[5000字] "歌舞伎"になった仮面ライダー。庵野秀明『シン・仮面ライダー』について②
≪前回≫
②「人間」の物語をどうするのか?
「シン」シリーズ特撮映画のコアとなる構成要素を「特撮映画を"現実"的な描写で肉付けすること」として把握すると、その肉付けの対象がある種の偏りを持っていることに気付く。
『シン・ゴジラ』では政府および自衛隊の意思決定フローや作戦行動の描写が大半のシーンを占め、『シン・ウルトラマン』でも政府交渉や公安および禍特対の描写が当のウルトラマン自身の物語を圧迫するほどの分量におよぶ。人と人との対話やそこから生まれる心情変化、いわゆる「人間」