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『オルフェウスの窓』考/1巻〜3巻

『オルフェウスの窓』(池田理代子)全18巻を読み終えてしばらく経つのだが、物語の世界に没入してしまい、現実の世界に戻ってこれなくなっている。
忘れよう、忘れようとするほどに、気になってしまうので、この際もう少し向き合って飽きがくるのを待とうと思う。

年表で時間感を把握してみる

『オルフェウスの窓』は、『週刊マーガレット』に掲載されていた第1部レーゲンスブルク編、『月刊セブンティーン』に連載の場を移した第2部ウィーン編、第3部ロシア編、第4部完結編に分かれている。構成は緻密かつ複雑で、第2部と第3部で時代が同時進行していたり、第1部に登場するクラウスの幼少期が第3部に描かれていたりと、入れ子のように時代が入り組んでいる。
この際、『オルフェウスの窓』の年表のようなものを作成して、全編を通しての時代の流れを把握してみようと思う。

キーワードで読み解いてみる

子どもの頃に読んだ『オルフェウスの窓』は、第一次世界大戦やロシア革命という時代背景が理解できずに、読み飛ばしてしまった。大人になって、歴史がわかってきた今だからこそ、改めて読んでみようと思ったが、結局は登場人物たちが織りなす物語に夢中になってしまって、背景にある歴史や神話などについてはまたしても読み飛ばしてしまった。
『オルフェウスの窓』は全編を通してサスペンスタッチなことと、各人物のエピソードやや心理を細密に描写しているために感情移入しやすく、ついついこの先どうなるんだろう、この人間関係はどう展開するのだろうということが気になってページを捲るスピードが加速してしまう。
声楽家であることはもちろん、歴史家であり哲学者といっても過言ではない池田理代子先生の超大作らしく、本来は、歴史、神話、音楽を把握してこそ物語の深みが増す構成になっている。そこで、もう一度1巻に立ち戻り、歴史的背景や文化的な事項など把握しておくべきキーワードについても振り返ってみたいと思う。

まずは1巻から3巻

オルフェウスの窓考察1_1

オルフェ2RGB

オルフェウスの窓考察1_2

アルラウネRBG

オルフェウスの窓考察1_3

1巻から3巻では、ユリウスは血気盛んだ。クラウスにも無邪気なところがある。後半からは段違いに重いストーリーになり、池田理代子先生が考える人生とはかくも苦しきものなのかと読んでいるこちらまで胸が苦しくなるので、この1巻から3巻の記憶は全編を読み通すに渡っての救いとなる。
最後にダーヴィッドが言うところの「素晴らしい少年時代だった」は、この1巻から3巻があってこそ言葉といえるのではないだろうか、






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