【短編小説シリーズ】セラセラハウス 103号室:BREEZE * FREEZE
103号室
BREEZE * FREEZE
あの人から電話がかかってきた。電話というより、メッセンジャーからの通話だった。そういえば、未だに彼の電話番号も知らない。大塚有海は今更そのことに気が付いた。
『何してるの?』
ちょうど帰宅して玄関のドアを閉めるところだった。入って右側にある姿見鏡の中に映っている有海は濡れていた。冬の雨は寂しい。心の中で独り言を言いながら、今日は初雪が降ると、声を弾ませて天気予報を伝えていたお天気お姉さんの言葉を思い出した。コートから雨粒がぱら