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【所属最終戦】オカダカズチカに想う〜「最強」について〜

今日、オカダカズチカが新日本プロレス所属としての最後の試合を終えた。

なんとも感慨深い、プロレスにおいて誰かの旅立ちを見送る時独特の空気感が、会場にも流れていたように思える。(僕はワールドで観戦)

本日のNEVER無差別級6人タッグ選手権のタイトルマッチがオカダの退団前「新日本プロレス所属」としての最後の試合として組まれていた。

まずはTMDKの選手たちが入場する。
試合前からSNSやバックステージコメントでたくさんの発信を行い、この試合への意気込みを示してきた藤田の顔つきはとても頼もしくもあり、いつにも増して精悍さを感じさせた。

遠くない世代の新しい三銃士たちが、
どんどん役割やチャンスを担い、掴み始めている中で、少し違う角度での上昇を目論む藤田の行動や言動は、どこか滑稽さをも感じさせるが、その目を信じたくなる何かが、とても大事な何かが、彼の中にはあるような気がする。
清々しい選手だと思う。

入場したTMDKの面々がリングに上がった後、
それぞれにアピールを続けていたが、
後楽園ホールには本日の主役の入場を告げるコインドロップの音が響きわたる前から、TMDKのアピールの最中に、すでに大きなオカダコールが沸き起こっていた。

そして、誰もが強さの象徴として耳にするコインの音を纏い、オカダカズチカは満員の後楽園ホールの大歓声によって迎えられた。

すでに感極まったような表情を見せるオカダ。
鳴り止まぬオカダコール。

ここまでオカダコールが巻き起こり、
観客全体やワールドの向こうのみんなまでがオカダを応援したことって、どれくらいあったのかな??と、少し意地悪なことを考えてしまった。

オカダカズチカが長く団体のトップに君臨し続けていたことは間違いなく、自他共に認めることであったけれど、じゃあ「新日本プロレスで1番人気なのは誰?」と聞かれたら「内藤哲也」と答えざるをえない。

凱旋してから、常にオカダカズチカは誰かの「超えなければならない壁」であった。

時に棚橋の防衛記録を止めた生意気そうな海外帰りの若者であったり、内藤哲也の東京ドームでの夢を夢のままにしたチャンピオンでもあったり。

ずっとオカダはみんなが倒さなければならない「1番強い」男だった。

新日本プロレスのファン、もしかしたら他の団体のファンからしても、異論はあるかも知れないけど、オカダカズチカが「強い」ことが誇りであり、常に日本のプロレス界を象徴していた、という側面すらあったのではないかと思う。

だから、僕はオカダが内藤と戦う時は内藤を応援していたかもしれない。オスプレイとやる時も、オスプレイを応援していたかもしれない。
オカダを超えることが、他の選手の何かしらの夢や望みにつながり、それはとても感動的な話でもあったから。

だけど、別団体、特にNOAHと戦った時なんかには、
僕は間違いなくオカダカズチカを1番信じて、強いと思って、彼が清宮に顔面蹴りを入れられた時も一緒になって怒りを感じてなんとか強さを示してほしいと思ったものだった。
(そんなオカダカズチカの一面を引き出した清宮は本当にすごいと思うし、またいつか新たな土俵で戦って欲しいと心から思う)

僕は、オカダカズチカは日本のプロレス界の強さの象徴という、とてつもない重荷を背負い続けてきた男だと思う。

近年は、特に何年か前にマネークリップを多用しはじめてレインメーカーをあまり使わなくなった時期なんか特に、ちょっと強すぎてモノが違いすぎるな、、というような異質のオーラさえ感じさせる、もうこのリングで何を達成すれば良いのだろうか?とファンの立場からしても考えてしまうような選手になっていた。

しかし、大量マネークリップ期を経て、コロナ禍以降AEWとの連携がより進んだ昨今、オカダは少しずつ変化して、新たに進化してきているようにも感じていた。

例えば最近はブライアン・ダニエルソンとの試合が連続して組まれて、それぞれ一進一退の攻防を披露していたが、彼との試合ではオカダが良い意味でも悪い意味でもオカダらしくないというか、まだ苦戦したり自分の領域に飲み込みきれない相手もいるんだなと感じさせる試合をしていて、それを越えようとしているオカダに個人的にはかなりワクワクした。

もっとすごいオカダカズチカが観られるかもしれない!そう思った瞬間、どんどん期待や熱量に包まれて行く自分がいた。
こういった妄想が、プロレスを観るうえで本当に楽しいと、再認識させてもらえた。

もしプロレスにWBCやワールドカップのような世界大会があったら、多分オカダカズチカは今日の後楽園ホールでの大歓声以上の応援を背に、戦うんじゃないかと思う。

みんなの中のチャンピオン

強さの象徴

オカダカズチカがいるから、新日本プロレスは、日本のプロレスは、凄い、強いんだ

そう思わせてくれる稀有な存在にまで上り詰めたオカダの新しいステージ。

それが一体どこになったとしても、我々はもっと強いオカダを楽しむことが出来るのではないか。そう期待せざるを得ない、今日の試合だった。

なんて贅沢な話だろう。

オカダ自身も、こういったファンの心の底からの尊敬や畏怖のようなものを、意気に思ってくれていると思うが、そこに甘んじず純粋な気持ちで強さや、新日本プロレス、日本のプロレスを背負って戦っていくというような決意を、ひしひしと感じさせる顔つき、言動、試合を披露してくれて僕は勝手ながら本当に嬉しい。

試合の後のコメントも、実にオカダらしくって、中邑真輔を泣いて肩車して見送った時から本質的には何も変わらないんだと、結果的に自身の一つの原体験まで表現してくれた。

これは勝手な妄想や決めつけだから、こういうのが嫌いな長州さんから怒られちゃいそうな話だけど、オカダカズチカの挑戦と飛躍が本当に楽しみである。
(そういうことを言う長州力が本当に大好きです)

世界中の人たちにあのコインの音を、もっと聞かせてあげてほしい。

レインメーカーを出す前のあの空気、間を、
味合わせてあげてほしい。

ドロップキックやツームストン、エルボーを見せてあげてほしい。

そして、最強の名をほしいままに。

オカダがオカダを超えていく様子が、新たなファンにとっての夢になっていくならば、幸せの雨すら降らせてしまうのがオカダカズチカなのかも知れない。

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