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記録を振り返ることはあるか?

日常生活において、私たちは様々な記録をとる。カメラ付き携帯の普及、そしてスマホの普及に伴い、写真という形で記録に残す人も多いのではないか。しかし、記録を残す一方で、その記録を振り返る人はどのくらいいるのだろうか?

飲食店や観光スポットを巡ってはスマホを構える。スマホに保存されている写真のデータは膨らむばかり。たくさん撮った写真の中からSNSにアップされるのはごく一部。もはやこれは、記録に残す作業ではなく、素材を集める作業になりつつある。

写真を振り返り、こんなことがあった、あんなことがあったと懐かしむ行為自体が「ノスタルジー化」してしまっている。では、思い出はどうやって振り返るのかと疑問に思うのだが、それもこの時代にはそぐわないのかもしれない。

なぜなら、過去を懐かしむことより大量の最新コンテンツに対応するのに急しているからだ。つまり、新しいサービスやコンテンツが凄まじい速さで世に放たれていることで、過去を懐かしむ時間がないのだ。その証拠に期間限定のコンテンツとして、昭和を懐かしむコンテンツや過去に流行ったファッションの再流行など、過去を懐かしむことこそがコンテンツ化されている。

定期的に訪れる過去を懐かしむコンテンツによって、自らの意思で過去の記録を振り返る必要がなくなった。昔は、写真を現像することで過去を具現化し、懐かしんでいた。今の時代、過去は写真を撮った瞬間にデータとして受け取ることができる。いつでもそのデータにアクセス(閲覧)することができるため、今見なくてもいいとういう感情が生まれる。

この記録を手軽に残せることからも、とにかくたくさんの記録を残すことに気が入ってしまっている。一方で、過去を生きた人たちからは「あの時代は良かった」という言葉もよく聞く。記録をとることに必死になっている私たちは自分たちが生きた過去を振り返った時に何を思うのだろうか?

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