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「具体と抽象」を読んで、抽象が少しわかった話

上司「抽象的な指示の意図と組むところに課題がありそうだね。」
私(ふむ…抽象かぁ…)

デザイナーとして就職し2年目を迎えました。
以前twitterで「デザイナーは具体と抽象の行き来ができないとダメだよ」的な投稿を見た記憶が頭の片隅にずっとあったのですが、これといったきっかけがなく触れてきませんでした。

しかし今回、上司との面談で「抽象」という単語が出たことをきっかけに、「具体と抽象」という本を手にとってみました。

いくつか気づきがあったので言語化してみたいと思います!

そもそも具体と抽象とは?

まずそれぞれの定義が自分の中で曖昧だなと。
なので、本書に書かれていたそれぞれの特徴を簡単にまとめてみました。

具体の特徴
・実体があり、目に見える
・解釈の自由度が低い
・1対1で対応しており、応用が効かない

抽象の特徴
・実態がなく、目に見えない
・解釈の自由度が高い
・N対1の関係で、応用が効く

抽象化の言い換え
・N数の具体に共通する特徴を抽出すること
・デフォルメすること(細部を切り捨てて特徴を抽出する)
・パターン認識(複数の事象にパターンを見つけ名前をつける)
・個々の事象を構造や関係性で捉えること

抽象的な概念の代表例
・言葉
・数字
・〜の法則(オイラーの公式、相対性理論など)

抽象の具体例
・魚という言葉(魚類の固有名詞を総称した言葉)
・反意語(2つの言葉の関係性を表した言葉)

・複数の事象から1つの法則を導き出す作業が「抽象化」
・導かれた法則に定数または自分が置かれている状況・条件を代入して実行するタスクを明確にしていくのが「具体化」
そんな風に書かれてました。

具体と抽象化の関係を表したのが次の図です。

具体と抽象のイメージ

N数の具体に対する1が抽象
・具体と抽象は相対的な関係で階層的存在する。

抽象の上層にさらに抽象があったり、具体の下層にさらに具体がある場合もあるそうで。
例えば「おにぎり」は具体か抽象か?という話が本書で出てて来ますが、「食べ物」という概念を抽象とした場合、「おにぎり」は具体になります。しかし、鮭おにぎり、梅おにぎり、明太子おにぎり…と複数の種類を具体とした場合には、これらはまとめて「おにぎり」と呼べるので「おにぎり」は抽象と言えます。
また「手段」と「目的」の関係も相対的なもので、目的1つに対して手段が複数あります。「目的」の上にはさらに抽象度の高い「上位目的」があります。

気づきと改善点

具体と抽象の定義を明確にしただけでも改善点が見えてきました。
ここからは本書から得た気づきと改善したいことをつらつらと述べていきたいと思います。

1.相手の具体と抽象の階層を理解する努力をする!

具体と抽象の関係は相対的なもの。
なので人によって階層の認識が異なり、議論が噛み合わないということが起こる。

違う階層で議論するの図

これが今回1番の気づきかもしれないです。まさに私と上司のやりとりが噛み合わなかったのはこのせいでしょう…!
上司に限らず議論する相手と自分の「具体と抽象として捉えている階層」が合っているかどうか、という視点を持って話を聞くようにしたいです。

ただ具体側にいて抽象側の理解ができない状態から、一度抽象の理解ができてしまうと、具体側にいた時の「抽象的すぎてわからない。」という感覚に戻れないそう。このせいで簡単に相手の階層を理解できない可能性があるので、せめて努力してみます。

2.目の前のタスクがどのフェーズでどの価値観で進めるべきか考える!

そもそも「抽象度の高い上流」と「具体的な作業が多い下流」では、仕事の仕方も違うけど価値観も違うんだよという話がありました。
それぞれの価値観はざっくり以下の通りです。

上流
・抽象度高い
・全体把握が必須
・創造性重視
・多数決は効果なし
・個人の勝負

下流
・具体性高い
・部分への分割可能
・効率性重視
・多数決が効果あり
・組織の勝負

上流の仕事はコンセプトや戦略を決める抽象度の高い作業で分担するのは不可能。これが下流に進むと具体化され、作業が飛躍的に増えるとともに作業分担が可能になる。そう筆者は語っています。

上流の仕事でなぜ多数決が向かないかというと、上流ではいかに個性的であるかが重視され、意思決定に多数の人が関わるほど無難になっていくからだそうです。

最近上司に「アイデア出しに人を巻き込みすぎないで、時間を意識して!」と言われることがありました。
今思うとこれは、人を巻き込みすぎることで尖ったアイデアも無難なものになる上に複数人で話し合うため時間がかかっていたものを、短い時間で尖ったアイデアを出してほしいという意味にも捉えられる気がしてきました。
(単に時間をかけすぎるなという意味かもしれない…🤔)

3.上司が言った具体例をそのまま実行しない!

本書の中で具体派の人と抽象派の人がいて、タスクの依頼主は依頼される人の好みに合わせた抽象度合いでタスクを出さないといけない、とありました。
そして、具体派の人は上司が出した具体例をそのまま実行しがちとあり…
これ私だ…

具体派の人が悪いわけではないのですが、UXデザインの5段階モデルでは、戦略・要件といった抽象度の高いフェーズもデザイナーの仕事ですよね。
このまま具体ばかり見ていては成長しないなと反省。上司の言わんとしていることの確信をつけるようになりたいです。

またデザイナーが具体ばかり見てしまうことの害悪は、「パクリ」をしてしまうかもしれないということです。具体レベルで真似をするとそれは「パクリ」です。

パクリとアイデアの違い


ただし抽象レベルの真似はアナロジーといい、自分の知っている世界の知識を応用することで新しい世界の摂理を理解したり、異なる世界どうしの共通点を見つけることで新たなアイデアを思いつくための方法として活用できます。デザイナーがWebサイトやバナーなど分析するのは、アナロジー思考と言えます。アナロジー思考のコツは関係性や構造の共通性に目を向けることだそうです!

4.関係性や構造を図式化&いろんな体験をする!

本を読み進めるほど、自分はつくづく具体視点によっていたなぁと反省。
本書では
・事の関係性や構図に着目せよ
・多様な経験を積むこと+経験できないことを本や映画で疑似体験すること
が抽象思考を促すとあったので、
よくわからずモヤモヤする時は知識の整理として構造を書き出してみたり、なかなかできない体験をできるチャンスがあったら積極的に参加するようにしたいです。

5.2つの事象をどのレベルで見ているかを把握する!

みなさんは「二者択一」と「二項対立」の違い、わかりますでしょうか?
二者択一は白黒はっきりさせる極論で具体レベルの対比です。
二項対立は物事の方向性や視点(全ての事象が当てはまるわけではない)の話で抽象レベルの対比です。

二項対立と二者択一

ネットで抽象レベルの方向性を示している主張に対して、具体をあげて反論する人がいますが、これがまさにレベルが噛み合ってない議論の具体例として挙げられてました。(わかりやすい…!)

最後に

この本には他にも興味深いことがたくさん書かれています。
・たとえ話が上手い人の条件
・言葉には精神世界と具体世界がある
・あるべき姿(to be)を考えるには抽象化能力が必要
・具体の世界は量、抽象の世界は質
・抽象化できる人は膨大な情報を要約できる
・具体と抽象を行き来する目標が理想的
・抽象化による客観視姿勢は主観的な感情と衝突する
などなど

特にたとえ話が上手い人は面白くて言語化がうまい人というイメージがあるので意識していきたいです。(言語化うまい人って魅力的ですよね、憧れます✨)

この本の内容は、未熟な今の自分には全て意識するのは難しい!😇
と感じたので、成長できたらまたその時の視点でまとめる機会を作りたいなと思います。(きっと自分にとって重要な箇所が変わっているはず!)

ここまで読んでいただきありがとうございます!
興味のある方はぜひ手に取って読んでみてくださいね。


なんだかんだ一年ぶりの投稿になってしまいましたが、今後は言語化トレーニングとしてちょこちょことカジュアルに投稿していきたいなと思います。
それでは、また👋




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