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中学受験は私にとって唯一の救いだった。

毎年この季節になると受験の話題やニュースをよく耳にします。その度に受験勉強をしていた時のいろんな思い出が頭をよぎります。
「受験」というと一般的なイメージとして大学受験や高校受験が強いと思いますが、自分にとっての「受験」はというと、圧倒的に中学受験です。

中学受験をする子の多くは
・親が良い学校へ進学することを望んでいるから
・そもそも良いお家で幼稚園や小学校も既に私立に通っているから
といった理由がある印象があります。

私が中学受験をした理由はこのどちらでもありません。
私が中学受験をしたのは、それが自分にとって唯一の救いだったからです。

1.小学校時代前半(〜3年生)

私が通っていた小学校は6年間1クラスのまま過ごして卒業するクラスが普通にあるような田舎の公立小学校でした。

元々通っていた保育園からの友だちもそれなりにいたのですが、思い返せば最初の1年生のときから1人で帰っていたことが多く、親はかなり心配していたようです。
親が元小学校の教員だったからかかなりの学習教材信者で、物心ついた頃からドリルや通信教育の教材を常にこなす生活をしており、勉強はずっと好きでした。
ここまで読んでいただいた方はなんとなく察しがつくかと思いますが、小学校のメインどころの女子の中には当然おらず、むしろそういった集団が苦手で、小学生にとって重要な要素の運動も苦手だったのであまり楽しい思い出はなかったと思います。
その点1人で完結する上に自分の世界が広がる読書や勉強は大好きだったので、そちらに魅力を見出す日々を過ごしていました。

2.中学受験決断の時

小学校3年生の年、ついにその時はやってきます。

同級生でとても頭が良かった男子のお姉さんが隣県合わせて3県ほどの地区の中で一番偏差値の高い私立の女子校に合格したというニュースが親伝いに飛び込んできました。
それまでなんとなく地元の中学校に行くのかなと思っていた自分はこの知らせを聞いてとても中学受験に興味が湧きました。また勉強がとても好きだったことや従兄弟が私立中学に進学していたこともあり、どうしても中学受験に挑戦してみたくなったので親にお願いする形で4年生から中学受験生活が始まりました。

3.中学受験生活

小学校時代前半ではたまに友だちと遊ぶことがあったものの、中学受験の勉強が始まってからは全く遊ばなくなり、いつも勉強か習い事をしていました。
今思えば小学生なのに遊んでいないなんて本当に小学生らしくなかったなぁと思いますが、当時の自分にとっては好きな勉強ができて毎日どんどん新しいことを覚えたり解ける問題が増えたりするのが楽しくて仕方ありませんでした。
また、勉強をする中で様々な学校のパンフレットを見たりオープンキャンパスに行ったりするのもモチベーションが上がって大好きな時間でした。
そして何より、親はそんな自分を真正面から応援してくれていました。長女だからか、親が喜ぶことが自分の喜び、みたいな感覚があった自分はそれがたまらなく嬉しかったんだと思います。

それでもやっぱり辛いことはありました。
宿題や課題が終わらず日付が変わるくらい夜遅くまで勉強して疲れ切ってしまったとき。
頑張ってもテストで結果が出なかったとき。
途中から塾に入ってきた子に成績を追い抜かされた時。
これは中学受験をする子ならきっと誰でも経験することだとは思いますが、当時の自分が小学生だったことを考えるとすごく胸が締め付けられるような思いです。当時の自分に会えるなら、「よく頑張ったね」と言ってぎゅっと抱きしめてあげたくなります。

4.中学受験の決意が確信に変わった瞬間

そんな中学受験生活を送ることで小学校外の時間での負担が増えてきた頃、事件は起こりました。
当時貴重な存在だった信頼できる友だち(2)対自分(1)の構図で冷戦状態になってしまいました。
タイミングは5年生の夏休み明け急にでした。その2人は通っていた小学校の中でかなり頭が良い子たちだったので、そんな友だちを失ったことやその子たちから有りもしないデマを流され普通に話せないくらい冷戦状態になってしまったことが余計にショックでした。
中学受験の負担に加えて小学校でかなり精神がボロボロになり、家で泣く日や担任の先生に相談する日が増えていきました。
また厄介なことにその2人の友だちだけでなくクラスのメインどころの女子集団にも本当につまらない理由で理不尽なリンチ的なことをされる日々を過ごし、心は限界でした。

絶対にこの人たちと同じ中学校に行きたくない。

その気持ちは日を追うごとにどんどん強い確信に変わっていきました。
私が私らしく、健やかに生きていくためには中学受験しかありませんでした。

5.中学受験の結末とその後

中学受験生活後半の最大のモチベーションは
「優秀な学校に合格して、とにかく自分の力で関わりたくない人たちとの世界を切りたい」
という強い思いでした。
あまり良くないことだとは思いますが、今思えばこれだけ明確な理由があったからこそやらされてる感が一切なく、自分の将来の選択肢の一つとして中学受験に取り組めたような気がします。
第一志望校はそもそも中学受験を始めたきっかけ、同級生のお姉さんの進学先である地区1番の女子校に設定してラストスパートをかけました。

最終的な結果は、第一志望校に合格することはできませんでした。
しかし、第二志望校には合格できました。この学校は初めてオープンキャンパスに行った女子校で個人的な思い入れがものすごく強かったので、合格した時は親と大泣きして喜びました。

そしてその学校に進学し、私の世界は180°変わりました。
今まで居心地悪く感じていたことが一切なくなり、自分の考えを理解してくれる頭の良い尊敬できる友だちがたくさんできて、文字通り毎日が楽しかったです。天国って本当にあるんだと思いました。
中学1年生のときに何気なく発した「今が楽しすぎて小学校の6年間より濃く思える。」という言葉は親にはかなり刺さったらしく、今でもたまにその時の話をされます。

受験の持つ意味は人によって本当に様々だと思います。
正解も不正解もないですし、第一志望校に受からなかったからといって人生が終わるわけでもありません。
自分の場合は自分の力で人生の舵を大きく切るために必要なツールだったということです。

人生の節目に良いスタートが切れるよう、受験シーズンはただただ受験生の皆さんの活躍を祈るばかりです。

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