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色温度の話

以前、茨城新聞の連載で車のヘッドライトと色温度の関係を書いたことがありますが、今回は写真や気象とも関係のある話になります。日常的にデジタルカメラを使用している方なら、色温度についてある程度理解していると思います。夕焼けをより印象的に撮影するにはWBオートよりも曇りや日陰にした方が赤みが増すなど、写真と色温度は密接に関係しています。

いきなり話が飛びますが、先日のこと、雷雨の撮影を終えて帰宅する途中、6000K(ケルビン)のLEDバルブで前がよく見えず、非常に怖い思いをしました。以前はハロゲンでしたので、4000~5000Kでややオレンジ色っぽい光でした。最近は6000K前後が主流で白い光が好まれます。しかし、色温度が高くなるほど透過率が下がり、荒天時には雨粒などに反射して路面を照らしにくくなります。さらにLEDは遠くまで光が届く反面、広がりがないため手前や周辺が見づらくなります。雨や霧の多い日本では3800~4500K程度が適していると思われますが、ここ数年の傾向で、より白い6000~6500K前後が主流になっています。

イエローバルブ(2800K)とクリアバルブ(4850K)

赤信号や自動車のテール/ブレーキライトが赤いのは、透過率が高く悪天候の中でも視認性に優れているからです。赤を色温度で表せば2000K以下になります。ウインカーのオレンジ色が2000Kで。ロウソクの火と同じくらいの色温度になります。3000K前後の黄色いヘッドライトバルブもありますが、平成17年12月31日以降に製造された自動車に装着すると保安基準に適応せずに違反となります。当然、車検も通りません(補助灯はOK)。

色温度簡易チャート

デジタルカメラのプリセットWB(ホワイトバランス)には、オート、太陽光、曇り、日陰、蛍光灯、電球、ストロボなどがあります。その中で基準になっているのが太陽光の5500Kです。フィルム時代から写真に関わっている方なら、デイライトフィルムが5500Kに準じてきたことをご存知だと思います。その名残で太陽光(デイライト)が基準になっているわけです。WBを色温度で表すと、電球が3000K、蛍光灯が4000K、太陽光が5500K、ストロボが6000K、曇りが6500K、日陰が7500Kになります。色温度が低くなるほど暖色系になるため、それを補正するために青みを強く、色温度が高くなるほど青みが増すため赤みを強くして補正しています。逆にわざとWBを崩して作品作りに活かすことも出来るわけです。

山の稜線を超えて登る朝日

空の色と色温度も関係があり、朝日や夕日は2000~3000K、満月は4000K、正午の太陽光は6000K、青空は12000Kになります。太陽の光は日の出から徐々に色温度が高くなって正午頃にピークを迎え、日没に向かって徐々に色温度が低くなっていきます。太陽光は基本は白で、地球に到達するまでに大気中にちりなどにより散乱するため、波長の短い青(色温度が高い)は届きにくく、波長の長い赤(色温度が低い)は散乱せずに地球に到達します。朝夕は太陽光が大気を通る時間が長いため、青い光は届きにくく、赤い光だけが地球まで到達します。夕日が赤いのはそのためです。

遠くの雷は赤く見える

雷にも同じことが言えて、遠くの雷は赤や黄色に見えますが、近くの雷は青白く見えます。これも稲光が大気中のちりや雨粒で散乱するため、遠いほど波長の長い赤や黄色に見えるというわけです。雷の色温度は高く、7000~8000Kで青白い光りです。英語圏では雷の色をエレクトリックブルーやエレクトリックパープルと表します。

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