見出し画像

東京都「性自認及び性的指向に関する調査」結果の真相を明らかにする

当会は、オンライン署名キャンペーン「『東京都パートナーシップ宣誓制度』創設に待った!」において、「6. 事前調査の最終集計結果が公表されていない」と訴え、一日も早い「最終集計結果」の公表を要望してきました。 

昨年(令和3年)10~11月に実施された調査が、今年3月になっても「中間集計結果」しか公表されないことに、何か「不都合な事実(真実)」でもあるのではないかと、疑念を抱かざるを得なかったためです。 

3月16日に行われた都議会総務委員会での、ある都議からの追及もあり、ついに3月30日、東京都のウェブサイトに「性自認及び性的指向に関する調査」結果が公表されました(報告書の全文も閲覧できます)。 

お時間のある方は、31ページに及ぶ報告書をぜひご確認いただきたいと思いますが、「そんな暇はない」という方のために、その注目すべきポイントをお伝えしたいと思います。 

「パートナーシップ制度」、「約7割が必要」?

2月に公表された「中間集計結果」では、「パートナーシップ制度」を「約7割が必要と回答」していましたが、今回の報告書では「66.1%」と、より細かい数字が明らかにされました。 

ただし、この数字をもってパートナーシップ制度が必要と判断するのは不適切でしょう。メディアなどでは「困りごと」の多くが解決可能であることや、実際の利用率が極めて低いことなどはほとんど紹介されず、「困っているなら必要だろう」といった漠然とした理由で「必要」と答えている人も多いと見られるからです。

しかし、制度導入はあくまでも、実際のニーズがどの程度あるかによって判断すべきです。その意味では、これ以降に続く、主にLGBT当事者に対する本調査の結果こそが重要です。 

約7割の当事者が困難経験なしと回答

これ以降が、本題の、性的マイノリティ当事者(LGBTQ層)「1,037」人を対象とした本調査の結果です。 

「中間集計結果」でも、当事者の「約3割が困難経験ありと回答」とありましたが、今回の報告書で、正確な数字が「33%」であることが明らかになりました。 

しかし、注目すべきは、逆に「67%」の当事者が「困難な経験」が「特にない」と回答していたことです。非常に細かい困難経験の選択肢が列挙されたにもかかわらず、当事者の3人に2人が、そのうち1項目も経験していないことがわかったのです。

報告書の12頁(「困難な経験」の「経験率」)

さらに、「経験内容」のうち最も経験率が高い「相談相手の不在」でも「11.6%」、次いで「親の無理解」が「10.7%」と、「LGBTQ層」全体では、この他の経験は1割にも満たない、数パーセント程度の経験率となっています。

報告書の27頁抜粋(項目は全31個)

さらに自由記述抜粋をみると、「……小学生のときにレズビアンであると噂が広ま」ったことや、「20年前学生時は相談相手もなく、今ほど寛容の世の中でなかったので辛かった」、「今はインターネットがあるけど小さい頃はそんなのないのでどうしたらいいか誰に相談したらいいかもわからずずっと辛い日々を送っていた」など、おそらく10数年~20年以上前という、かなり以前の経験が挙げられており、まさに今、現時点で困難を抱えている人は、より少ないと推測できます。 

「パートナーシップ制度」あっても「活用していない」当事者が8割超

今回の報告書では、「最も評価されている行政の施策は、『パートナーシップ制度』で、全体値で49.1%」と指摘しています(LGBTQ層は「59.4%」)。

しかし、LGBTQ層の5割以上(54.3%)が、自分が住む自治体にパートナーシップ制度が導入されているかどうか「分からない」と答えており、現実には当事者の多くが同制度にさほど関心がないこともうかがえます。 

そして、なんと言っても決定的なのが、自分の住む自治体に制度が導入されていることを認識していながらも、「活用していない」と回答した当事者が8割を超えていることです。 

現在の「パートナーシップ制度」の長所や短所についての記述式回答にも、当事者たちから「必要性を感じない」「とにかくそってしておいて」「(制度の)中身は当事者の本質に寄り添っていない」などの厳しい声が挙げられています。 

「パートナーシップ制度」あえて導入する必要なし

こうした結果を踏まえて合理的に考えれば、当事者にとってパートナーシップ制度をあえて導入する必要性は薄いと言えるでしょう。あえて言うなら、親族や周囲の無理解に悩む当事者への相談に親身に対応する方が、実際の困難解消に役立つのではないでしょうか。そうであれば、すでにある相談窓口を周知させることで十分です。 

加えて、「非LGBTQ層」における「LGBT(LGBTQなど)」の認知度は「90.8%」理解度は「68.4%」と、数年前から比べると圧倒的に高まっています。このような状況下で、「多様な性」に関する理解をさらに推進する必要があるのでしょうか。 

当事者で元国会議員の松浦大悟氏は、「東京都の同性パートナーシップ制度の『穴』」と題する記事の中で、同制度の「懸念材料」を幾つも挙げて解説していますが、どれも日本社会に深刻な影響を及ぼし得るものばかりです(最後に記事のリンクあり)。 

「東京都パートナーシップ宣誓制度」とは、大半の当事者にとってあえて導入する必要のない制度であり、かつ、「非LGBTQ層」を含む日本社会全体にまで混乱など弊害を及ぼす制度だと言えるでしょう。 

東京都に良識的な声を届けよう

幸いにも、「東京都パートナーシップ宣誓制度」素案に対して、意見募集(パブリック・コメント)の募集期間が3月末から4月11日午前10時まで延長されました。 

今回の報告書のポイントなどを踏まえ、また、当会の主張や松浦氏の指摘を考慮していただきながら、東京都にぜひ良識的な声を届けていただきたいと思います。 

「社会全体の理解が深まるように、急進的ではないやり方で啓発を続けていただければそれでいい」(報告書20頁)といった真摯な想いを抱く当事者も少なくありません。 

同性婚合法化を目標に、急進的で抜本的に日本社会を変革しようとするLGBT活動家らの言説に惑わされることなく、当事者と都民・国民が真に調和できる制度が創設されることを願ってやみません。

当会では、「東京都パートナーシップ宣誓制度」について慎重派や保守派の”多様な声”を示すべく、オンライン署名を実施中です。ぜひともご署名をお願いいたします。

https://forms.gle/d53J3bEab53aBe25A


【関連記事】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?