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【Misstopia / THE NOVEMBERS 2011年】PIZZA COLA DIARY #00 “どこへでも行ける そこに心がある限り”

THE NOVEMBERSが「Misstopia 11th Anniversary "Ceremony"」と題して今月10日、11日とリキッドルームにてライブを行った。僕はもう11年も経ったのか…と時の流れの早さに驚いた。THE NOVEMBERSが2010年に発表した2枚目のフルアルバム“Misstopia”は僕が彼らの音楽に夢中になったきっかけの作品だった。 

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2008年から大学に通うため、広島で一人暮らしをしていた。田舎から出てきた僕の頭の中は勉学そっちのけで音楽のことばかりだった。    NOVEMBERSのことは所属していたバンドサークルの友達が教えてくれた。          僕がART-SCHOOLというバンドに心酔していることを知って、「だったら絶対好きだよ」と。

ただ、タワーレコードで買ったのはいいものの なんとなく聴かず仕舞いで終わっていた。                            

当時は残響レコードに所属しているバンドが話題になっていたりBAWDIESがメジャーデビューしたり、The Mirrazが出てきたりちょっとしたバンドブームだったが、自分の中でピンとくるバンドはあまりいなかった。ライブで観た時はどのバンドのパフォーマンスも物凄くかっこ良いんだけど、家に帰ってCDを聴くほどのめり込むバンドはいなかったんだと思う。

そんな中でTHE NOVEMBERSの“Misstopia”のミュージックビデオが2010年2月、Youtubeで公開された。

8mmフィルムのようなざらついた質感の映像、イントロのソリッドなギターリフから始まり、一気にサウンドは幻想的な広がりを見せる。 

衝撃だった。ボーカルギターの小林祐介が時にファルセットを使い、表現力豊かに歌うメロディは当時僕が観ていたバンドとは、一線を画しているように見えた。そして、僕が衝撃を受けたのは何といっても歌詞だった。        

“生まれたばかりの心と身体で いま二人はかけだしてしまう”                
きみの小さな手 あたたかい小さな手 まるで夢みたいだ”   

冬の日の毛布みたいに優しい言葉が並ぶ中で いきなり                    

  “今日の分の罪をみつめてる 生きるのだから”                 
“子宮から墓場まで求め合い奪い合う世界だよ”          
   “すべて剝き出しのまま愛し合う”

とシリアスな表現が出てくる。優しくて美しいだけの歌なら、僕はこんなに夢中にならなかったと思う。   

“もう僕の場所じゃない 別に悲しくないから 先に壊しに行こう”  

この世界に時にうんざりしながらも、この曲の主人公は明日からの世界を生きようとしている。言葉の一つ一つが、意味を持っていた。ありきたりな表現だけど、曲を聞き終わった後には一本の映画を観終わったような気持ちだった。背伸びして観たレオス・カラックスの映画や村上春樹の小説よりもずっーと、自分に自然とフィットするような感覚がした。  

そこから1ヶ月後にリリースされたアルバムを購入し、Cave-beで行われたリリースツアーの広島公演にも足を運んだ。対バンもtabaco juicesleepy.abととても良い組み合わせだった。今でも初めて彼らのライブを観た時のことは覚えている。ライブハウスで涙を流したのは、初めてだった。通い慣れた小さなライブハウスのステージがその夜はとてつもなく大きく見えた。                      

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いい未来で会いましょう   

11年経った今、僕は結婚して父親になった。10代の時みたいに頭の中が音楽のことばかり とはいかないけれど 30代になっても まだ悩むことはある。その度に僕は 未だに彼らの音楽に やっぱり 今でも助けられている。THE NOVEMBERSは常に進化して 今もこの世界に存在している。

 “どこ行こう どこへでも行ける そこに心がある限り”       

 「全く、その通りだよな 」と聴く度に背中を押される。救いの呪文のように、口ずさむ。心がすっと軽くなる。THE NOVEMBERSは日常に寄り添ってくれるバンドだと僕は思う。      


THE NOVEMBERS

Yusuke Kobayashi / Vocal & Guitar
Kengo Matsumoto / Guitar
Hirofumi Takamatsu / Bass
Ryosuke Yoshiki / Drums

2005年結成のオルタナティブロックバンド。2007年にUK PROJECTより1st EP「THE NOVEMBERS」でデビュー。
様々な国内フェスティバルに出演。
2013年10月からは自主レーベル「MERZ」を立ち上げ、 2014年には「FUJI ROCK FESTIVAL」 のRED MARQUEEに出演。
海外ミュージシャン来日公演の出演も多く、TELEVISION,NO AGE,Mystery Jets,Wild Nothing,
Thee Oh Sees,Dot Hacker,ASTROBRIGHT,YUCK等とも共演。

小林祐介(Vo/Gt)はソロプロジェクト「Pale im Pelz」や 、CHARA,yukihiro(L‘Arc~en~Ciel),
Die(DIR EN GREY)のサポート、
浅井健一と有松益男(Back Drop Bomb)とのROMEO`s bloodでも活動。
ケンゴマツモト(Gt)は、園子温のポエトリーリーディングセッションや映画「ラブ&ピース」にも出演。
高松浩史(Ba)はLillies and Remainsのサポート、
吉木諒祐(Dr)はYEN TOWN BANDやトクマルシューゴ率いるGellersのサポートなども行う。

2015年10月にはBlankey Jet CityやGLAYなどのプロデュースを手掛けた土屋昌巳を迎え、5th EP「Elegance」をリリース。

2016年は結成11周年ということで精力的な活動を行い、Boris,Klan Aileen,MONO,ROTH BART BARON,ART-SCHOOL,
polly,Burgh,acid android,石野卓球,The Birthday
等錚々たるアーティストを次々に自主企画「首」に迎える。
2016年9月に6枚目のアルバム「Hallelujah」をMAGNIPH/HOSTESSからの日本人第一弾作品としてリリース。
11周年の11月11日新木場スタジオコーストワンマン公演を実施し過去最高の動員を記録。
2017年FUJI ROCK FESTIVAL WHITE STAGE出演。

2018年2月には、イギリスの伝説的シューゲイザー・バンドRIDEの日本ツアーのサポート・アクトを務める。
同年5月、新作EP『TODAY』をリリース。              
     
                                                                                                             
still in a dream 愛媛県在住、ソロプロジェクトとして2018年4月に活動を開始。 全ての楽曲制作・映像、アートワーク制作を自身で行っている。 2020年12月 初となるシングル “faith”、翌年4月にはセカンドシングル“TONIGHT”を配信リリースした。 





                         




                

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