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ベルサイユへ行きました。⑨

バック・トゥー・ザ・リアルワールド

 帰りは、エリが別路線にあるクライアントのオフィスで会合があるというので、ベルサイユで別れることになった。
「電車、もうちゃんと動いているみたいだから。でも、ようちゃん、降りる駅、分かる?」
「うん、大丈夫よ」
「ふふ、そうよね、もう立派な大人だもんね、私達」
「エリも、お仕事、がんばって」
「うん、バック・トゥー・お仕事」
とエリは笑った。
「うん、バック・トゥー・ザ・現実、だね」
 と私も笑った。

 別れる前に、エリとラインで繋がった。きっと会うことはない。それでも繋がっている。それでいい。
 私は一人でどうしよう。そうだ、サンジェルマン・デ・プレを歩いてみようか。ドゥマゴに寄ってもいい。
一人でも大丈夫。うん、もう大丈夫。

終(Merci!)

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