夏の放物線

夏の喧騒に紛れて
不意に魔法が途切れた
穏やかな波がそっと
踝を濡らしている

そうね もっと自然に
頷ければよかった
傷つけるものが
一つでも少なくなるように

潮風にもてあそばれて
視線は泳ぐ
交差することもなく
着地できる場所もなく

仕草のそれぞれに
別の意味を見出しながら
いつか
息もできなくなって

重力には逆らえない
投げ捨てられた小さな暮らしは
きれいな放物線を描いて
海へ 藻屑へ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?