コロナ禍の経験から、日本人は「平等」を最優先する人種であることを学んだ

ちょうど4年前、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が始まり世の中が混沌としていた頃の話。自分は大学を卒業して医師免許を取得し、初期研修医として地域中核の基幹病院で働きはじめていた。

当時はCOVID-19の全貌がまだわかっておらず、有効なワクチンもなく、クラスターによる感染拡大が起きて緊急事態宣言などが出されていた。自分の勤務先の病院は公的機関病院ということもあり、感染症病棟へのCOVID-19患者の受け入れや発熱外来の対応などを行なっていた。全貌のわからない未知のウイルス、自分達もいつ感染するかわからない、飲み会や歓送迎会もできない、「不要不急の外出は控えて ステイホーム」が騒がれていた。そうしたストレスフルな中で病院スタッフは疲弊していたが(もちろん世間全体も疲弊していたと思うけれど)、病院全体で乗り切ろうというムードだった。

そうした中、近くの弁当屋さんが気を利かせて病院医療者に対してお弁当の差し入れをしてくれた。数として70個程度。多分それだけあれば十分だろうと思ったんだろうと思う。けれど、400床以上の総合病院に務めるスタッフ数と比べると、明らかに少な過ぎた。結局、そのお弁当は感染症病棟とその他部門の一部スタッフに優先的に配布された。

結果として院内に残ったのは何だったか?
「お弁当屋さんありがとう」という感謝ではない。
「私は貰えなかったのに、あの人たちは貰えた」という怨嗟である。

この経験から、
・日本人は「平等」を最優先に考えている
・中途半端な便宜は逆効果で、恨まれることすらある
という2つのことを学んだ。

お礼の品を渡すときは相手方の人数を確認して個数が足りないかを必ず確認するようになったし、中途半端な形で気を利かせることはしないようになった。それだったらしない方がマシ。
また、何かしら自分に便宜をはかってもらった時も外向けに吹聴したりひけらかすことは絶対にするまいと思うようになった。
今までもこれらのことはそれとなく気をつけていたけれど、より一層気をつけるようになった。

皆さんもぜひ気をつけてほしい。
良かれと思ったことが、気付かぬうちに裏目に出ていた、なんてことにならないように。無用な恨みを買うことのないように。

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