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あの時、伝説の始まりを見たんだ

ロナウジーニョがスターから世界随一のスーパースターへ階段を駆け上がっていく、そんな伝説の始まりを目の当たりにしたお話です。

生でもTVでもサッカーをよく観ています。
未だに、頭の中から離れない場面、ってありませんか?
自分にとっては、2003年9月、スペインのバルセロナ、カンプ・ノウスタジアムで行われた、FCバルセロナ対セビージャの試合です。

生で観ていました。ええ、このスタジアムで。
まだ学生でした。

この日は通常の試合と違い、夜中の12時スタートという超イレギュラーな開始時刻でした(代表戦スケジュールとの兼ね合いで、代表戦から3日経たないとリーグ戦が開催できない、という理由だったと記憶)。

この日はもう1つ特殊な状況が重なっていて、この夏に移籍してきたブラジル代表ロナウジーニョにとってのホーム、カンプ・ノウでのデビュー戦でもありました。

前年まで、バルセロナはすごーく低迷してました。ブラジル代表の10番リバウドがチームを去り、代わりにとったアルゼンチン代表の10番リケルメはなかなかフィットせず、「だめぽ三兄弟」と2ちゃんねるで揶揄されていたのを覚えています。
※ 他のだめぽ三兄弟はインテルとリバプール

対戦相手のセビージャも、当時はまだまだ無名の若手でしたが後々スーパースターになる選手が何人もいて・・・セルヒオ・ラモス、レジェス、ジュリオ・バティスタ・・・この数年後にレアル・マドリーやアーセナルに移籍してスター街道を走っていく選手たちでした。

試合はアウェーのセビージャが好機を沢山作り出し、2トップのレジェスとジュリオ・バティスタが恐ろしいスピードとスキルでバルセロナを押しまくっていたことを覚えています(どちらも当時は知らない選手だった)。そして前半にセビージャが先制します。

後半もさほどペースは変わらなかったような・・・
ですが、後半20分を過ぎた頃だったでしょうか、今でもYoutubeなどにあげられているロナウジーニョのスーパープレー集でも必ず入っている、とんでもないプレーが飛び出します。
中盤センターサークル周辺のやや左サイドでパスを受け即座に前を向く(これだけで恐ろしいスキル)と、あっという間にスピードに乗ったドリブルを開始、自分の右からプレスをかけようとするDF2人をいなすように躱してシュート体勢へ。

でもまだ結構な距離があって、30m弱はあったような。
振り抜いた右足から放たれたボールはコースとしては真ん中から少し左、本来ならキーパーは触れた気がするやや甘めのコース、でも高さが絶妙だったのでしょうか、キーパーは触れずにボールはクロスバーを直撃して真下にバウンド、そのままゴールラインを割りました(下記リンク先動画 0:37〜)。

観客のパッションがそのスタジアムで爆発する瞬間を目の当たりにしました。
「あぁ、そうか、サッカーはバルセロナの人達にとって人生の全てと言っても過言では無いんだ」
大の男達が辺り構わず叫び、ハグをして、情熱を燃やし爆発させる、そんな光景を観て、元々大好きだったサッカーへの気持ちが、愛に変わったような気がします。

このシーズンから、FCバルセロナはここ数シーズンの低迷が嘘のように勝利を重ね、ロナウジーニョはFCバルセロナの象徴とも言うべき選手になっていきます。以後の活躍ぶりは説明するまでもありませんが、間違いなく世界最高の選手になりました。異論は無いでしょう(匹敵するのは唯一、ジダンくらい)。

そう、あの日、自分は伝説の始まりを観たんだ、今でもこれは自慢のタネです(自分が成し遂げた点は全く無いけど 笑)

TVの画面の中で、シュートが外れるたびに頭を抱え、点が入れば全力でガッツポーズを繰り返す、そんなパッションの爆発を再び観ることは出来るだろうか、自分が死ぬまでにあと一度で良いから、観るというよりも感じたい、そんな日を今も夢見ています。

日本人はどうしても控え目だから、パッションの小爆発なんですよね。でもコレがまた日本人に合っていて、無理に欧州に合わせなくたって良いと思っています。JリーグにはJリーグの良いところがあるのだから。

外国に来ているという非日常に、更にパッションの爆発という非日常を重ねたからこそ思い出深いのだろう、死ぬまで忘れない、伝説の始まりのお話でした。

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