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やぶをつつく勇気

前説

暑いですね。いまのところ、まだ好きな暑さですが、体力がない上に老体なわたしには、たぶんすぐにも限界がくるんでしょう。攻撃的な熱波にあっては立っているだけで精いっぱいという事態になるはず。ああ、おひさまとの遭遇にワクワクしていられるのはあとどのくらいだろう。

さて本日は、いつもの過去日記でもなければ積年の悩み吐露日記でもなく、ふつー日記となっています。書かなきゃやっとれん。

人さまの言動は予想外のものでしかない。そりゃそうだよね、な話をさせてください。

ちょうど一か月前、我が家のリフォーム工事が始まりました。リフォームという体ではあるけど、そもそもは昨年関東各地に甚大な被害をもたらした台風15号で破損してそのままだった部分の補修を兼ねた工事です。

被害は屋根の一部損壊のみ。雨漏りの心配も急にはなさげな箇所。もちろんすぐに修理依頼はしたものの、我が家に使われている「瓦」そのものが手に入りにくいということで、待っても待っても工事開始のめどが立ちました的な連絡すらいただけないまま年も明け、こちらから電話をすればやはりとにかく「瓦がない※」とのこと。

※被害の大きかった地域に、屋根材も職人さんも流れるそうで、それはそうよね、致し方なしと思ってました。

そうこうしているうちに、なんと突如、ご近所で屋根のリフォーム工事が始まりました。おやおや、我が家は半年以上なしのつぶてなのに。いいなあ。そんな気持ちで眺めていたら、我が家と同じ素焼きの瓦屋根が、みるみる美しいカラーのスタイリッシュなガルバリウム鋼板へと生まれ変わっていきます。そんな景色を目の当たりにしているうちに――否、たぶんその前、工事連絡を待ちくたびれている間に

落ちた部分の瓦の補修だけでほんとうによいのか? 台風のせいとはいえ、突然一部の瓦が落ちたということは、別の個所も次々に破損する危険性が高いのではないか?

といった思いにとりつかれ、なにせ素人の目視ですらすでに次はここが破損するであろうと判別できるくらいに危うい我が家の屋根瓦。もう全部やっちまいましょうか(お金ないけど)。という結論に至るがはやいかそのお宅へ走って「お宅みたいにしたいんです」とばかり、工事業者を紹介してもらいました。(依頼済の業者さんにはごめんなさいの一報を入れました。契約はしておらず見積もりだけだったので問題もなく)

こうしてはじめましての業者さんへ連絡を入れると、丁寧・迅速な対応のおかげで、当初4か月待ち位といわれていたのが約2か月半後には足場が組まれ、やれやれ初秋に多発する台風に間に合いそうだと胸をなでおろしたのもつかの間、職人さんからショッキングな写真を見せられました。

それは、敷地の狭い建売住宅の我が家にぴったりと隣接している、同じ建売のお隣のお宅の外観写真で、そこにはかの台風被害の際に我が家から落下した瓦が負わせたと思われる傷が写っていました。

……ぱにっく。

むしろ今後また瓦が落ちるなどの事故があったときに、超接近しているそのお宅に何かしらの被害をもたらしてしまうことを避けたいがための大それた決断でもあったのに。。。

これはいったいどうすれば。我が家の過失? 修理代出すの? 保険金出るの? 

あわくって調べたところ、

自分の家の瓦が飛んで、他人に損害をあたえてしまった場合、基本的には「自然災害で生じた不可抗力な事故」として、法律上の賠償責任が発生しないケースが殆どで、賠償をする必要はありません。

とのこと。実際保険会社に電話もしたけれど、同じ返答でした。つまり、出ません、と。

指摘されなければなかなか気が付かない箇所だし、10か月そのまま放置されているということは、お隣のお宅もご存じないと思われる。とにかくお知らせして、謝罪して、修理について相談させていただかなければ! と思い、早速出向いたのですが。

チャイム押しても出ていただけない(さっきまで庭掃除してらしたから明らかにご在宅なのに)。

しばらくするとひとり、外出する様子ででてらしたので、こちらも急いでいたし失礼かとは思いつつ家から飛び出してお声をかけました。すると家に戻って在宅中のご家族に声をかけてきてくださったので、出てこられたその方に事情を説明したのですが。

話してる途中に「うちの問題なのでほっといてください」と言い家に入ってしまった。えっとぉぉぉ、それで話しを終えるわけにはいかないのではー!!

実はなかなか難しいお宅で。基本、チャイム押しても、明らかにご家族皆さんご在宅でも、なかなか、これがなかなか、出ていただけません。特にトラブルはないです。あ、今回の件はトラブルかもしれないけど。うちだけじゃなくて、たとえば前回の国勢調査の時には、(顔見知りだった)調査員の方が対応に困って我が家にわざわざ相談にきたくらいだし、町内会の連絡も手紙を入れるしか方法がなかったと聞き及んでました。

さあどうしたものかと思っていたら、工事業者の方が「足場がある間ならお隣も修理しますよ」と言ってくださった。神よ!!

とりあえず解決の道が見えて人心地はついたのですが、もちろん勝手に施工するわけにはいきません。なんとかして今一度対話させていただかなくては……。

そんなこんなで一か月。

業者さんからは、そろそろ工事も終わるしどうしますかと聞かれもするけど、チャイム無視はメンタルに堪えることもわかったので、ラスト数日、慎重にお声がけできる機会を待って、昨日夕方、二度目のチャイムでついに(インタフォン越しだけど。一度目は無視された上玄関灯消されたけど)お話できました。できたのですが、でもしかし。

一か月越しのあちらさまの返答は以前と同じ「うちの問題なのでうちで修理の手配もするしほっといてください※」

※今回はちゃんと最後まで話聞いてくれたし「お気遣いありがとうございます」との返答も頂戴でき、一応対話は成立したと感じました。

――それにしてもなんといいますか。

人それぞれ、自分が納得できる方法は違うのかも。彼女とそのご家族にとっては、どんな形であれ、他人と関わることは万死に値する(←大げさに言えばだけど)ことなのかも。

被害を確認する。話し合う。妥協点及び解決策を見出す。そんな流れでしか解決しえない問題だろうに、対話ができない場合いったいどうすればと、いろいろ考え考え、予想して武装することばかりしていたため非常に長くしんどい期間でした。武装したせいで平静でもなかったらしく、何を言い出されるのかわからない不安も起きたり、ちょっとした被害妄想も起きてた気がします。昨日やっと話ができたら途端に落ち着きました。いっそもっと話がしたい。仲良くなりたい。そんな気持ちになっているものの家族から止められてます。余計なやぶはつつくなと。

でも、修理はしといたほうがいいし、できればあきらめたくないとは思います。お隣の被害は瓦に及んでいるため、とにかく今回やっておかないと直しようがない(瓦が手に入らない)から。業者の方も「足場はずしてからでもできます」「材料とっときます」と言ってくださっているし、今後もしかするとお付き合いできるようになるかもしれず。

気長に模索していこうとおもいます。はい。

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