるコースだ。

わたしの感想

小説の登場人物は、いかなる場合も作者の分身です。

引用:課題.6【「私」を分割する】 山川健一

あったりまえの当然の常識だ。

世界を言葉で捉えようとする。その言葉を選ぶのは自分という意識以外にはありえない。「私」という代物に備わった目や耳や鼻や皮膚やそんなもので太陽系第三惑星と呼ばれる場所で周囲を眺めている。

例えば、地球の裏側にあるカフェですべての財産を失った初老の男が有り金をはたいたコーヒーをすすりながら石畳の歩道に虚ろな瞳を落としていたとしても、いったいどんな気持ちでそれを見ているかなんてわからない。

例えば、長年の戦乱で荒れ果てた農村に産まれたばかりの赤ん坊が母親からミルクをもらっていたとしても、その赤ん坊がどんな思いで母親に抱かれているなんてまるでわからない。

例えば、遥か彼方から漂流してきたひとりぼっちのエイリアンがエンジンが停止してしまった宇宙船内で最後の水を身体に流し込んでいたとしても、彼の絶望がどれほどの絶望なのかなんてこれぽっちもわからない。

もちろん、想像はできる。

ただ、それは「私」という意識での想像だ。決して、その想像は「私」の範囲を超越することはできない。そういうものだ。人間なんて、人間の思考なんて、たかがしれている。

小説の登場人物は、いかなる場合も作者の分身です。

この文章が意味するのは「あなたが書いている小説に出てくる主人公って、あなたなんでしょ?(ムフフ)」のような単純な話ではない。小説に書かれているすべての文章が、言葉が、作者自身の投影であるってことだ。作者が知らない世界であろうと、知らない言葉であろうと、作者自身の感覚で選んだのであれば、それはそれでやはり「私」の範疇内だってことだ。

というわけで、自分の人格を2つに分割して、2人が会話するシーンを400字×5枚程度の小説にしてみましょう。

でも、もしかしたら「私」の世界で最もわからないのは「私」自身かもしれない。そう思う。自分のことを冷静になんて見られないよね。あのとき、なんであんなことをしたんだろうとか、いっぱいあるもんな。「私」のことが一番わからない。ぜったい、そうだよね? いや、きっと、そうだ。

ニンゲンって、脳って、不思議だなー。


Text:Atsushi Yoshikawa

(注)感想はあくまでも、わたし個人の感想です。決して、"「私」物語化計画"の講義に対する正答や正解ではありません。

#オンラインサロン #私物語化計画 #山川健一 #小説 #私を分割する




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