【短編小説シリーズ】セラセラハウス 101号室:名前のない猫
101号室
名前のない猫ねーねー
彼女の声が聞こえて目を覚ました。昨夜飲みすぎたせいか頭が回らない。ここはどこだっけ。カーテンは見慣れた淡い青。ああ、お家だ。よかった。ちゃんと帰ってきたんだ。慌ててベッドの隣を確認した。見知らぬ女の子も連れてきていない。よかった。
ねー
また僕を呼ぶ声。1週間ぶりかな。先週は飲み屋を転々しているうちにどこかで出会った見知らぬ女の子を連れてきたのを彼女にばれてしまった。それから彼女は来てくれなかったのだ。ごめんね。
ねー
「はーい、いるよー