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9.4 STOP!インボイス 緊急提言&署名手交&記者会見(当日の要約リポート)

2023年9月4日、インボイス制度を考えるフリーランスの会(通称「STOP!インボイス」)はインボイス制度の中止・ 延期を求める緊急提言を発表し、これまでに届けられた36 万 1,171 筆のオンライン署名とともに、 財務省、国税庁、公正取引委員会、各政党へ手渡しました

財務省、国税庁、公正取引委員会に、36万筆超の署名と緊急提言を手交

月曜の日中にもかかわらず、衆議院第一議員会館・大会議室の会場は350 人の一般参加者、超党派の数多くの議員、50社ほどの報道陣(フリーランス含む)で立ち見が出るほどの超満員生配信は常時 2000 人以上が視聴し、同日16 時時点で 10000 回弱の再生回数となりました。
手交に合わせて行った記者会見では、インボイス制度の実務にあたる 700 名超の経理担当者に行ったアンケート結果の速報も発表経理担当の3割強がインボイス制度を理由に「経理の仕事を離れたい」と考えている実態が明らかに。
また、安倍内閣の内閣官房参与を務めた京都大学大学院教授・藤井聡教授が「インボイス制度は消費税増税である」「経済状況が極めて苦しい今のタイミングで導入すべきではない」として、強く警鐘を鳴らしました。
その他、軽貨物業界、農業など、さまざまな立場の当事者から苦悩の現状報告がありました。

以下、当日の式次第に沿って概要を報告します。


1.提言発表に向けて 
小泉なつみ(インボイス制度を考えるフリーランスの会・発起人)

小泉なつみ(インボイス制度を考えるフリーランスの会・発起人)

私たちが今日、制度開始27日前に改めて強く「STOP!インボイス」を主張するのは、インボイス制度が、この国らしさをかたちづくる文化と産業を破壊し、私たちに分断と増税、混乱を招く稀代(きだい)の悪法だからです。
私たちの強みであるオリジナリティの芽を摘み、煩雑で一切生産性のない「ブルシットジョブ」で現場のモチベ ーションを落とす。そして、強いものをより強くし、弱いものをさらに弱くする税制が、消費税インボイス制度です。
このような制度を推進する、「個」の力を応援しない国に、私たちの未来は託せません。文化や伝統・スキルが継承されず、新たな才能の芽を潰すような税制を国が率先して行うなど、国家的自殺行為としか思えません。 現行のインボイス制度には、私たちの仕事と生活を守ってくれる安心感も、経済的成長を後押ししてくれる仕組みも、個人情報を守ってくれる安全性も、免税事業者の尊厳を守る発信もありません。
インボイス制度を今はじめることがなぜダメなのか、緊急提言のなかにすべて詰め込みました。 この緊急提言に賛同してくださった著名人・識者 120 名、51 の団体、SNS の呼びかけに応えてくれた2803名の市民の想いとともに、緊急提言を発表したいと思います(一般賛同者2803名は記者会見前日の数字)。

2.緊急提言発表 
甲斐田裕子氏(声優・VOICTION共同代表)

甲斐田裕子氏(声優・VOICTION共同代表)

★ 安心・安全・成長・尊厳なき適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の中止・延期を求める緊急提言 ★

我々は、2021年12月から650日間、フリーランス・個人事業主の当事者として「STOP!インボイス」を掲げてきた。制度開始30日前となる今、以下の提言に賛同する著名人・識者120名、51の団体、一般の賛同者約2000名とともに、改めてインボイス制度の中止・延期を国に対し、求める。

【提言】インボイスの中止・延期を求める

【提言理由】
適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度とは、税率を変更しない消費税の増税である。コロナ禍・戦争・物価高が襲う前の2016年に取り決められたインボイス制度を、ゼロゼロ融資の返済が本格化し、倒産件数が増え、実質賃金が15ヶ月連続マイナスとなる今、開始しなければいけない理由はどこにもない。

増税分は、「免税事業者」「課税事業者」「消費者」の誰かが負わされることになる。「誰か」を決めるのは、市場の力関係であり、現場の人間の骨の折れる折衝である。弱い立場にある免税事業者は課税事業者への転換を迫られ、従った場合には重い納税と事務負担が発生する。免税事業者のままでいた場合、取り引きからの排除、もしくは値下げを強要される可能性がある。免税事業者にとってはどちらを選んでも地獄の選択となるゆえ、「インボイスを機に廃業を考える」と答えた事業者は、アニメ・漫画といったエンタメ業界で2~3割、建設業界では1割にのぼった。

生み出す商品・サービスのクオリティやスキルの前に「インボイスの有無」が取引の線引になるインボイス制度は、自由な商取引を歪め、新規参入を阻む。若手の成長や起業を妨げれば産業は衰退し、文化の多様性をも損なう。
制度開始前からインボイス未登録を理由にした一方的な値下げや取り引きからの排除も散見されるが、「これは、独禁法違反に当たる恐れがある」と公正取引委員会は警鐘を鳴らす。しかし、実際には「切られた理由」がわからないまま仕事を失うケースが多い。もともと、発注元に身元が割れることを危惧して公正取引委員会へ通報がしにくい弱い立場にある免税事業者は、ますます声を上げられない状況に追いやられている。加えて、影響を受ける事業者が1000万超ともいわれる中、公正取引委員会がセーフティネットとして機能するとは到底、考えられない。

実務の現場では、取引相手が「免税/課税事業者であるか」「本則課税/簡易課税制度を使っているかどうか」といった、これまでは必要のなかった極めてプライベートな、慎重を要するデータの取得・管理に追われているが、その作業は一切、生産性に寄与しない。制度開始前から過重な事務負担が発生した結果、「経理の仕事を離れたい」と答えた経理担当者は3割強にのぼった。また、インボイス発行事業者登録サイトにおいて、簡単なプログラミングで個人事業主の本名といった情報が一括ダウンロードできる脆弱なセキュリティは、個人情報保護の観点から逸脱していると言わざるを得ない。
各業界から反対の声があがる中、開始半年前になって激変緩和措置が講じられたことにより、インボイス制度は経過措置や特例だらけのより煩雑なものとなり、税の三原則「公平・中立・簡素」にも程遠い。唯一の制度導入理由である「複数税率の下での適正な課税」については、立法根拠となる「不適正な事例」の件数すら政府・財務省から提示されず、法案成立から7年経った現在も、道理の通った説明がない。

最後に。免税事業者がインボイス反対の声を上げると、「脱税」「ピンハネ」といった誹謗中傷を受ける事態があとを絶たない。しかし、財務省は消費税に「預り金」「益税」はないという見解を国会で示している。その見解の周知・広報を徹底し、免税事業者の尊厳が守られることを強く要請する。我々はフリーランス・個人事業主の集まりであるが、インボイス制度は事業規模や業種にかかわらず、この国で生きるすべての人に影響するものと考える(実際、制度導入で電気代が上がることが国会で明らかになっている)。
現行のインボイス制度には、経済的「成長」も、事業を継続していける「安心感」も、個人情報が守られる「安全性」も、免税事業者への「尊厳」も欠けている。上記のような理由から、我々は、安心・安全・成長・尊厳のないインボイス制度の実施中止、最低でも実施延期を強く求める。

3.講和
「インボイス制度を導入すべきでない理由」
 藤井聡氏(京都大学大学院教授)

インボイス制度は勘違いが多いが、まず勘違い以前に知られていないということも非常に多くあります。 「益税」「ネコババ」。この 2 つの言葉は勘違いしている人たちが多く使う言葉です。

まず、多くの人々が消費税についてこう思っている。100 円のものがあって、それを店の人が 100 円のもので売ろうとするときに消費税 10%かけて 110 円という価格をつけて、僕らがレジに行って 110 円払ってものを買う。そのときに 100 円はこのお店に入って 10 円は税務署に行くんだろうと。したがってこの10 円は預かり金として、あなたはお店に私預けているんだから、あなたは「これね、ごまかしはだめよ」という気持ちを幾分持ちながら 110 円を払っていると。これが多くの人々が持っている消費税についてのイメージです。実際、伝票にも消費税 10%で 10 円って書いてあるのでそうなんだと思いがちですが、これがうそなんです。これをうそやと言っているのは僕じゃないんです。 財務省が言っているんです。財務省は国会で「預かり金的なものです」と言うんですが、「的」ということは、実際には預かり金じゃないということですね。

今日のタイトル「インボイス制度を導入すべきではない理由について」。僕のポイントはいくつかありますけれども、最大のポイントはここです。
インボイス制度というものは増税である。そして今のこの状況というものは極めて経済状況が苦しい状況である。したがって、学術的に考えてアベノミクスの成功を祈念するものとしては、インボイスの制度制度の導入は今すべきではないと学者として深く確信しております。

4.経理担当者の意識調査速報
堺剛氏(経営士/中小企業のためのパートタイム経理部長)

堺剛氏(経営士/中小企業のためのパートタイム経理部長)

インボイス制度を考えるフリーランスの会は、企業の経理業務担当者に向けて、 2023年10月より開始されるインボイス制度についての意識調査を実施し、709名からの回答を得た。
企業経営によって重要な部署である経理部門におけるインボイス制度による多大な負の影響を報告する。

概要はこちらから💁
↓ ↓ ↓


5.軽貨物ユニオンより報告 
高橋英晴氏(建交労軽貨物ユニオン執行委員長)

高橋英晴氏(建交労軽貨物ユニオン執行委員長)

アマゾンの商品だとか、佐川、ヤマトの商品をみなさんの手元に届ける配送は、個人事業主が担っています。全国で 18 万者 33 万台が軽貨物の個人でクロナンバーの営業車を持って働いています。売り上げ平均でいいますと、年間売上は 500 万程度になりまして、そのほとんど 99.9%がもうこのインボイスで増税になる可能性があるという風に言わざるを得ません。
8月から私たちの方でネットでアンケートを集めました。取引先から言われて申請した方へ「どのような方法で要請があったか」と聞いた結果、「特に説明はなくインボイスが必要だから申請するように言われた」53.3%
また、「インボイスを申請しないと報酬や単価を引き下げますよ」と言われた方 は26.7%「インボイスを申請しないと今後取引できないと言われた」という方も 67%いらっしゃるということです。まさに取引先から何かしらの働きかけ、圧力などもあって、申請せざるを得なかったということであります。

そして、「インボイスについてあなたは率直にどう思いますか」ということについては合計 97.5%の方が「中止または延期を求めてる」ということであります。そして、「インボイスがこのまま実行された場合、あなたは今後どうしますか」という問いに対しては、「今年中に廃業または廃業検討する」という方が 7.6%、「緩和措置が終わる 3 年間の間に廃業、また廃業を検討する」が 33.3%ですから、合計4割 40.9%の方がもう「廃業せざるを得ない」という状況になっています。

「2024 年問題」が運送業界に控えています。そういう中で大量のドライバーが廃業に追い込まれるという問題が重なれば、その結果、みなさんの手元に届くべきものが届かない。物流が滞って、そのしわ寄せがみなさん国民に来るわけです。みなさんの物流が滞らないためにも、今中止を決断すべきだと思います。

6.当事者の声

・農家の立場から 長谷川敏郎氏
(農民、稲作・繁殖農家/農民運動全国連合会会長)

長谷川敏郎氏(農民、稲作・繁殖農家/農民運動全国連合会会長)

島根県の山の中で繁殖和牛2頭と米作り1 丁124ヘクタールの小さな農家です。繁殖和牛の経営は、ハーグ牛に種付けをし、子牛を産ませるまで 8 か月間育てて肥育農家に子牛を販売する仕事です。 受精し、出産するまでに 190 日、販売まで 1 年半かかってやっとお金になります。ところが、この6 月、子牛価格は8年ぶりに大暴落しています。この2年間、餌代は上がり続け、採算ラインを割り込んでいます。ちなみに牛の消費税は10%です。そして農協特例の対象外です。

10 月からインボイスが始まると、子牛市場でセリの名簿にインボイスの発行事業者かどうか、事前に表示されます。課税か免税かで差別され、インボイスがないだけで買いたたかれます。赤字なのに、さらに買いたたく。これは肥育農家が悪いわけではありません。インボイスが悪いんです。子牛も不憫です。そこで農協などは計算が簡単だから、簡易課税の課税事業者になってインボイスをとれと盛んに勧めています。インボイスを取り、10%ほど高く買ってもらってもダメなんです。

小さな牛飼いは米作りとの複合経営がほとんどです。中国地方の米の生産井は 60 キロ 1 俵で 2 万 1161 円。今年の農協の買い取り価格はたった 1 万 2200 円 です。赤字です。米でも牛でも所得税が払えないのに、インボイスで消費税をむしり取る。これでは牛飼いをやめるしかありません。まさに農家いじめです。もともと消費税そのものが農家いじめの税金です。

インボイスは小さな農家潰しです。農家の9 割は売り上げ 1,000 万以下、インボイスでみんなが農業をやめたら本当に少ししか残らない。日本の食料自給率は 一気に下がります。インボイスは国産食料がなくなる呼び水です。安全安心の国産牛肉を提供し、私たち が牛飼いと農業を続けるためにも、絶対にインボイスはやめてほしい。

・建築業者の立場から 佐藤豊氏
(建築業者/東京土建副委員長)

佐藤豊氏(建築業者/東京土建副委員長)

私は課税事業者という立場ではありますが、ひとり親方の多くは免税事業者です。課税とはいえ我々も苦しいため免税事業者にインボイス登録をお願いしたい気持ちもありますが、それではやめていく人が増えすぎるため大変困っています。

ただでさえ建設業界は価格が非常に上がっています。見積もりから実際の施工まで2ヶ月近くかかる場合もあり、その間にも価格は上昇するのですが、多くの企業は見積額のままで受けています。そうなると差額は自腹になってしまうわけです。そこにきてさらにインボイスが始まると、もう耐えられないから辞めるという人も既に出てきています。 日本の住宅やビル、この議員会館もそうですが、いずれメンテナンスや立て直しが必要になります。その 時にロボットではできない、人の手が必要なところが必ずあります。でも、それができなくなってしまうんです。
我々は、我々の業界も守りたいし、日本の建物も守りたい。 その気持ちで、インボイスは絶対に導入させない。その決意をここで述べたいと思います。

・司法書士の立場から 福本和可氏
(司法書士/全国青年司法書士協議会副会長)

福本和可氏 司法書士/全国青年司法書士協議会副会長

当協議会では、長年にわたり多重債務問題や生活困窮者支援に取り組んできておりまして、その立場から先月、「インボイス制度に反対する会長声明」を発出いたしました。声明の中ではいくつか反対理由を挙げていますが、その中からインボイス制度の導入によって個人事業主の破産後の生活再建が難しくなるということをお話しさせていただきます。

債務を負った人が自己破産をすると、基本的には債務は免責され、返済しなくてもよいということになります。しかし、例外的に破産をしても免責されない非免責債権というものがあります。その中の一つが公租、公課税金や社会保障や保険料です。 消費税は当然ながら税金ですので、免責されません。しかも売り上げに係る税率なので、経営が赤字であっても納税の義務が発生します。

公租公課は、通常の私人間の債務とは違い、債務名義がなくても差し押さえができます。児童手当や年金のような差し押さえ禁止債権が銀行口座に入り、預金債権を途端に差し押さえするというようなことも起きているといいます。 消費税は税の中でも滞納額の割合が非常に大きく、もし事業の個人事業主が破産をした場合、消費税課税事業者であれば消費税が非免責債権として残る可能性は高いと考えられます。破産をして、新たな人生をやり直そうとしても、債務が残っていたら、その妨げになってしまいます。 事業に失敗して借金を負い、しかもそれが破産をしても免責されないというリスクがあるというような状況では、新たに事業を始めたいとかチャレンジしたいというふうに考える人が二の足を踏んでしまい、自由な経済活動が阻害されるのではないでしょうか。

小規模な個人事業主に対し、仮に破産した場合に生活再建の妨げになる消費税という税金を半強制的に納税することを選択させるインボイス制度には反対いたします。

・競馬産業の立場から 田村隆光氏
(全国競馬産業労働組合連合会事務局長)

 田村隆光氏(全国競馬産業労働組合連合会事務局長)

一見、競馬産業というと、華やかでテレビを賑してるわけですが、そこの末端で働く厩舎労働者は、地方も中央も週 1 日の休みがようやくあって、そして深夜労働毎週の土日の出張労働等がありながら、過酷な中で仕事をしております。我々は給料というものを馬主さんの預託料からいただき、調教師さんという会社の社長さんから給料としていただいています。そして担当する馬が一生懸命走ってくれますと、その入着に応じて競馬会から交付されるもしくは地方自治体から交付される賞金をその語をいただきながら、生活の糧としてやっています。 消費税というのは、物を売ったり、買ったりというところに発生するものと、我々は思っておりましたけ れども、愛する馬が一生懸命走った結果でいただいた賞金にも消費税がかかるというのは、いささか本当にびっくりしております。

中央競馬においては、月平均10 万円から15 万円。もちろんダービーとか勝てば大きな賞金は入るんですけど、多くの人が10 万円から15 万円ぐらいの賞金というのを毎月いただきながら、そして年間青色申告ということで、所得税や住民税を払っているような状況です。そして一方、地方競馬におきましてはそれの10 分の100 分の 1 の賞金でございますので、1,000 円、2,000 円という賞金の中で、日々1 等いくらという請負方式の中でやっているのが現状です。

とりわけ地方競馬においては、最低賃金も守られていないような企業がたくさんございますし、14 場ある 主催者のうち、まだまだ 7 場ほどが社会保険にも加入していないというような状況です。我々競馬連合として、社会保険の導入や労働条件の改善について日々走り回っているところにこの消費税の導入ということがございました。 そして、我々競馬業界の社長である調教師の方からはインボイス加入の圧力とも言える文書が回っており ますし、我々中央競馬においても各調教師が入らないとおまえには担当は回さないとか、そういったこと で賃金がやはり減るわけですから、大きな死活問題になっています。
一見、華やかな厩舎現場も、給与面では華やかとは言えず、単なる増税があると死活問題ですし、何とかこれについては再考を望むところでございます。どうかみなさん、ご理解いただき、ご支援を賜れればと思います。

7.質疑応答に代えて(質問がなかったため登壇者からのお話)

・湖東 京至 氏(税理士)

湖東 京至 氏(税理士)

インボイス制度が始まったのはフランスで 1948 年のことです。で、インボイス制度は何のためにできたかというと輸出ですね。フランスが輸出をするときに輸出業者には 0 税率を適用して、そして仕入れに入ってるものを返してやろうという、そこから始まった。

ただ、政府がお金を返すってことは重要なことですから、証拠証明がなければいけない。証明は請求書に番号を入れ てきちんと本体価格と税額を書くということが 1948 年にフランスで始まりました。これがインボイス制度の始まり、インボイス制度は輸出の還付金の証明のために成長してきた仕組みです。 ですから、消費税とともにずっと世界でやっているのは、輸出の証拠証明のためだということは事実であります。そ れを今、日本で入れなければならない理由は全くない

それと同じようなことを日本の請求書領収書では既にやってきているわけでありますから、それほど疑う必要はない。輸出業者には免税事業者から買うようなそんな小さな輸出業者はほとんどいませんからね。大企業が免税業者から仕入れますか買いますかといえば、買わない。だから要らないということでいいと私は思っています。

Q : 日本には納税者権利憲章というものがないということを聞きました。耳慣れない言葉なんですが、湖東先生、ご解説いただいてもよろしいでしょうか。

納税者権利憲章というものが今も国際的な流れで、どんな納税者でも納税者の権利というものを持っている。つまり、税務署という機関が日本にありますが、これは奉仕をする役所が納税義務者である納税者を手助けするための機関だというそういう位置づけになっています。 国際的な流れとしては、納税者のための権利を宣言する、あるいはその法律をつくるというのがスタンダードであります。日本には納税者権利憲章はありません。また、納税者の権利を保護する法律も全くありません。そういう状態で零細な事業者をたくさん課税事業者に消費税の課税事業者に巻き込むとしたらどうなるでしょうか。

零細な事業者の方は、仕事だけで精いっぱいで税務署に申告に行くこともなかなかできない。今までもいっていない人もかなりいる。まあ、所得税ではそれで済んだ。しかし、消費税はそうはいかないですね。だから、納税者の権利憲章がない状態で、インボイス制度を入れるということは、そういう零細の事業者数 100 万人か、あるいはもっと多いかもしれない。そういう人たちを課税事業者として登録させるためには、何としても、その前に納税 者権利憲章というものを、ほかの国と同じように入れてからやらなければいけない。それをつくればやってもいいというわけじゃないんですが、せめて納税者権利憲章を入れるべきだと、それが先じゃないかということを申し上げたいと思います。

安藤裕氏(元衆議院議員/税理士)

安藤裕氏(元衆議院議員/税理士)

このインボイス制度というのはただの増税でこれから日本経済を破壊していく。 消費税については多くの国民が間違った幻想を抱いています。どういうことかというと、全ての取引が適正な経費原価の上に適正な利益が乗せられて、まず適正な売価が設定されます。その適正な売価が設定された上に、さらに 10%消費税が上乗せされて、それで取引が行われていると、みんなこういうイメージを持っているんですね。大抵の人は国民は、消費税に対してこういうイメージを持ってます。なので「預かった消費税はそのまま納められて当たり前じゃないか」とみんな思っているんですけれど、これが成り立っていたら、日本国内に赤字企業は存在しません。 赤字企業が存在しているということは、そもそも利益が乗せられていない。利益が乗せられていないんだから、消費税 10%上乗せなんかできてないんですよ。それが消費税の本質なんです。

これからインボイスが導入されますけれども、利益+インボイスのない経費に課税されるのが消費税です。事業者に直接課せられた税金です。そしてこの利益+インボイスのない経費に課税されるということは、どういうことか。利益が出ていればまだ納税できるかもしれない。でも、利益が出ていない赤字の会社であっても、この部分が 残ると納税が発生するんですよ。赤字でも納税しなきゃいけないのが消費税だから滞納が多い。当たり前なんです よ。担税力がない負担能力がない人に税金を払えというのが消費税の本質なんです。 このインボイス制度が導入されると、本当に利益の薄い人、先ほどの農家の方の説明がすごく具体的でしたけれども、「赤字であっても納税しろ」と、そして「インボイスに登録しなかったら取引価格を下げるぞ」「取引から排除するぞ」と。こういうことを強要するのがインボイス制度なんですよ。

8.最後に発起人の小泉なつみより一言

オンライン署名を30 万筆目指していて、結構チャレンジングだなと思っていました。半分、ちょっと無理じゃないかなと思っていましたが、あれよあれよという間にこの 1、2 週間でものすごい数が積まれていきまして、結果的には 36 万筆まで行きました。

ものすごく誤解も多いし、偏見を受けるし、反対を叫ぶと罵倒される。しかもこのインボイスの問題はこれまで大手メディアに無視され続けてきまし た。それでも「市民の草の根活動だけで 36 万人の人がちゃんとコミットした」ってことを、この事実を本当に報道して ほしいと思います。

日本で一番多いオンライン署名は東京オリンピック中止を求める 46 万筆だそうです。今度は、日本最大の署名数にして、岸田総理に届けたいです。

9.メッセージ 阿部伸
(インボイス制度を考えるフリーランスの会)

(時間の都合で発表できなかった署名手交時のメッセージです)

インボイス制度を考えるフリーランスの会には、「リアルな署名を集めてほしい」という要望が来ます。でも、僕らにはそれができるほどのリソースがありません。つまり、このオンライン署名36万筆の向こう側にはもっとたくさんの人たちの悲痛な叫びがあります。 すでに、インボイスによって廃業を決めた方がいます。すでに不当な値下げや取引排除が行われています。そうした個人事業主の声はメディアにも取り上げられず、省庁の方々の元にも届きません。この署名にはそうした無名な人々の切実な想いが詰まっています。

財務省の方は「日本型インボイス」は世界のインボイスとは異なることをよくご存知だと思います。本当にこれ、実行可能でしょうか。ぜひ税務署の職員の方々に、ヒヤリングをお願いします。正しく納税することが、この制度ではいかに困難であるのか、今一度、調査していただけたらと思います。
日本をよくしたいという思いは省庁のみなさんも僕らも同じだと思います。みなさんが今日、手にしたサービスや商品の向こう側にはたくさんの免税事業者の仕事があります。インボイスによって何が得られ、何が失われるのか、今一度、考えていただきたく、そのためにも署名を受け取っていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

会場は350人の市民、数多くの議員、50名を超える報道関係者て熱気に溢れました

●記者会見当日のアーカイブ動画はこちら

●「インボイス制度」反対へのオンライン署名

Change.org のサイトから、簡単に署名ができます。ご賛同頂ける方は、ぜひリンク先からご署名ください。40万筆、50万筆と積み重ねることで、国を動かす大きな力になります。ご協力ください!


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