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ニュースの価値とそのためのニュースの収集方法

本記事は、ストックマーク Advent Calendar 2022の3日目の記事です。

はじめまして。ストックマーク株式会社でカスタマーサクセスを担当している工藤(@catan910)です。
10月から製造業からAIベンチャーに飛び込んだ私が改めてニュースについて考えてみました。当たり前に身の回りに溢れているニュースですが、その真の価値、使い方、集め方について私なりの持論を書いてみました。
楽しんで頂けると幸いです☆
Merry Christmas!

はじめに

Anewsは世間一般に無料で公開されている数多くの公開情報の中からAIの力を借りて、自分の興味関心がある情報に効率良くリーチすることを可能とするツールである。その公開情報の大半を占めるのが、ニュースである。ここではこのニュースについて、定義と価値を考察し、効果的なニュースの収集方法のポイントを述べていきたいと思う。

Agenda

  • ニュースとは?

  • ニュースの価値

  • ニュースを利用する上での課題

  • 価値あるニュースの収集方法

  • さいごに

ニュースとは?

ニュースを広辞苑で調べると以下の通り記載がある。

新しい出来事。転じて、報道。報知。消息。

広辞苑より

またNewsをOxford dictionaryで調べると以下の通り

newly received or noteworthy information, especially about recent events

Oxford dictionaryより


いずれの意味をひいても、”新しい出来事”、”recent events”がニュースの定義におけるポイントとなる。そのため、当たり前であるが、新しくないこと、過去のイベントそのものはニュースにはなり得ない。確かに過去のイベントがニュースになることもある。が、それは新しい発見や見方、事実などが出てき時に初めてニュースとなる。つまり、現時点で当たり前と認知されていること、既存の定義、すでに公知の情報はニュースにはならない。これらの情報を調べたい時には、図書館が非常に有効である。

私たちは毎日多くのニュースを目にする。なぜこれほどまでに多くのニュースが発信されているのか、改めてニュースの価値を考察してみたい。

ニュースの価値

ニュースの価値を改めて考えてみると、俯瞰、未来予測、イノベーション、という3つの点があると考える。それぞれの価値を以下に示す。

俯瞰
人の生活範囲、業務領域は限られている。そのため、生活、業務をしていく中で得られる情報は必然的に限られる。限定的な情報しか得られないと”井の中の蛙”になってしまう。よく耳にする慣用句ではあるが、世の中で起きた戦略的失敗のの大半が、現状認識の誤りが原因となる”井の中の蛙”現象である。井の中の蛙が戦略を誤るポイントは、3つある。1つ目は、仮説を誤る、2つ目は、同業を見誤る、3つ目はマーケットを見誤る。Story tellingが一時バズワード化したことがあるが、この時に事業環境を俯瞰できずに思い込みのみのストーリーを組み立て、悪い意味で脇目も振らずに”作業すること”に終始してしまった結果、目標を達成できなかったテーマを私自身多く目にしてきた。井の中の蛙にならないためには、自分達が置かれている状況を俯瞰してみる必要がある。ニュースによる私たちは自分の生活圏、業務範囲を超えて未知の事象を知ることができる。

未来予測
国、規格団体のニュースの多くは未来への影響が示唆されるものが多い。わかりやすい例としては、カリフォルニアにおける2035年までにガソリン車の販売を0にする、というニュースである。

車産業は複雑なバリューチェーン、サプライチェーンの元車を製造しており、このニュースは多くの車関連企業に影響を与える。このニュースにより各社は2035年に向け何をしなければならないか、明らかにすることができ、事業計画の作成が可能となる。


イノベーション
イノベーションの起こし方は科学的に検討され、その手法が見出されている。その方法の一つがシュンペーターが提唱した”新結合”というコンセプトである。”新結合 イノベーション”でググっていただければシュンペーターのコンセプトを元にしたいろいろな記事を見つけることができる。その中でもここでは早稲田大学大学院の入山章栄氏の記事を一例として上げておく。

新結合において、何と何を結合させるのかについては、いろいろな見方、表現をすることができる。代表的な例で言えば、ニーズとシーズを結びつける、他の人の知と知を結びつける、などであるが、ここでは別の視点の結合を提案したい。それは”ニュース”と”読み手自身”である。
網羅的に集められたニュースは、広範囲にわたり、それぞれのニュースは多くの人の目に触れていることから、それらニュースにおいては希少性は非常に低い。しかしながらそれを読む”読み手”は世界にたった一人だけの存在であり、また読み手自身とニュースを結びつけることは、他の誰にもできず、読み手自身にしかできないことであるため、希少性は非常に高い。”読み手自身”と抽象度が高い表現をしているが、具体的に何と結びつけるのか、はその人による。その人の所属している組織の事業領域でもいいし、その人の専門性でもいい。さらに言えばその人の出自と繋がることでイノベーションが生まれることがあるかもしれない。コンセプトとしては、Steve Jobs氏のConnecting dots、チカイケ秀夫氏の原体験ドリブンと基本的には同一である。イノベーションを起こすために重要なことはアイディアを思いつくこと、ではない。そのアイディアに熱狂してそこに時間を投入できるか、つまり人生を賭けられるか、であると思う。それを見つけることは簡単ではない。しかしイノベーションを起こすためには、Jobsの言う通り、探し続けなければならない。

ニュースを利用する上での課題

先述した通り、改めてニュースの価値を考えてみると、ビジネスマンが業務上求められていることをニュースを活用することで実現できることがわかる。一方で、ニュースを活用するビジネスマンにとって利用する上で大きな課題が2つある。一つ目は、ニュースの量、2つ目はニュースの質である。

ニュースの量
井の中の蛙にならないため、現状を俯瞰してみようとした時重要なのが、ニュースの網羅性をいかに高めるか、である。世の中には大量のニュースが氾濫している。一方で、それらすべてのニュースがビジネスマンにとって必要なわけではなく、ニュースの取捨選択が必要となる。それと同時に、ニュースの価値として俯瞰してみることがあることを鑑みると、網羅性をいかに高めていくか、が重要となる。

ニュースの質
ニュースを書く記者によって、同じ出来事をニュースにするにしても見る視点、切り取り方、分析が異なるため、質の優劣が出てくる。だが最近このような質の優劣問題を超える大きな問題が出てきている。それはフェイクニュースの横行である。多くの人がニュースを求め、ニュースに価値があるため、これに便乗しフェイクニュースを流布されるケースがある。最近ではある特定の目的を持った団体により、組織的に大々的にフェイクニュースが流されることもある。そのため、情報の量が多い=正しいというニュースの読み方をしてしまうとフェイクニュースに踊らされることがある。

この質と量の課題は、それぞれが独立した課題ではない。質を求めれば量が落ち、量を求めれば質が落ちるというトレードオフの関係にある。この量と質の課題は年々大きくなっている。

価値あるニュースの収集方法

ニュースの価値の一つにイノベーションにつながる新結合を上げた。個人的にイノベーションとそのための情報収集術という話題で真っ先に思いつくのが秋元康氏の情報収集方法だ。秋元氏がイノベーターであることはAKB48におけるアイドルのコンセプトチェンジ、握手券付きCDによるCDの意味変など、皆さんご承知の通りだと思う。20年以上前に私がTVで見た氏の情報収集法は、以下のものである。

”とにかくメモなどはせず、本など含めどんどん読んでいく。イメージとしては、背中にゴミ集めの籠を背負っているようなイメージでそのカゴにどんどん情報を入れていく。そうしているとその中で元の情報とは違う形のものがアイディアとして出てくる。”

このエピソードを探したところ、似たようなニュースを見つけたので、こちらも参考に共有する。

”パーソナリティーの「乃木坂46」山崎怜奈(24)から「膨大な量の仕事をしながら、インプット(情報集め)ってどうしてるんですか?」と問われると、「インプットは自然。たぶん山崎怜奈のようにまじめじゃないんだよね。机に向かってひたすらメモを取ったり調べたりするというのがない」と答えた。”
”『へえ、それおもしろいな』とかいう話を聞いてるのがインプット」とも説明した。”

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/10/20/kiji/20211020s00041000427000c.html

秋元氏ほど多忙ではなく、秋元氏ほど刺激的な環境に身を置くことが少ない私が意識している情報収集法は2つあり、それぞれプル型とプッシュ型の情報収集である。
平たく言えばプル型とは、自分が興味がある時に自分が興味がある内容を能動的に検索し、情報取集する方法であり、プッシュ型とは、情報を受動的に受ける環境を整え、継続的に情報を収集する方法である。


プル型は調べたい時に調べればいいので、非常にシンプルで自然にやっている方が多いと思う。問題はプッシュ型をどうするか、である。簡単な方法としては、Twitterで気になる情報を発信するインフルエンサーをフォローし、その発信に対してNotificationを受け取る、などである。プッシュ型の情報収集を充実させるコツは、自分の興味関心の範囲を広く捉え、その情報が自然と入る環境づくりが非常に重要である。またプッシュ型の情報収集を取り込むもう一つのメリットは、定常的に情報が入ってくるため、情報収集が自然と習慣化することである。ただし、興味がないニュースが流れてくる環境では、ニュースを見るのが嫌になってしまうため、本当に自分が興味があり、楽しく見れるニュースを得ることが肝要である。

先述した通り、理想的なニュースの収集方法として求められることは、正しい質の良い自分自身が必要とするニュースをできる限り網羅的に集めることである。これを実現するためにAIを活用する方法がある。

ここ最近のAIは驚くべきスピードで進化を続けている。私が驚いたのは、テキストから音楽を生成するAIである。テキストを入力することで20秒弱で90秒の音楽が生成できる。人間が90秒の音楽を作曲するとき少なくとも90秒以上かかるわけだが、AIはそれを20秒で作れる。このようにAIは人間ができないことを可能にしてくれる。

ニュースの収集方法におけるAIの使い所としては例えば以下の5つの点がある。

  1. フェイクニュースなどノイズを含むニュースを取り除く

  2. ニュースの内容からポイントを抽出し、分類する

  3. 読み手の興味関心を学習する

  4. 読み手の好みとニュースのポイントをマッチさせ、読み手の興味があるニュースを推薦する

  5. 検索ワードの周辺領域のニュースを推薦する

上記の5つのうち、私が最も重要と考えるのが3の読み手の興味関心をAIに学習させることである。人間がアップデートを続けていくためには、常に新しいことを吸収していく必要がある。そのためにはニュースを読むことを習慣化させることが有効である。先述した通り、ニュース利用の習慣化のためには自分自身が興味のある面白いと思えるニュースを継続的に入手することである。そのために自分好みのAIに育成していくことが重要である。

世の中にはニュースが氾濫しており、人間はそれら全てを読み尽くすことはできない。しかし、AIの力を借りて理想的なニュース収集に近づけることができる。

さいごに

この文章は、私自身が、Anewsという自社の製品の価値を見直すために書いた文章である。本文の中で記載した情報の高い網羅性と信用できる情報ソースの両立、組織内の知と知の新結合、自分の興味関心に基づくプッシュ型情報収集、これらはAnewsを使用することで実現できる。これ以上に私がこの文章で伝えたいことは、”ニュースそのものに価値はない。そのニュースと結びついた読み手自身の行動にこそ価値がある。”ということである。

トヨタのリーン生産方式では、本質的に価値を生み出すプロセスとそうでないプロセスを明確にわけ、価値を生み出さないプロセスを”無駄”と定義し、これを取り除いていく。ビジネスにおいて本質的な価値を作り出すのは行動であり、情報収集は”無駄”なプロセスの一部である。一つ一つのニュースを読み、情報を取捨選択していく時代は近い将来終わりを告げる。Anewsが情報収集プロセスの無駄を取り除き、本質的な価値を生む行動にフォーカスするための一助となれば幸いである。