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直感を磨く、終値の折れ線グラフ

株式取引にはいろんな手法があります。なにを基準にして銘柄を選ぶのか、いつエントリーして、いつ利益確定や損切をするのか。大きく分ければ、2つの手法があります。

1.ファンダメンタルズ分析
2.テクニカル分析

この2つです。1は政治・経済状況から経済指標、業界状態、各企業の業績などを詳細に分析して、株価の動きを予測します。2はチャートパターや指標を用いて、その動きに規則性を見いだすことで、未来の方向を予測します。どちらがいいというわけでありません。両者を組み合わせている場合もあります。1は長期投資にむいているかもしれませんし、2は短期投資に有効な要素が多いかもしれません。
ここでは、2の手法をとります。

トレード手法は、テクニカル分析です

僕個人としても、このテクニカル分析をもちいてトレードをして、安定的な利益を得ています。経済ニュースにもザッと目はとおしますが、その程度です。詳しい分析はしていません。そのかわり。チャートの動きには敏感になります。
チャートの分析は平均して1日30分から1時間程度です。1日に確認する銘柄も10程度です。楽なように見えるかもしれませんが、単調な確認作業を欠かさずおこないます。

この確認作業では、判断基準となるいくつかの規則があります。プロの集団や個人投資家でも、コンピュータにそれらの規則をプログラミングして、自動的に取引をしているケースは多くあります。僕の場合は、自分の目で見て、自分の手でマウスやキーボードを操作して、トレードをおこなっています。この規則については、おいおい解説していきます。
というのも、それ以前にすることがあるからです。
それは、基礎トレーニングです。
これがないと、手法=テクニックだけ身に着けても、なかなか安定した利益につながりません。手法はとても大切ですが、銘柄によってうまくあてはまらない場合もあるうえに、同じ銘柄でも時期に動きが変わってくる場合もあります。
では、手法に前に何を学ぶのか。それは直観を養うことです。

直感って、すごく大切です

これって、あてずっぽうのようでいて、じつはそうじゃない。直観は氷山の一角なのです。見えない部分、つまり意識化されないところに、ずいぶんたくさんの技術やデータが潜んでいるものです。
「なぜ、あそこでゴールが決められたんですか?」
そう問われた、サッカー選手がいるとします。
「うーん、直観ですかね」
素人にはわからないけれど、そういうものがあるというのは、わかりますよね。これって、ゲームの流れや選手の位置、自分の力量などがすべて総合された結果の、直観です。

「終値の折れ線グラフづくり」は、その直感みたいなものを養うトレーニングです。

いまならエントリーできる、これから株価が上がっていくだろう。こういう直感を育てていくのです。いいかえれば、流れとタイミングがひと目でわかるような訓練です。

では、終値の折れ線グラフとはなにか?

それを説明する前に、ローソク足にふれておきましょう。ローソク足は、日脚チャートであれば、その日1日の初値・高値・安値・終値を1本のグラフで巧みに表現したものです。とても優れたチャートですね。

四角い部分が初値と終値。そこからヒゲのようなものが上にでていれば、それはたかどこかの時間帯で一度は株価が上がったけれど、また下がってその日がおわったということ。逆に下のほうにヒゲが伸びていれば、どこかで株価が下がったけれど、また戻したということです。

これにたいして、終値の折れ線グラフは毎日の終値だけをピックアップし、それを単純に結んだものです。初値・高値・安値は書かずに、出来高や移動平均線なども無視します。ひたすら、終値だけを追っていくのです。

できるだけ余計な情報を取り除いて、シンプルすることで、なにを学ぶのか。それはリズムです。リズムがわかってくると、マーケットの動きにうまく乗れるようになってきます。ある意味、音楽と同じですね。リズムがわかると、からだが自然に揺れるし、自由に踊れるようになってきます。
もちろんヒップホップとロックではリズムがちがいます。自分にあったジャンルの音楽とともに過ごすのが、気持ちいいわけです。どの音楽やどの曲でもいいというわけではありません。

株式取引も同じです。思いつきで手をだしても、うまきいきません。あるいは好きなアーティスト(株式銘柄)であっても、時期によって自分に「あう・あわない」ということもあります。
おわかりいただけたと思います。リズムの大切さ!
自分にあった業界や銘柄を知るうえでも、このリズムはとっても重要です。

どういったところで、株式投資はギャンブルです。利益を上げようとすればするほど、その要素は高まります。前回、株価が上がるか下がるかは丁半博打のようなものだと書きました。異論もあるでしょう。しかし、投資の本質はそこにあると、僕は考えています。

ただし、優秀なギャンブラーによれば、丁半博打だろうがバカラだろうがルーレットの赤と黒だろうが、そこにはリズムがあるといいます。プロはそこを読むのです。一定のルールがあって、それにしたがえば利益が得られるのです。きっと丁半博打のルールよりは、簡単だと思うんですが……。

では、そろそろ実践編です

終値の折れ線グラフがどんなものかは、理解していただけたと思います。つぎは、実際にどうするのか。

まずは、日経平均株価です。
いつの期間でもいいので、正月あけの最初の取引日「大発会」から、大晦日の1年最後の取引日「大納会」まで、毎日の終値をグラフに書きこんでいきます。
具体的には、1日ごとの株価の終値を、エクセルで打ちこんで、それをグラフ化していきます。でも、お薦めなのは、大きなグラフ用紙を買ってきて、そこに書きこんでいくスタイルです。そうするほうが、リズムを体感できますからね。

ここで、とっても大事なことがあります。
期間を限定して、日々の終値を記入するさい、翌日の動きを頭のなかで予想してみてください。だいたいでいいのです。上がるのか下がるのか、日経平均であればその動きは30円なのか100円なのか300円なのか。とにかく一度頭のなかで想像してから、数字を確かめます。
数字、書きましたが、これはどこに書いてあるのか。1日ごとの終値はどこを見ればいいのか。わからない人もいると思います。ここからは、グラフ化トレーニングのための方法を書いていきます。

仮に、2020年の大発会ヵら大納会までの1年間をグラフ化するとしましょう。やり方は、順を追って箇条書きにしていきますね。

1.自分がアカウントを持っている証券会社のネットアプリにアクセスします。そこで、日経平均の日足チャートを開いてください。(もしアカウントがなければ、開設してください。いずれ必要になります)

2.日足チャートの期間指定と日時指定をおこないます。まずは日足チャートの表示期間を「6カ月」に指定。画面には現在から過去6か月間が表示されているはずです。

3.つぎに画面表示する日時を指定します。今回は2020年の1年間をグラフにしていくのですが、2019年の大納会から過去櫓6月分です。つまり日時指定を「2019年7月1日から2019年12月30日」とします。ここ、とても大切です。
表示するのは、いまからグラフ化する期間ではなく、その直前の期間です。これをまちがえないでください。

4.頭のなかで、2020年の大発会の終値を予想します。そのあと、日時指定の最終日を、「2019年12月31日」から「2020年1月4日」に変更します。画面のグラフに新しい1日のローソク足が追加されたはずです。

5.最初の1日(2020年1月4日=大発会)の終値を。いまから制作する自家製のグラフに書きこんでください。お薦めしているのは手書きです。グラフ用紙の最小のマス目を1円単位に見立てて、その日の終値の位置に印をつけます。(エクセルなら数字を書き入れて、これをグラフにします)

6.あとはこの繰り返しです。頭のなかでつぎの日の終値を予測し、それからアプリの日付を一日ずつ足していきます。そこで、終値を確認して自家製グラフに書きこみます。簡単な作業なので、1週間や2週間分を書きこんでも、それほど時間はかかりません。

「簡単だけれど、面倒だなぁ」と、まぁ、ほとんどの人がそう思うことでしょう。大きなグラフ用紙をだして、そこに書きこむわけです。面倒でいいのです。どの分野だって、基礎トレーニングは必要です。
はやる気持ちはわかります。早く市場で取引をして、利益を得たい。逆の人もいるでしょう。いきなり取引をするのは恐ろしい。これも当然です。じっさい、すでにかなりの損失をだしてしまった人もいるはずです。エントリーしたものの、その銘柄が値下がりして“塩漬け”になっている人もいるでしょう。
だいじょうぶです。テクニカル分析をきちんと身に着ければ、安定した利益をあげられるようになります。そのための第一歩が、

終値の折れ線グラフ作成です。

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