幻のマロンパイを食す
"四季の中で、どの季節が一番好きか。"
そう聞かれたら、私なら"秋"だと即答する。
色づくはっぱに、金木犀薫る道。
少しセンチメンタルな冷たい空気。
夏や冬と比べ、ずいぶんはやく過ぎ去ってしまうことも、秋を愛おしく感じる要因のひとつなのかもしれない。
そして何より、豊かな食を楽しめるのも、
秋の大きな魅力だろう。
秋鮭、
秋刀魚、
キノコ、
りんご、
葡萄、
梨、
さつまいも、
新米、
栗。
忘れちゃいけない、月見バーガー。
ハァ、思わず溜息が漏れてしまう。
ずっと秋が続けばいいのに。
先日、午前中に用事で出掛けた帰り、ある人気の洋菓子屋さんの前を通りかかった。
マツコ・デラックスの番組に出演するほどの人気有名店で、遠方からのお客さんも少なくないのだそうだ。
私も、よくこのお店でケーキや焼き菓子を購入している。
芸術作品のような洋菓子たちは、味も見た目も最高クラスで、来客時や誕生日などのイベントに欠かせない存在となっている。
うんうん、テレビでマツコさんが唸るのも、最もだ。
せっかく通りかかったので、中に入ることにした。もしかすると、新商品が出ているかもしれない。
それになんだか、急に甘いものが食べたい口になった。
店内に入ると、期間限定で「マロンパイ」が売られていた。店頭に並べられており、つやつやと光っている。
へェ、マロンパイか。風流ですなァ。
人気店であるため、お客さんの出入りがなかなか激しいわけだが、注意してみてみると、多くのお客さんが、マロンパイを買い求めているようだった。
どのお客さんも「マロンパイ、まだありますか?」と前置きをして、「じゃあ、2つください」とか「4つ箱に詰めてください」などと言っている。
そ、そんなに人気なのか…。(ごくり)
30個ほど並んでいたマロンパイが、あれよあれよと減っていき、残りわずかとなってしまった。
もちろん、この一部始終を眺めておきながら、
何のアクションも起こさず帰るわけにはいかなかった。
急いで店員さんに声をかけた。
「マロンパイ、2つください」
店員さんがニコッと笑い(可愛い…)、
マロンパイを紙袋に包んでくれた。
「このマロンパイってすごい人気なんですね」
「はい、店頭に出て1時間ほどでなくなっちゃうんですよ」
なに!ソレスナワチ、幻のマロンパイ。
早く帰って、食べたい。
そのマロンパイが、こちら。
これは、マロンパイっつう名の、秋誉まれ。
カラメル(間違えてたら、本当ごめんなさい)が絶妙に焦がしてあって。中には、たいそう育ちの良さそうな栗がまるごとひとつ。
一保堂のほうじ茶と一緒に。
また、秋の美味しいをひとつ知ることができた。
ご馳走さまでした。
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