第88話「（仮）最終話：CAデビュー」

カツヒロは迎えのタクシーに乗り、ピックアップポイントに向かった。

キウイエアラインの客室乗務員は、通常会社が用意した乗り合いジャンボタクシーでオークランド空港に向かう。理由はオークランド空港へはシャトルバス以外の公共の交通機関が無いからで、自家用車で通勤する事も可能だが、駐車代は本人もちになるから、たいていは会社が用意したタクシーを利用しているようだ。

尚、ピックアップポイントとは、同じ時間帯にフライトする乗務員が会社指定のジャンボタクシーに乗る為のポイントの事。CA達は自宅から最寄りのピックアップポイントまで自力で移動する。

乗務が日帰りのDutyなら、近くのショッピングモールに駐車しても大丈夫だけど、さすがに10日間の乗務となれば、レッカー移動されてしまう。カツヒロは自宅からタクシーを使ってピックアップポイントまで移動した。

カツヒロはジャンボタクシーが到着する約10分前にピックアップポイントのシェルのガソリンスタンドに到着し、スーツケースと機内持ち込みのキャリーバックをトランクら降ろしてもらい、スーツケースの上に腰かけた。

3分ぐらいすると、今回、一緒の乗務に当たっている先輩CA,レイチェルが旦那の車に送られてやって来た。レイチェルのIDを見ると社員番号が3万台だった。恐らく10年近くはフライトしている先輩のようだ。

カツヒロは明るい調子であいさつした。

「Hi, I’m Katsuhiko from Japan. I am a new comer and this is my first trip. Please teach me a lot.」

すると、レイチェルはあまり興味なさそうに、

「OK、you will be fine.」とだけ言って、携帯を取り出しイジリだした。

やがて、3人の先輩をの乗せたジャンボタクシーが到着し、レイチェル、カツヒロの順に乗り込みました。

・・・。

予定通りオークランド空港に着いた一行は、黄色と黒のちょっと目立つ荷札、通称クルータグに行き先の３レターと便名を書き、これから10日間を共にするスーツケースにとりつけた。

これがカツヒロにとって記念すべきクルータグの第一号。

それから、出発カウンターの最も右に位置するクルー用のチェックインカウンターにその荷物を預けてブリーフィングルームに向かった。先輩クルーの後を追いながら、制服姿でキャリーを引く姿は何処から見てもカツヒロがあこがれたフライトアテンダントそのものでした。

「今、この誇らしい姿を日本の両親に見せてあげれたら、きっとスゴクよろこんでくれるに違いない。」そう思いながら足取り軽く、ブリーフィングルームに到着した。

ブリーフィングが始まるまで、10分近く時間が有ったから先輩クルーに挨拶すると共に、会社から書類を受け取るキャビネットルームに行き、自分のフォルダーを開いた。中に1通の手紙があったので、早速、中味を開いたら
インストラクターのミッチェルからだった。

Dear Katsuhiro

Congratulation for first duty.

I know how much effort you have spent until now.

It must be very hard to become a flight attendant with a second language.

But you did it such a mission impossible.

Good luck!

この手紙に見入っていると隣にアメリアがやってきて「今日から10日間一緒ね。ファーストフライト頑張ろう！」と微笑んだ。

つづく。

※ストーリーはこの後も続きますが、現在、制作を休止しています。
つづく。

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