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将来の夢はあるか

将来の夢。その言葉自体は情熱と希望に満ち溢れている。もう少し現実的な表現に落とし込むと、就活の面接なんかで聞かれる「5年後、10年後の自分はどうありたいですか?」という質問になるのでしょう。つまり「夢」と言っておきながら、現実の延長線上にある未来を指しているのである。将来の夢は年収1000万円、素敵なパートナーと出会い子宝に恵まれ、幸せいっぱいの家庭を築く。YouTuberドリームを実現させて憧れのタワマン暮らし。本やグッズをバンバン売り出して印税による不労所得生活。ある程度まとまった資産を転がしてFIREなんてのもトレンディかもしれません。しかし、これは果たして夢なのか。夢というにはあまりにも俗な内容じゃないか、と僕は思う。目標や野望と表現したほうがしっくりくる。

『VA-11 Hall-A』というゲームがあります。ヴァルハラと読みます。サイバーパンクな世界のバーテンダーとして客に酒を提供し、トークを楽しむというノベルアドベンチャー。わざわざ僕が紹介する必要もないくらい有名なタイトルですが、一応ね。そのなかで、プレイヤーが操作するキャラクターのジルが夢について言及します。

子供っぽい夢、と自嘲しながら「しゃべる家具のある部屋に住みたいとか モデル戦士になりたいとか」と語ります。これなんですよ、夢というのは。眠っている時に夢で見るような荒唐無稽な状況。ところが、他人から将来の夢を聞かれた時に「しゃべる家具のある部屋に住みたい」なんて言おうものなら、妄言や戯言として片づけられてしまう。悲しい…そんな固定観念は自由な発想を縛り付けるだけなのに。

僕自身、こういう作品を通して改めてハッとさせられる機会はよくあります。それくらい、普通に社会生活を送っていると考えが凝り固まっていくのだ。僕の夢ですか?全身がグミになった状態で草原を跳ね回りたいとか、宇宙を部屋に飾って外側から観察したいとか…。夢なので、どれだけ沢山あってもいくら実現不可能でも構いませんよね。

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