贖罪

社会人になり、本を読む事なんて滅多になくなってしまったので、折角読んだ本を思えておくために感想を書いていこうと思う。

自己啓発本は会社でほぼ強制的に読まされるが、小説は読むことが無くなってしまった。かといって大学生の頃までは読んでいたのかと聞かれるとそうではないのだが。

社会人2年目だが、社会人になって小説を読んだ記憶はおそらく1度だけ。小説もいっぱい読もう!と意気込んで買いだめしておいた小説を読むことにした。読んだのは湊かなえさんの『贖罪』だ。

湊かなえさんの作品は、過去に1度しか読んだことがないのでそこまで詳しくない。

ただ有名でとっつきやすいだろうなと思って買っておいた作品を読んでみた。

紗英、真紀、晶子、由佳、そして麻子の5人の女性の視点から描かれている。

全部で6章に分かれており、それぞれの告白という形でストーリーは進んでいく。

15年前に田舎町の小学校で起こった殺人事件。4人の目撃者と被害者の母親。4人の少女達は事件の直前に犯人と接触しているが、特徴を覚えておらず事件は未解決のまま。被害者の母親と4人の少女達が結んだ『約束』。悲劇の連鎖。

事件から15年の月日が流れ、エミリのことを忘れ平凡に暮らしていると思っていた4人の子供達は約束に縛られ続け、罪を犯してしまう。

麻子の人生についても描かれており、まさかそれが事件に繋がるなんて思いもしなかったはずだ。

読み進めるとどんどん犯人に近づいていき、中盤で犯人が分かり、最後に何故事件が起こったのかが分かる。最後はなんとも言えない気持ち悪さは残らず、スッキリとしたラストだった。

印象に残ったのは、くまの兄妹。最初のフランス人形もかなり気味が悪かったが、晶子の話は辛かった。大好きだった実の兄を兄と思えなくなり、自らの手で殺害してしまい、精神的に病んでしまっている。麻子の顔を忘れてしまうほどにだ。個人的には犯人の心情についても読みたかったが、そこはあえて書かなかったのだろう。手にかけてしまった少女が実の娘と知った男はどんな心情だったのだろうか。

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