見出し画像

【物申す】Native Instruments と Izotopeユーザーよ、聞け。

今年三月、NIとIzotopeの統合がニュースになりましたね。この二つの会社のここ数年の発展は目覚ましい。音楽理論を知らなくても誰でもプロクオリティの音楽が作れる、DTMの一般化に大きな貢献を果たしている。

が故に!私は、
世界中のDTMerの音が同じになる
ことを危惧している。

NIのkompleteとコントローラーで音を作り、Izotopeのneutronを始めとしたAI系のツールでミックスしてozoneでマスタリングする。

いくら使い方は千差万別、使い切れない程の豊富な内容と言えど、これで完結すると皆"同じ感じ"になるのは瞭然。
(近所のお馴染みのローソンの弁当を食べ続けると、昨日はオムライス今日は焼きそば…と全然違うもの食べてもどこか同じ味でうんざりするのと同じ現象。
NIとの統合はその隣の空き地に、セブンイレブンが開店するのと同じことかな。最初はめっちゃ選択肢増えたと思って嬉しいけどまたすぐにうんざりする。でも作るのも遠出するのも面倒だし、毎日のことだと選ぶのすらも面倒なのでいつもの。ということになる。)



ちなみに、その他の人気どころで言えば、エフェクトプラグインではFabfilter、The Glue、老舗waves。
ソフトシンセだと、sylenth1、serum、avenger、nexus、spectrasonicsシリーズ。
プロもこれらを使っている。
もちろん私も全部持っている。

まぁまだまだ優秀なソフトはたくさんあるし、無名なものも入れれば死ぬほど種類は豊富だけど、プロが使ってYouTubeに上がってシェアされる代表的なものは、こうやってさらっと挙げれる程しかない。それらの寡占的なソフトを世界中のクリエイターが、こぞって使えばどうしても似通って金太郎飴サウンドになる。

だからこそ!私が思う各人の差別化方法として、
変な機材を一個で良いから自分の環境にブッコむことを提案したい!
デジタルだけで完結せずアウトボードに、一回外に出すとソフトでは真似仕切れないその機材特有の倍音を獲得でき独自のサウンドができる。
(デジタルプラグインでも倍音を上手く付加するものも出てきているがこんな時代だからこそ、唯一無二の組み合わせで独自のサウンドを見つけて欲しいと願う。)
アウトボードじゃなくてもコントローラーやサンプラー、アナログシンセでもいい。
他人と被りにくいフィジカルな部分があると新鮮味がグッと増す。もしくはアナライザーでもいい。独特の見方で人と差をつけれるかもしれない。

Rockというジャンルは、ギター本体✖️アンプ✖️エフェクターと、自身で構築するエフェクトボードが無限にも思える組み合わせが可能であり、録音する場合でもDAWに音を入れる前からユニークさが形成されている。フィジカルな文化は廃れずデジタルと共存したハイブリッド進化しているように感じている。

もちろん、ソフトシンセもギター同様に各スロットに数多あるエフェクトプラグインを挿せばRockと同じように無限の結果が得られるわけだが、デジタルは取り扱いがしやすいために実験ハードルが低く、さらには配布や共有がしやすい。
既に"型"として多く出回っており発明とまで呼べる独創性が強調されるサウンドはあまり出てこない。
(往年のdaftpunkは凄かった。やることなすこと新鮮で革新的なサウンドをリリースした。その後だと色々あるが鮮烈だったのはskrillexのmassiveを使ったサウンドも新鮮な試みで世界中から評価を受けた)
これらのようなたまに出現する発明サウンドも誰しも2万円くらいのソフトを手に入れてYouTubeのハウツー動画見れば即座に同じ音が出せる時代なのだ。

ギターなどのアナログな歴史があるシーンでは、自身の音の追求が当たり前な文化である一方、pc完結のアーティストは海外プロが良い効果が得られた設定のYouTubeを見て皆それと同じ設定して1時間で目的達成し完了としてしまう。
ダンスミュージック系DTMerは真似た音で満足してる者が圧倒的に多い印象なのが残念です。

音楽というのは、一般リスナーが聴き心地が良いことは大前提として、その上に意外性を持ってくることがユーザーをドキッとさせ記憶に残るものなのだ。

もちろん世界初の取り組みというのは、広まらず評価すらされずに終わることが多い。
だが、それでも試行錯誤と実行は繰り返されるべきであり、金太郎飴みたいに他の人と同じ音を作る方が意味がないことに気づいた方がいい。
海外アーティストのサウンドを真似るだけでは現代の日本の音楽は評価されないだろう。
これは他のアートでも今やビジネスでも同じ。

もちろん奇を衒い過ぎても自己満が過ぎてもダメ!
きちんと狙った変化をつけることが重要。

AI任せは、ヒントはくれるし、近道を案内してくれることもあるけど、仕上げは自分でやるか、参考とするまでとするか、くらいに留めなくてはそれはアートではない。

もし今後ロボットがインターネット上での評価を踏まえて芸術を理解し、素晴らしい絵画を描いたとしても、絶賛されて価値が産まれるのは最初の数枚だけだろう。

我々人間は、量産品に価値は見出さない傾向にある。飽きがあるのだ。

日々の進化と新鮮さを人間にもたらすのは人間にしかできない。最新を人間が作り、その評価がレビュー記事となり、それを参照したAIが量産する。

それ以前に、同じツールの使い方をして他アーティストの模倣したサウンドでゴールして、どーだ!プロだろう!!と威張ってる奴らから名曲は生まれないと断言できる。

一生貧乏でもアーティストなら、一生逆張り!くらいの気持ちで常に新しさを目指して欲しい。
素晴らしいアイデアが投下されたら、導入すると同時にそれを発見できなかった自分に悔しさを感じるくらいじゃなくてはアーティストとは言えない。

素晴らしいツールや設定はもちろん取り入れれば良い。
ただし、その使い方は通過点として、調べて、模倣して、マスターして、その上で更なる自分流の使い方でサウンドを紡ぎ出して欲しい。
理解もせずサウンドデザイナーが作ったプリセットを買ってそれだけで曲を作る、、、多分その曲売れてないでしょ?

最近、80s〜90sあたりの邦楽のvinylが世界的に注目を浴びている。日本独特のガラパゴスサウンド
当時のお金があった日本の最高のスタジオで丁寧に役割分担され職人さながらの集中力と思考を凝らした日本のサウンド。

今のYouTubeが教えてくれて簡単に共有されているものではない真似不可能なサウンドが珍しく現代にとっては新鮮と感じる。

便利さと不合理性の狭間に記憶に残る面白さが産まれると思う者として、自分なりの変化は入れて欲しいと切に願う。


じゃあ、お前のサウンドはどんなもんよ?と言われれば、そうだね。今度聴かすよ!今度ね!今度w

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?