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ZINE FESTに行ってきた。また。

昨年10月にも行ったZINE FEST。
その時は友達の出店目当てで行ったのだが、
他の出店者さんたちも皆とても素敵で、
なんだか心がほくほくしたのを覚えている。

またほくほくを感じに、いざ参らん。
前回同様吉祥寺開催のものに行ったが、
今回はPARCO屋上で開催されているものだった。

てか、PARCOって屋上あったんだ。
今まで散々吉祥寺で遊んでたのに、初めて知った。

てなわけで、どきどきうきうきしながらも、
大学院の課題やら予習やらに追われて、
入場できたのは15時半。
ZINE FESTが17時終了って知ってましたよ。ええ。
でもあまりに勉強をやっつけたくてですね、、、。
午前〜昼過ぎは泣く泣く法律の勉強に費やし、
ギリまだ西日じゃないかなーくらいの時間にイン。

最高気温20度の春日。
屋上に続く館内階段を登り、視界が開けた瞬間、
なんてこった。
みんな超楽しそうじゃないか。

前に行ったものは市民館?開催だったため、
各ブースが長机の上に商品を置いていたが、
そうだ。ここは屋上なのだ。
各出店者に与えられた(?)緑のシートの上で、
布を広げてあぐらをかいてたり、テーブルを出して立ってたり、
皆さん思い思いにスペースを活用している。
ZINE FESTに来たのかピクニックに来たのか、
一瞬わからなくなる。

こんな光景を見ちゃったら、もう心はほくほく
(到着して10秒)。
思わず「わぁーーーー!」と歓声を上げたら、
同行人に笑われた。気がする。
いいじゃんね。嬉しい時は嬉しいって言わないと。

さてどっから見ようかなーとふらふらしはじめる。
春の陽気、いい感じのBGM、素敵な作品たち。
ひぇー、これを幸せって言うんか。

と、たまたまゆっくり目に見ていたブースの方が、
「今スピーカーから流れてるのこれなんすよ」と、
机に置いてあるカセットを指差す。
「あ、え、これ!ああ!」
と素っ頓狂な反応しかできない私に、
お兄さんは試聴用のヘッドホンを渡してくれた。
流すのはiPhoneでもMacbookでもなく、
カセットプレイヤー。
ヘッドホン伝いに聴こえてくるそれは、
いい感じにゆるくて、
でもビートもちゃんとあって、
まさにこんな日に井の頭を散歩しながら聴きたい。
「カセット買ったらプレイヤーもついてきます?」
「プレイヤーはご自身で買ってもらう形っすね〜」
「別売りってことですかね」 
「ですね、Amazonとかにありますよ」
「Amazonに??」「2000円とかで」
「あ、案外安い」

またブース放浪の旅に出る。
かわいい!と思ったポストカードの隣にあるのは、
なんだと、妄想の部屋を集めたZINE….?
出店者のお姉さんは弾ける笑顔で、
「私が住んでみたい部屋を妄想して、
描いてみたんです!」と。
あまりにおもろい。てか、わかる。
私も住んでみたい部屋とか、置いてみたいインテリアの妄想する。

ページを開くと、
洋服収納に使う棚らしきものが描かれている。
ハンガーラックに、ズボンとかを平積みにできる
棚が合体してるやつ。
ガチでわかる。これ私もほしい。
「私これは買ったんですよ、実は」と、お姉さん。
なんだと、買っただと!?
「でも超ズボラなんでー、
袖とかでろーんって棚から出てます」
よくみると、イラストの中でも、
平積みの一番上の棚からスエットの袖が
落ちかけているではないか。
ガチでわかる。私もそうなる。
最初の3日だけきれーにして、
あとはぐっちゃぐちゃになる未来しか見えない。

そのお向かいにも、
かわいいものを売っている方が。
なんというんだろうか、一昔前の食器に描かれていそうな、かわいい〜〜感じの動物たちのイラスト(のんたん的な)。

そして私は気づいてしまった。
このブース、私の好みにどんぴしゃなステッカーがあるではないか。
「ステッカーだ!今私ステッカー探しの旅してるんですよ」というと、
隣のブースのちょっといかつめのお兄さんが、
「ステッカー探すってどんな時に探すんすか??」と。

お兄さん、グッドクエスチョンです。

「今私法律の勉強してて〜」「法律???」
「ノート作ってるんですけど〜」「ほうほう」
「そこにかわいいステッカー貼ったら、
勉強のモチベ上がりそうじゃないですか??」

我ながら名案(迷案)である。
出店者のお姉さんと隣のお兄さんの質問は続く。

「え、いま法律勉強してるの?」
「してますー、刑法⭐️みたいな」
「大学とかで?」
「そうそう、あ、大学院なんですけど」
「弁護士とかそっち系?」
「なれたら本望ですねぇ」
「じゃあそのリュックの中とかにも色々入ってる?」
「入ってますよー六法とか」

お二人曰く、私みたいな「イケイケなお姉さん」(私が言ったんじゃないですよ!!!!)が、法律を勉強しているようには見えないらしい。
まあ、普通はガリ勉ぽい感じを想像するのかしら。

お姉さんは「すごいな〜私絶対できない」って言ってたけど、
彼らがやっていることも、画力創造力が-100の私は絶対にできない。
勉強もすごいかもしれないけど、
絵を描いて、シールや他のグッズにするのだって、
ほんの一握りの人しかできない、
とってもすごいこと。
両方すごい。お互い得意分野が違うだけ。
てなわけで、ステッカー購入。

動物たちのかわいさに負けて買ったけど、
よくよくみたら一番上に、
OSAKE WO NOMITAIって書いてある。
勉強の対極にあるようなステッカーじゃねえか。
それでいいのだ。それがいいのだ。
早く刑法のノートに貼ろうっと。

16時半か、もうそろそろ終わりかな〜と思いながらふらついてると、
こんにちは〜と声をかけられる。
ZINE FESのいいところ、みんなすごい声をかける。
自分のブースを見てほしいからだとしても、
心のこもったこんにちはを投げかけてくれる。
何の気なしに足を止めたところには、
「人間パンダ」というZINEが。
人間パンダ、、、?
てか、表紙のパンダのイラスト、
気抜けてね、、、?
多分はてなマークが浮かんでいたのだろう、
ブースにいたお兄さんが、
ZINEの1ページ目を見せてくれる。
とそこには、人間パンダという文字と、
気の抜けたパンダの絵と、
数行の言葉が並んでいる。

ぱぱっと読んで、その意味が分かると、
思わずにやけてしまう。
あーーーー、なるほど。だから人間パンダね。
めちゃめちゃ好きなやつです。

「シャンシャンも人間パンダなんですかね」
とくだらなすぎることを訊いたりしつつ、
お兄さんとあれこれお話ししていると、
「あーこんにちは!」と、お姉さん登場。
どうやらここにいた方はお姉さんの弟で、店番を頼まれていたらしい。
つまり、人間パンダの作者はこのお姉さん。

いい感じに皮肉が効いていたり、
うんうんと頷きたくなったり、
ふふっと笑いたくなるイラストと言葉たちが、
合計70収録されているらしい。

なんでか分からないけど、
めちゃめちゃ話が盛り上がった。
私がお姉さんと似たような感性を持っているのか、
「そうそうそう!!!」ってなることしかない。
てことで、『人間パンダ』購入。
1500円なんて惜しくない(金欠)。

もういいだろ!!満喫したぞ!!!と思った矢先、
視界に飛び込んできた「短歌 500円」の文字。
私、短歌大好きなんです。

オレンジ髪のお兄さんと金髪のお姉さんのいるブースへ行く。
お兄さんの短歌集らしく、お姉さんは後輩さん。
売る勢いの強さランキングがあったら、
この歌人お兄さんがダントツ1位に君臨すると思う。
「買ってって!!!今限定でサインもしたげるよ!!!!」
と、超ノリノリで宣伝してくる。
「買ってったらこの子(お姉さん)が美味しいもの食べられる!!!」
と、後輩まで巻き込んでいる。

「お姉さん今日何食べたいですか??」
と私が訊くと、
「え〜〜やっぱお肉かなぁ〜〜」とおっしゃる金髪後輩姉さん。
すかさずお兄さん、それを聞き逃さず、
「お肉か!!!!いやーお肉高いからなーーーーーー、
でもこの子今日店番頑張ってくれたからなーーーーー、
お肉食べさせてあげたいんだけどなーーーーーーーー」

……買うしかないでしょ。
まあ、普通に短歌がどタイプだったので、
お肉食べたいって言われなくても買ってたけど。
せっかくなので、サインも書いてもらいました。

こんな感じで、2回目のZINE FEST行ってきた。
財布はカラカラ、心はホクホク。
好きなものを作って、さらにそれを売るって、
相当の体力と気力が必要な作業のはず。
でもそれを心底楽しそうにやっている
みなさんに会って、
新生活の目まぐるしさに取り込まれていた私は、
下りエスカレーターに乗りながら、
なぜだかふと、人間に戻れたな、と思った。

また人間に戻るために、行かねば、ZINE FEST。






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