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【夢日記】木造校舎

木の匂いと黴臭さが混じりあったようなものを感じ、ふと、自分が古めかしい木造の校舎にいることに気づく。小学校のころの木造校舎にも似ているが、どうも別の場所のようだ。

とにかく、逃げなければならない。見つかってはならない。

ここにいてはいけないという気がしてそろそろと歩き始めたが、できるだけ音を立てないように歩いても木造校舎の廊下では、足元の木材からキイキイと厭な音がどうしても鳴ってしまう。こんなことをしていたら見つかってしまう、と思い恐怖にかられそうになったが、次の瞬間、それならあれが来ても音ですぐにわかるだろう、とやけに冷静にぼくは思い直した。

どこを見ても似たような部屋が延々と連なっている薄暗い廊下を歩く。

左側に気になった部屋があって、なかに入ってみると、そこは教材置場のようだったが、大きな病院の薬品庫のようでもある。果たして、ここは学校ではなかったのだろうか。判読するのも難しいような古いラベルの貼られた褐色の小瓶がたくさん棚にある。むやみに触れてはいけないような気がしたので、それには触ることなく、部屋の奥にある大きなコンパスを手に取った。教師が黒板に大きな円を描くのに用いるものである。しかし、針の部分には本当に太くて長い針が装着されていた。「これは危ないな」と思った、その瞬間だった。

廊下からは何の音もしなかったのに、あれが部屋に入ってきていて、もう目の前にいた。ぼくは叫び声をあげながら、コンパスの太い針をあれの胸の部分に思いきり突き立てた…

…と思ったらコタツのなか。ずいぶんと寝汗をかいている。「あれ」とは何だったのか、目を覚ましたそのときには覚えていたような気もするが、もはや思い出す術はない。

夜な夜な文字の海に漕ぎ出すための船賃に活用させていただきます。そしてきっと船旅で得たものを、またここにご披露いたしましょう。