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現役世代の負担を増やすインボイス制度の税収を少子化対策に充てる矛盾への抗議声明


2023年12月11日に公表した「こども未来戦略」案で、政府は「インボイス制度導入に伴う消費税収相当分も活用する」と明記しました。
現役世代に負担を強い、少子化を加速させる“インボイス増税”の税収を子育てに回すというやり方は矛盾に満ち、醜悪です。 「インボイス制度を考えるフリーランスの会」は、少子化対策に反対しているのではありません。 少子化対策を大義名分にし、私たちを分断させる姑息な手段をとる政府に強く抗議し、改めてインボイス制度の中止・廃止を求め、2023年12月20日に以下の声明を出しました。



● 現役世代の負担を増やすインボイス制度の税収を少子化対策に充てる矛盾への抗議声明

12月11日、政府が発表した「こども未来戦略」案(以降、案)の中で、少子化対策の財源として、「インボイス制度導入に伴う消費税収相当分も活用する」と注釈で記載があった(※1)。一方で、案には、「少子化対策の財源確保のための消費税を含めた新たな税負担は考えない」とも記述がある。しかし、インボイス制度は現役世代を直撃する消費税の増税であり、「消費税を含めた新たな税負担は考えない」とする説明は破綻している。

約3000人の声が寄せられたインボイス制度開始1ヶ月緊急意識調査(※2)では、結婚・出産・育児にかかわるメイン層である20〜40代までの回答者が全体の約75%を占め、全回答者の約7割が、事業・仕事の見通しについて先行き不安を訴えた。
「子育てのために業務委託にしたのに手取りがもっと減ると困る」「生活が苦しくなることは目に見えている。家族計画も考える年齢だが、子どもを望んでいいかもわからない」といった声からも、“インボイス増税”が出産、子育てに悪影響を与えていることが明らかで、自由解答欄で出産・子育てといったライフプランへの影響を訴える声が散見された(コメントの一部を下記に記載)。

政府は、案の中で何度も、少子化対策は「2030年までがラストチャンス」と説く。しかし、インボイス制度の経過措置は2029年9月末で終わる。以降、インボイス登録をした年商300万円の事業者の消費税納税額は現在の5.4万円から13.6万円となり(※3)、社会保険料と合わせると手残りは86.9万円(月7万円程度)という試算もある(※4)。「若者・子育て世代の所得を伸ばさない限り、少子化を反転させることはできない」とする案と逆行するインボイス増税で、「若者・子育て世代の所得」から搾り取った税収を少子化対策に充てる行為は愚策としか言いようがない。

さらに意識調査の中には、「毎日常々いつ自殺するかを考えるようになった」といった、「死」を意識するコメントも14件、確認された。それらの回答はすべて、年商1000万円以下の免税事業者からの回答であった。意識調査の回答者のうち、免税事業者は6割の約1700人である。約500万者とされる免税事業者に対し、単純にこの数字を当てはめると、4万人以上の免税事業者が、インボイス制度によって死を意識していることになる。
案の通り、「我が国の持てる力を総動員し、少子化対策と経済成長実現に不退転の決意」で臨むのであれば、少子化のみならず、今を生きる私たちの未来までをも奪うインボイス制度は中止・廃止しかない。

 最後に。本声明は、少子化対策に反対するものではない。現役世代に負担を強い、少子化を加速させる“インボイス税収”を子育てに回すという、矛盾に満ちたやり方に対する反対声明である。少子化対策を大義名分にし、私たちを分断させる姑息な手段をとる政府に強く抗議し、改めてインボイス制度の中止・廃止を求める。

※1 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai8/siryou1.pdf
※2 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000110508.html
※3 簡易課税制度で第5種の場合
※4 2022年11月2日衆議院財務金融委員会 共産党・田村貴昭議員の質疑より

● インボイス制度開始1ヶ月緊急意識調査に寄せられた声の一部

【 注 】以下のコメントの中に、「死」について触れられているものがあります。 当会としては、寄せられた皆さんの切実な声を国やメディアに届けていく必要があると考え、本稿で紹介しています。 同じような思いを抱えている方もおられるかもしれません。一人で抱え込むことなく、下記「まもろうよこころ」へ等の相談サービスを受けられることをおすすめめいたします。

「そもそもコロナ禍による直接的・間接的な影響で仕事が減った中、消費税として納税しなくてはいけなくなるため、生活が苦しくなることは目に見えています。また先々のことを考えると不安であり、それによりメンタルが弱っています。家族計画も考える年齢ですが、子どもを望んでいいかもわかりません。仕事が得られるかどうかは能力次第なのかもしれませんが、不甲斐なく感じています」(30代/フリーアナウンサー)

「この物価高で収入が減ったにも関わらずインボイスにより経理業の仕事量は増え、時間もお金もゆとりがなく厳しくなった。下がった報酬分、他の事業をし、常に仕事に追われています。頼れる家族もいない中、誰にも迷惑をかけずに子育てと両立したくて個人事業主になり細々とやってきましたが、疲れました」(30代/サービス業)

もともと子育てのために業務委託にしたのに手取りがもっと減ると困る」(30代/美容師)

「一人経理で他の業務をこなしているので時間が足りない。子育て真っ最中なのに子どもたちにかかわれない」(40代/会社員)

「インボイス未登録を理由に取引先から『人件費削減』の名目で業務量を半分以下にされてしまった。現在は子が小さいため、就職活動も十分に出来ない。保育園の入園も業務量が安定しない為に見通しが立たず、八方塞がりな状態にある」(30代/情報サービス業)

子育て中で思うように働けず収入が極端に少ない&しばらく会社員に戻ることもできない事情があるため、しばらく免税業者のまま様子を見るつもりだが、取引先から敬遠されるのではという不安が常にある。育児中で仕事や事務に使える時間の制約がある上にさらに負担(お金だけでなく時間や精神的なものも)が増えた」(30代/サービス業)

将来子どもを出産したいので、ある程度稼げて時間の自由がきく個人委託のドライバーの仕事を始めたが、実際はお金がなくて食べることだけで精一杯になっている。インボイスの影響か、インボイスの未登録でもOKな某配達プラットフォームは報酬が減った気がする。今までのお付き合いの会社は、インボイス未登録でも仕事を回してくれたが、報酬を前より少なくすることで合意した。収入が減ったので新しい取引先を探そうと連絡してもインボイス登録をしないと仕事をあげられないと電話越しで断られてしまう。報酬が少なくなった上に、新規開拓できないことが残念でならない。出産費用が集まる気がしない。泣きたくなる気持ちでいっぱいだ」(30代/運輸業)

「会社員としても働いているが、物価高など、生活していくのに十分とは言えないし、退職金なども出る会社ではないので老後の蓄えとこれから教育費もかかるであろう子どものためにクリエイター業は貯金するために続けたいが、ここまで増税されたのでは本当に働くことにメリットが薄くなるし、ここまで利益が出なくなっては働こうという意欲がなくなってしまう」(40代/会社員とクリエイターの兼業)

ただでさえ少ない報酬が減る。子どもが産まれるのに困る」(30代/アニメーター)

毎日常々いつ自殺するかを考えるようになりました」(20代/クリエイター)

「ただでさえ収入が少ないのに、これから先に見えている超値上げ、さらなる増税を考えると吐き気がします。年齢的に潰しも効かないため、生活保護の文字が頭をよぎります。子どもを作らなくて本当に良かったと思っています。はやく○なせてほしいです」(40代/クリエイター)

「登録せざるを得なくなったら単純に収入減となるだけ。精神的に追い詰められて死にたくなることがある」(30代/クリエイター)

「サービス業で、手取りから月額半分以上事業所に払っている。更に税金を払うと利益も事業を行う意味もなくなる。自殺も検討しています。どうせ親戚付き合いもない独り身なので、自殺をしてもよいのですけどね」(40代/サービス業)

「普通の人には問題なくやって行ける制度かもしれませんが、僕はギリギリで音楽活動と生活を両立してきたので、今まで通りでは生きていけないと感じています。こういう生き方を選択した自分の責任ですので、黙って死んでいくしかないのかな?と思っています」(40代/クリエイター)



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