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日本の出生率1.2と今後の展望

こんにちは、ウェルビーイング専門家のキフネです。

2023年度の人口動態統計発表

2024年6月5日に2023年度の人口動態統計が発表されました。2023年の日本の出生数が72万7,277人と過去最低、合計特殊出生率も1.2と過去最低を記録しました。さらに、人口の自然増減数も84万8,659人で過去最大の減少となっています。

私自身、この数字を目にしたとき、そこまで驚きませんでした。なぜなら、もう何十年も前から少子化が進んでいると叫ばれ、実際に出生率が下がり続けている現状を感じていたからです。

では、この数字が意味することを、詳しく見ていきましょう。

日本の人口減少の推移

まず、日本の人口減少の推移を見てみましょう

人口動態調査より作成

次に、合計特殊出生率の長期的な推移を見てみましょう。

このグラフから、人口減少のペースが加速していることがわかると思います。この傾向が続けば、日本の人口構造は急速に変化し、社会や経済に大きな影響を与えることは間違いありません。

人口動態調査より作成

合計特殊出生率とは、一人の女性が生涯に産むと推計される子どもの数を示す指標で、人口を維持するためには、この数値が2.1程度必要だとされています。これまでは2005年の1.26が最低の数値でしたが、その後回復。しかし、2015年を境に減少を続け、2023年には1.2まで落ち込みました。

他の先進国との比較

出生率を他の先進国と比較してみましょう。

  • フランス:1.83

  • アメリカ:1.66

  • イギリス:1.61

  • ドイツ:1.53

  • イタリア:1.25

日本の出生率の低さが際立っていることがわかります。特にフランスとの差は大きく、フランスの出生率の高さは、手厚い子育て支援策が功を奏していると言われています。

日本の出生率低下の要因

では、なぜここまで出生率が低下しているのでしょうか。主な要因として、以下が挙げられます。

晩婚化・晩産化の傾向

2022年の平均初婚年齢は男性31.1歳、女性29.4歳で、1980年比で約3歳上昇しています。また、第1子出産時の母の平均年齢は2021年で30.9歳まで上昇しています。この傾向は、キャリア形成や経済的安定を優先する価値観の変化を反映しています。

子育てにかかる経済的負担の増大

教育費の高騰が大きな要因です。文部科学省の調査によると、子ども1人あたりの教育費総額は、幼稚園から大学まで約1,000万円にのぼります。これに加え、習い事や塾などの費用も年々増加傾向にあります。

雇用の不安定さと所得の伸び悩み

2021年の総務省統計では、雇用者の約37%が非正規雇用です。また、実質賃金は2000年以降、ほぼ横ばいか微減傾向が続いています。この状況は、若者の将来への不安を助長し、結婚や出産の決断を躊躇させる要因となっています。

仕事と育児の両立の難しさ

長時間労働の問題や、保育所不足が依然として解消されていません。2022年4月時点で、待機児童数は2,944人いました。また、職場の理解不足や、育児休業を取得しづらい雰囲気も、仕事と育児の両立を難しくしています。

コロナ禍の影響による将来への不安

経済的不安の増大や、結婚・出産の延期につながっています。特に、対面でのコミュニケーションが制限されたことで、新しい出会いの機会が減少したことも影響しているでしょう。

価値観の変化

結婚や出産を人生の必須イベントと考えない人が増加し、多様なライフスタイルの選択が可能になっています。「結婚しない自由」「子どもを持たない選択」を肯定的に捉える風潮も広がっています。

対策と未来への提案

これらの要因を見ていると、個人の努力だけでは解決できない社会構造の問題が浮かび上がってきます。特に、経済的な問題は大きいと感じます。私自身、子育てと仕事の両立に悩んだ経験がありますが、周りを見ても同じように悩んでいる人が多いです。長時間労働や柔軟性のない勤務体系が、子育てとの両立を難しくしている現状は、早急に改善が必要だと感じます。

例えば、フレックスタイム制やリモートワークの拡大、育児休業の取得促進など、働き方の多様化を進めることが重要だと思います。また、価値観の変化も重要なポイントです。「結婚して子どもを持つ」ことが当たり前ではなくなってきている中で、それぞれの選択を尊重しつつ、子どもを持ちたい人が持てる環境を整えることが重要ではないでしょうか。そのためには、社会全体で子育てを支援する体制づくりや、多様な家族のあり方を認める法整備なども必要になってくるでしょう。

まとめ

今回は、日本の出生率の現状と、その要因について詳しく見てきました。この問題は、私たち一人一人の人生設計から、日本社会の未来まで大きく影響する重要なテーマです。次回は、この問題が社会に与える影響と、私たちにできる対策について考えていきます。

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