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(無料記事) Tesla ( $TSLA ) の理論株価を算出してみた結果

こんにちは、すてぃ次郎です。

今回は、Tesla ( $TSLA ) の理論株価を算出してみた結果について纏めていきます。

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<はじめに>

今回は、利益率/成長率/バリュエーションの観点から来年のテスラ理論株価ついて考えてみた内容になります。

数字ベースでの評価を簡易的に行っていきますので、興味がある方はぜひご覧ください。

また、以前テスラの記事を購入された方もいますので購入時の考え方については省かせて頂きます。

<テスラ社の現状>

まずは、テスラ社の現状について簡単に述べます。

①業績

3Q決算
売上高:21.454B$ (YoY+55.9%)
粗利:5.832B$ (粗利率:25.1%)
自動車部門売上高:18.692B$ (YoY+55.1%)
自動車部門粗利:5.212B$ (粗利率:27.9%)
自動車部門が売上高全体に占める割合:87.1%

https://tesla-cdn.thron.com/static/WTULXQ_TSLA_Q3_2022_Update_KPK2Y7.pdf?xseo=&response-content-disposition=inline%3Bfilename%3D%22tsla-q3-2022-update.pdf%22

4Q出荷台数速報
FY22 4Q出荷台数
モデルS/X:17,147台 (YoY+45.9%)
モデル3/Y:388,131台 (YoY+30.7%)
合計:405,278台 (YoY+31.3%)
FY22 通年出荷台数
モデルS/X:66,705台 (YoY+167.2%)
モデル3/Y:1,247,147台 (YoY+36.9%)
合計:1,313,851台 (YoY+40.3%)
中国 出荷台数
4Q:22,7791台 (YoY+27.9%/全体出荷台数の56.2%)
FY22:710,865台 (YoY+50.3%/全体出荷台数の54.1%)

②自動車の値下げ

中国では、9月から13~24%値下がりしたと報道。
アメリカでは、7500$値下げを実施していると報道。

<今後の展望>

今回問題視している点は、
1.テスラの売上高成長率低下
2.値下げによる利益率低下によるEPS低下
3.売上高成長率及びEPS低下による許容バリュエーションの低下
です。

1.テスラの売上高成長率低下
テスラは、売上高及び出荷台数の年間成長率50%以上を目標に掲げています。
しかし、2022年末の出荷台数はYoY+40.3%、FY22 4Qの出荷台数はYoY+31.3%と大幅に下振れしています。
現時点でYoY+30%となっている中で、来年の成長率がどれ程確保できるか?懸念があります。

2.値下げによる利益率低下によるEPS低下
3Q時点で自動車部門粗利率は、27.9%でした。
しかし、3Qに入り10%以上の大幅値下げをしています。
値下げをした場合、割引額は全て粗利益の削減に直結します。
仮に10%値下げを中央値とした場合、単純計算では粗利率は15.1%まで下落します。
効率化によるコスト減少もあると思いますが、その反対に稼働率低下による粗利率低下もあります。
粗利率が落ちるという事は、純利益が落ち、EPSが低下する事に繋がります。
単純に、粗利が半分になるという事はEPSは半分以下になる可能性が高い事を示します。
つまり、PERは業績次第で倍となり、割高感が一層演出されます。

3.売上高成長率及びEPS低下による許容バリュエーションの低下
粗利率が15.9%とした場合、テスラに優位性があった利益率が高い事実は無くなってきます。
テスラの純利益率は3Q時点で15.3%。
既存自動車会社のGMは、7.9%。 
GMの向こう12カ月のPERは、5.7倍でほど歴史的水準に近いです。
Teslaの向こう12カ月PERは、22.9倍。
約4倍のバリュエーションの差があります。
しかし、利益率は2023年度近しくなります。
頼みの売上高成長率もどこまで落ちるか分からない為、バリュエーションの著しい低下が継続的に続く可能性があります。

<理論株価>

現状に置いて、正確な理論株価を算出する事は出来ません。
しかし、上記の観測からある程度の予測を立てていきたいと思います。

2023年度売上高成長率を、YoY+20%と仮定します。
4Q成長率がYoY+30%なので、やや鈍化する事を考えています。
4Qの概算予想売上高は、
18.692×(405,278÷343,830)×0.85÷0.85≒25.920 B$
とします。
これをFY22 1Q~3Qの売上高に足すと、FY22通年売上高予想は83.064B$です。
売上高成長率YoY+20%とした場合、2023年度の売上高予想は99.677B$。
粗利率が15.1%とした場合、2023年度粗利益は15.051B$。
直近三四半期の税引前までに掛ったコストは、1.857B$、1.770B$、1.694B$。
4Qは、上記傾向から1.62B$と仮定する。
2023年通年税引前までに掛ったコストを6.48B$と仮定する。(1.62B$×4)
税引前利益に対する税金の割合は、9.5%、8.3%、8.2%。
2023年通年税率を8.2%で算出する。
2023年通年純利益を7.868B$と仮定する。
発行済み株式数は3,468M株ですので、EPSは2.27$。

テスラは利益が出た時期が2019年からであり、PERの歴史的水準や業績によるバランスはデータから読み取れません。
その為、いくつかの角度で読み取っていきます。

成長率とEVセクターの期待値からS&P500の平均的PERと比較して仮算出してみます。
S&P500の10年平均PERは、17.1倍です。
成長率20%は平均値を大きく上回りますので、仮にPER25倍とします。
その時の理論株価は、2.27×25=56.8$となります。

自動車セクターで見てみると、GM:6.01倍、F:7.31倍となっています。
現状の成長率で言えば、売上高成長率は高い水準であり、利益率も高いです。
仮にPERを15倍と算出すると、理論株価は2.27×15=34.1$となります。

どちらかと言えば、EVの期待値が乗る事を考えるとPER25倍の方が自然な印象を受けます。
但し、利益面の良さは値引きにより受けますので粗利率10%台の銘柄がセクターと一線を引くというのもやや不自然ではあります。

<すてぃ次郎の所感>

今回は、現状から理論株価の算出までしてみましたが過程が多すぎて正直使い物になるか?はかなり怪しいです。

精度を上げるには、4Q決算や市場動向や株式環境に大きく依存します。
実際に値引きの値段が変わったり、株式全体の許容バリュエーションが変化したり、経済環境が変わったりすれば毎日の様に更新されます。

ただ、今回の記事で言いたいことは決して楽観的な状況では無くなったという事です。
もし、値引き戦略の結果が現状の推移だった場合には上記の理論株価は現実的どころかややポジティブ過ぎるかもしれません。

2020-2021年はテスラ大躍進の年になった反動を今は受けています。
確かに長期的にはEV市場は成長していくため、株価の後押しになるタイミングはあるかもしれません。
しかし、直近でこれだけ落ちてしまえば高値を追う展開は時間が掛かり過ぎます。
安易な買いやホールドは苦しむ原因になりますので、何が一番自分の利益になるか?を考えながらトレードする事をお勧めします。

また、業績や経済環境見通しが改善すればEPSも上がりますので一喜一憂せずに観察を続けてみてください!



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