脳みそのない国

脳みそのない国へようこそ
信号機はいつも赤青黄色が点いて
人間のフリしたいきものが歩き回るよ
あっ大変 ちっちゃな子どもが転んだ
みんな丁寧に踏みつけていくね

脳みそのない国はにぎやか
物知りな鳥が物憂げな顔つきで語る
訳ありな話に火を囲む聴衆は大喜び
鬼さんこちら 手の鳴る方へ
弱いものたちが更に弱いものを叩いて

脳みそのない国の午後は長い
かつて来た道を忘れてしまったら
伸びてゆく陰に追いつけないね
これから行く道を見つけられなかったら
晩ご飯までにお家に帰れるかな

脳みそのない国も日は暮れる
激しい風も 正しい意見も止んだ夜に
眠りに就いた人々の顔は穏やかだよ
根っからの悪人なんて誰もいないなんて
世迷言も信じてしまえるかもね

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