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第82話「機内サービステスト後半」

ジェームズ達第1グループの機内サービステストが始まった。

モックアップルームの隣の部屋に待機していた招待客と第2グループの6人はボーディングパスを持って搭乗口に並ぶ。招待客と言っても、彼らはキウイエアラインのエンジニアだから、同じ社内の人間だ。おそろいのブルーのつなぎ服を着ている。

搭乗が開始すると、第1グループの新人CA達は、お客様を搭乗券に書かれている座席まで素早く案内する。全員が無事に着席し終わると、離陸前の機内アナウンスが入った。

皆様、こんにちは。本日はキウイエアラインをご利用頂きまして誠にありがとうございます。出発に備え、お持ち込みの手荷物を座席の下か、頭上の棚の中におしまい下さい。又、シートベルトをしっかりとお締めになり、お倒しの座席の背とご使用中のテーブルは元の位置にお戻し下さい。

機内アナウンスは実物と同じ、インターフォン型のマイクを使用していて、音や雰囲気は実際の機内にいる時と余り変わらない。チーフ役のジェームスが発する言葉は、落ち着いてとても聞き取りやすい。シュミレーションと分かっていても、本当にフライトするのかな?と一瞬思ってしまう程、完成度は高かった。

33.機内アナウンス

引き続きジェームズがセーフティ・デモンストレーションの項目を読み上げると、残りの5人で減圧時の酸素マスクの説明や水中着陸時のライフジャケット、そして、非常口、禁煙の案内をミスなく案内した。

しばらくすると、シートベルト着用サインが消えて、ドリンクサービスが始まった。ドリンク担当のキャシーとアンディがテーブルにナプキンとつまみをバランス良くセットしながら、飲物のオーダーを取る

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アンディは24歳と乗務員の中では未だ若い方だが、ホテルマンを3年経験しているだけ会って、飲食のサービスはスゴク慣れているように見える。特にワインの扱いが上手で、スパークリングワインの栓を抜く際は、大きな音が出ないように栓が抜ける本の少し手前で寸止めし、そこからゆっくりボトルを回し、殆ど音が出ない状態で栓を抜く。

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750mlのワインボトルでサービスする場合、スパークリングワインなら一人、90ml前後を注ぐと、8杯取りが出来る。

「自分の担当するテーブル、円卓に8人のゲストがいる場合、1本のボトルで素早く、全員に注いでまわる時に感覚的に90mlが注げるようになる。」

これは、結婚式などのパーティで最初にシャンパンで乾杯する場合に宴会のサービス担当として出来て当たり前なんだと、自慢げに話していただけの事はあり、ワインサービスは非常に手慣れた感じでした。

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一方、グランドスタッフを4年経験してきたキャシーは、ドリンクサービスでの技術は特に目を見張るものはないが、屈託のない笑顔と一つ一つの動作が丁寧な点は見習う点が多いとカツヒロは思った。

続いてランチサービスが始まった。

メール担当のレイチェルとカオリが一人ひとり、お客様の希望メインコース尋ねて、フィッシュ又はビーフをプリセットされたトレイに載せる。そして、満面の笑顔と共に「Enjoy your meal」とトレイを渡してくれた。

32.エコノミークラスのミール

予め予想はしていたが、ビーフの方が人気が高く、最後の列の数人は希望の食事にはありつけなかった。

モックアップのゲストはキウイエアラインの関係者という事もあり、食事のチョイスの事で文句や嫌味などは言われなかったが、実際のフライトでは、希望のミールチョイスが出来なかったお客様へのケアはとても大事だとしっかり心に留めておく必要だ。

ジェームズ達、第1グループのパフォーマンスが全て終了しました。

最後に6人が一列に並び、お客様を見送りのをする際、殆どのゲスト役から
「とっても、良いサービスだったよ。」「今日は招待してくれてありがとう、楽しかったわ。」「フライト頑張ってね。」と、言ったポジティブなコメントをもらった。

・・・30分程のインターバルがあり、カツヒロ達、第2グループのモックアップサービスが始まりました。

ボーディング、セーフティデモンストレーションを無難に行った第2グループでしたが、メールサービスの時に2つのミスを犯してしまった。

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そのミスと言うのは、ギャレー担当のジャスティンが

①オーブンで温めて出す、ブレッドロールを少し温め過ぎてしまい、表面が焦げてしまったブレッドロールを5~6個作ってしまった事。

②スペシャルミールのオーダーで先に配るのを忘れてしまった事だった。

どちらも、致命的なミスと言うほどのものではなかったが、本番のフライトでは同じミスを起こさないようにしようと皆で確認しあった。

第2グループの模擬フライト便が仮想上の目的地に到着し、ゲスト達が飛行機を降機するのを6人で見送り終わる。

新人CA達12名はモックアップサービスをやり遂げた達成感と、緊張から解放された安ど感から、心地よい疲労感を感じつつ、いつもの教室に戻った。

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そこで、インストラクターのミッシェルからの今回の機内サービステストに関するにフィードバックをもらい、全員がサービス・パフォーマンステストに合格出来た。

カツヒロは思わず心の中で「ヤッターとガッツポーズ」をしたくなりましたが、明日のトレーニングフライト第2弾、メルボルン行きと明後日の午前中の講義が残っていると思い、喜ぶのは明後日までとっておこうと誓った。

つづく

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