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今さら聞けない?移調楽器と移高楽器

フルートに「ド」という音が書いてあったとします。これをピアノなどのキーボードで弾くと、当然ながら同じ音が出ます。
では、クラリネットの楽譜ではどうでしょう?
クラリネットの楽譜をキーボードでそのまま弾いてみると、不思議なことに実際に発音される音とは別の音が出ることがわかります
このように、書かれた音(記譜音)と実際に出る音(実音)とが異なる楽器のことを、移調楽器といいます
吹奏楽では、クラリネットをはじめ、各種サクソフォン、トランペット、ホルンなど、多くの移調楽器が編成に組み込まれています。
それゆえ、スコアを読んでいくためには移調楽器の楽譜が読めなくてはならないのです。

音程を理解しておこう

移調楽器の楽譜を読むためには、音程を理解しておくことが必要不可欠です。
音程とは、ある音と、また別のある音との距離(半音の数)を表したもので、長2度(2つの音の距離が半音1つ分)、完全4度(2つの音の距離が半音5つ分)などのように示されます
この辺りの知識は、楽典の本など、専門書を頼りに理解を深めておくと良いでしょう。
なお、ここでいう「音程」とは、チューニングのときなど、ある1つの音の中での周波数の誤差を指すものではありませんので、注意してください。

吹奏楽の標準的な編成で用いられる移調楽器

吹奏楽では、主に「B♭管」「E♭管」「F管」の3種類の移調楽器が用いられます。
それぞれの読み方と、該当する楽器を簡単にまとめてみましょう。

B♭管:書かれた音の長2度下が実際に鳴る
B♭クラリネット
バス・クラリネット
テナー・サクソフォン
トランペット
など

E♭管:書かれた音の短3度上の音が実際に鳴る
E♭クラリネット
アルト・クラリネット
アルト・サクソフォン
バリトン・サクソフォン
など

F管:書かれた音の完全5度下の音が実際に鳴る
ホルン

移高楽器とは

ピッコロやシロフォンは移調楽器ではありませんが、書かれた音の1オクターブ高い音が実際には発音されます
こうした楽器のことを移高楽器といいます。
移高楽器も吹奏楽の編成には多く組み込まれていますので、簡単にまとめてみましょう。

書かれた音より1オクターブ高い音が実際に鳴る楽器
ピッコロ
シロフォン

書かれた音より2オクターブ高い音が実際に鳴る楽器
グロッケンシュピール

書かれた音より1オクターブ低い音が実際に鳴る楽器
バス・クラリネット
テナー・サクソフォン
バリトン・サクソフォン
コントラバス

以上に挙げたうち、バス・クラリネットやテナー・サクソフォンなどは移調楽器でもあります。
なので、これらの楽器の読み方としては、楽譜に書かれた音の1オクターブ下+長2度下の音が実際に鳴る音、ということになります。
移調楽器や移高楽器を正確に読むのは、最初はみんな時間がかかったりして苦労するものですが、何度も根気よく続けることで、いずれパッと見た瞬間に実音への変換ができるようになります。

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