言ってはならない言葉を
言ってはならない言葉を
耳に吹き込まれて
あれは昭和のはじめ頃
整列された靴が鳴り
あのひとらつれてかれて
どこいくん
あれから幾度夜が割られ
人々は灰をかぶり
あるいは焦げた土地の上に
新しい表札を掲げ
私はといえば
言ってはならない言葉を言わないように
ひたすら口をつぐみ
必死に手を動かして
ぼんのためにひとつ
いいことおしえたる
そうして得られたものは
何だったのだろう
あの日の言葉がまだ
腹の内をぐるぐる回っている
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