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第12話「語学スクールの仲間達」

語学学校の初日は、入学者のレベル分けテストからスタートする。

集合時間の午前9時になると本日、入学を迎える20名程の生徒達は1階のコミュニテイルームに集められた。この部屋はとても広くバレーボールコートが2面取れそうなぐらいだ。

6人掛けのテーブルが全部で10以上あり、一人用のカウンター席には楽に10人は座れる。ドリンク用とスナック用の自販機がそれぞれ1台ずつ設置されていた。

どうやら、この場所はICE (International College of English)に通う生徒だけでなく、同じビルでファッションについて学ぶの現地学生たちも利用する多目的スペースのようだった。在校生の一部が集まって楽しく談笑している姿が見受けられた。

グレーの髪で目が大きい、少し威厳のある女性がやって来た。

その人が校長のキャロライン先生だ。彼女は簡単な自己紹介と歓迎のあいさつを行い、合わせて今日一日の流れを教えてくれた。

どうやら、この後、筆記とスピーキングテストをやるようだ。その成績でクラス分けが確定し、テストが終わったら者から順に事務手続きする。仮の学生証がその場で発給さ、後日、写真を持参したら、それと合わせてラミネートしてくれる。学生証があると、映画館や交通機関で割引が受けられるそうだ。最後に12時になったら、この場所で学校側がランチを用意してくれて歓迎パーティが開かれるので、お楽しみにと言う事らしい。

学生ビザのカツヒロは、フルタイムコース。授業数は1日5時間、週5日組まれており、合計25時間の授業を受ける事になっている。他にパートタイムコースと言うのもある。こちらは1日3時間だけ、午前中で終了する。ワーキングホリディや観光ビザの生徒に人気があるそうだ。

英語テスト

カツヒロはlower intermediate classになった。レベルで言うと下から2番目のクラスになる。ICEでは全部で5つのクラスがあり、一番上がAdvance,次がUpper intermediate,真ん中に Intermediateがあり、一番下がElementaryだった。

ランチタイムになり歓迎パーティーが行われた。すると先日、ホームステイ先へ移動する送迎バスで一緒だった長身の女性と口ひげの男性を見つけた。カツヒロは嬉しくなって、二人に挨拶をした。

立食パーティー

彼女の名前は坂下マヤ、24歳で元OLだ。仕事に飽きたので1年間ワーキングホリデイをする予定だと言う事だった。

マヤは 黒のロングスカート履き、花柄のプリントシャツを着ている。その上にGジャン軽くはおり、足元は白のコンバースだった。顔は内田有紀に似ていて、色白でロングヘア―がスゴク似合っていた。足が本当にスラっと長くて、まるでモデルようだった。

カツヒロは一瞬ドッキとした。

理由は簡単でマヤがとてもかわいかったから。「また、一目ぼれしたかもしれない。」悪い癖だとカツヒロは思った。

・・・。

口ひげの男性はヨシオと言う名前。ヨシと呼んでくれと自己紹介された。ヨシば、3月に10年間務めた小学校の先生を退職した。そして、ずっと憧れを持っていたオーストラリアへ移住を決めたそうだ。日本に妻と小学2年生の息子がいる。「こちらの生活が落ち着いたら家族を呼ぶんだ。」と明るく笑った。

どうやら、ヨシは一つ上のIntermediate、マヤは一緒のクラスのようだ。

2人以外にも、日本人留学生が少なくても5人はいただろうか?結構、近くから日本語が聞こえて来た。英語を勉強するんだから、日本語ばかり話していたらダメなんだろうけど、言葉が通じる仲間が一緒の学校にいる事はありがたい。カツヒロは一通り日本人仲間に挨拶をした。

ICEで英語を学ぶ生徒は、殆どがアジア人だ。多いのは中国人、香港人、日本人、韓国人、インドネシア人。数は少ないがタイ人もいた。

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午後になり、カツヒロ達、新入生も既存クラスに合流した。生徒は全部で12名。日本人は5人だった。一つ年下のタカエは同じ千葉県の出身でこの春に高校を卒業したばかり、青森出身のミカは26歳で実家が酒屋さんをやっているそうだ。埼玉出身のカズは25歳、新卒で就職した会社を辞めてワーキングホリディをするそうだ。

クラスには少し年上の中国人の男性が2人いた。ソバージュヘアが独特のメルトンは30代前半ぐらいに見え、本当の職業は何か分からなかったけど、なんだか画家のような雰囲気だった。もう一人のマークは中華街に自分のレストランを経営しているそうで40そこそこに見えた。二人とも本当の名前ではなくEnglish nameと言う事だった。

もう一人、中国人の女性がいてウェンシーと名乗っていた。彼女はEnglish nameを使ってないようだ。レストランのウエイトレスをしていると言っていた。

韓国人のスーキャンは、24歳の新婚さん。ご主人がこのたび韓国からメルボルン駐在となり一緒にこの春にやって来た。もう一人の韓国人、ヒュンジョンは22歳。語学学校で英語力を身に着けた後、現地のモナシュ大学へ進学を希望してた。

インドネシア人のトレーシーとスワニーは2人とも27歳の女盛り。トレーシーは元々キャリアウーマンだったようで、仕事がバリバリ出来そうなタイプ。反対に、スワニーはおっとりタイプのように見えたが、元看護婦だったと言っていた。

担任はマギーこと、マーガレット先生。4人も子供がいるそうだが、とてもそう見えない。若くてエネルギッシュ、それからチャーミングな方だった。ショートカットで、耳に白い真珠のピアスをしている。授業中はたくさん笑い、その度に見せる真っ白な歯が印象的だった。

カツヒロは、初日の授業を無事終え、これから36週間を共にするICEを後にした。


つづく。



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