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第87話「いよいよ初フライトへ」

上村由紀恵、関根さとみとの焼肉ディナーを楽しんだ翌日、カツヒロはCAとして初めてのDutyに出る準備をしていた。

初フライトはB767-300型機でオークランド(AKL)~シドニー(SYD)
間をフライトする5時間の乗務。

KW105便のETD・予定出発時刻(Estimated time of departure)は14:00でシドニーのETA・予定到着時刻(Estimated time of arrival)は現地時刻で15:30、出発地のオークランドとは2時間の時差があるから、実質的なフライトタイムは3時間30分でスケジュールが組まれている。

anaブリーフィング

※ブリーフィングのイメージ写真(ANAさんのモノです)

キウイエアラインの場合、ETDの1時間前がブリーフィングの開始時刻で、
ETAの30分後までがDutyとして扱われる。従って、実際に飛行機が移動する3時間30分のフライトタイム+これらの1時間30分の合計、5時間がDutyタイムとなる。

明日のフライトはAKL~SYDのみだか、今回のツアーは長い。SYDに一泊した後、SYD~LAX(ロサンゼルス)2泊~LHR(ロンドン)2泊~LAX2泊~AKLと移動となり全部で10日間に及ぶ。

シドニー

カツヒロはトレーニング中に購入したサムソナイトの黒色のスーツケース
に着替え用のワイシャツ、靴下、下着、ジーンズ、スポーツシューズ、
冬物のジャケット等を詰め込んだ。

あー、いきなり10日間のツアーとは、結構きついよね。メールのチェックも出来ないから、帰って来たら何通ぐらいたまっているかな?でも、Dutyが長い分、帰ってきたら6日間のお休みがあるからその時、関根さんが働いているイタリアンレストランに行って見ようかな?

M4.カツヒロ

そんな思いにふけながら、1時間近くかけて荷物を詰め込んだ。

「やっぱり、落ち着かないな。今回は同期のスーザンが一緒だけど、怖い先輩とか、意地悪なチーフに当たらないといいよな。まあ、心配しても仕方ないか、本当に今まで成りたくて、成りたくて4年近くの歳月をかけて、30社以上のエアラインから不合格通知をもらっても諦めずに頑張って来んだから、明日のファーストフライト、そして、この10日間のロングDutyを
思い切り楽しんで来よう。」

カツヒロはエマージェンシードリルのマニュアルを、しっかりと1時間程、復習してから眠りについた。

翌朝、カツヒロはいつも通り6時に目が覚めた。

ブリーフィングのスタートが13時からだから、未だ7時間ある。とりあえず、顔を洗い、朝食を食べながらTVで朝のニュースを見る。それから、ノートパソコンを開き、メールのチェックをすると、東京のエアラインスクール時代の友人、森下からメールが届いていた。

「武藤さん、おめでとう。いよいよファーストフライトですね。ホント、スゴイな~。トレーニングって全て英語でしょ、それも日本人だけのクラスでなくて、ネイティブと一緒の手加減なしの5週間だったから、本当に大変だったと思います。私だったら、多分1週間持たないよ・・・。
まあ、その前に合格すら出来てないから、要らぬ心配ですが(笑)私も早く合格したいです。そんなわけで、武藤さんがいなくなった後も週に2日、
外資系エアラインコースで頑張ってます。来週、香港パシフィック航空で2次まで呼ばれたから、このチャンスをものにして、武藤さんの後に続きたいですよ。
今度、成田にフライトする時は是非連絡ください。吉原さんも武藤さんの制服姿を見たいと行っていたから、一緒にお茶をしながら、フライトやトレーニングのお話を聞かせてくださいね。」

森下と吉原は一緒に高田馬場のエアライン受験スクールで学んだ仲間で今もフライトアテンダントを目指している。森下は外資系生保会社で営業をしており、英語も堪能な28歳の女性。

一方、吉原は中学校の音楽の先生で、今年32歳でスクールには3年近く通っている。週に1度だけのレッスンだとしても、合計100回以上は授業を受けているわけで、3ヶ月だけしか通わなかった勝弘にしてみたら、そんなにたくさん通わなくても受験ノウハウは十分に身につくのでは?

と思っていましたが、本人が言うには辞めてしまうと、モチベーションが下がってしまうから合格するまで通うのだと言っていました。

カツヒロはメールの返事を出し、その後、Web版の新聞で日本のニュースをチェック、それが終わるとコーヒーを飲みながら、千葉県の両親に手紙を書いた。

「よし、折角手紙を出すのなら、いつものようにオークランドからでなくて、今晩ステイするシドニーから出そう。きっと、私が本当にフライトアテンダントになったて言う証明にもなるから、喜んでくれるかな?」

そう考えながら、ボールペンを握った。

・・・ふと、時計を見ると既に10時を過ぎていた。

「よーし、そろそろ準備するか。」

カツヒロはヒゲを剃り、洗顔を済ませた後に制服のワイシャツに袖を通した。ズボンを履き替え、ネクタイを締め終えると、気持ちが引き締まった。

良く制服を着ると仕事モードの気持ちがオンになり、反対に制服を脱ぐとオフモードになると言うのは本当だなと思った。

「さてと、食事の準備をしよう。」

今日のフライトは機内でクルーミールが出るが、食事が取れるのはオークランド時刻で16時近くになる。トーストを2枚焼き、1枚はバターとブルーベリージャム、もう一枚ははちみつをぬる。

クルーの仕事は体力勝負だから、更にスクランブルエッグ、ブレイクファーストバーを2本、そして、コーヒーとオレンジジュースとたくさん食べた。

それから、素早く食器を洗い、歯を磨きと髪の毛を整え出発の準備が全て整った。

「よっし。気合入れてくるか。」

そう言って、カツヒロは両手でほっぺたを、2度叩いた。

つづく。

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