第83話「トレーニングフライトフライトでメルボルンへ」

昨日、モックアップルームを使用して機内サービステストを終えたばかりのカツヒロ達、新人CA12名は2度目のトレーニングフライトに向かった。

今回はオークランドを午前8時40分に出発するメルボルン行きの往復乗務に同行する。空港には7時20分頃に到着し、ブリーフィングルームでチーフや先輩CA達に挨拶を済ませブリーフィングが始まるのを待った。

木曜日の朝一のオークランド発、メルボルン便の搭乗率は80％程度でメディカルケアが必要なお客様やUM(unaccompanied minors/保護者の同伴無しの12歳未満の子供)は特に無し。

スペシャルミールはヴィーガン（Vegan/採食主義の一つ、ビーガンは卵や乳製品を含む、動物性食品をいっさい口にしない「完全菜食主義者」）が5個とグルテンフリー（Gluten Free/小麦などに含まれるグルテンを摂取しない食事）が3個、それからチャイルドミール（Child Meal/2歳～11歳の子供向けの食事）が7個だった。

※チャイルドミールのイメージ画像

キウイエアラインのB747-400の機材はファーストクラス12席、ビジネスクラス56席、エコノミークラス324席のシート配分になっているが、ファーストクラスの12席はビジネスクラス扱いで販売されており、座席だけはファーストクラスだが、食事、飲み物ほかサービスはビジネスクラスと同様の物が使われる。

通常はビジネスクラスを利用されるお客様の中でも、マイレージプログラムの上級会員や営業上重要となるVIPを優先的にこの12席にアサインするが、この日はビジネスクラスの座席に余裕があり、特にケアが必要なVIPが搭乗していたかったので、クルーのレストとして使用して良い事に。

※ファーストクラスイメージ画像

今回のトレーニングフライトでは、エコノミクラスのギャレーのヘルプでホットミールの搭載やスペシャルミールを実際にお客様の座席に運んだりと、一昨日のブリスベンフライトより多くの業務に携わらせてもらえた。

又、行きのフライトでサラとジェーンが機内販売に挑戦しました。

「私、生まれて始めて機内販売をしたんだけど、ニュージーランドドルで代金をもらって、お釣りをオーストラリアドルにして頂戴って言われて、ちょっと戸惑ってしまったわ。」

「普通買い物といったら、同じ通貨でお釣りを出すのが基本だと思うけど、オーストラリアのお客さんにしてみれば、余ったニュージーランドドルを使い果たして、お釣りをオーストラリアドルで受け取りたい気持ちも理解できるけどね。」

一方、ジェーンも初めての機内販売で1,000ドル近くの販売を体験、先輩FAに手伝ってもらいながらも、上々の滑り出しでした。

・・・3時間40分のフライトを終え、1時間の休憩。

※B777-300型機のクルーレストの画像

ファーストクラスの12席は先輩クルーの中でも特にベテラン乗務員で、乗務歴が20年近くある者たちが昼寝をしたり、新聞を読んでいる。さすがにカツヒロ達、新人がそのスペースで休むのは勇気がいる？と言う雰囲気だったので、ビジネスクラスの一体で休息をとる事にした。

帰りのメルボルンーオークランド間のフライトは特に可もなく不可もなくと言った平凡なフライトでした。出張中のビジネスパーソンが多く、食事中以外は忙しく書類の整理をしたり、ノートパソコンで資料の作成に励んでいる。

前回のブリスベン線はレジャー帰りのお客様が多かったので、家族連れやグループ客が中心でしたが、路線や時間帯によって随分、お客様の傾向が異なるとカツヒロは思った。

無事にフライトを終え、オークランドに戻ってきた12人は、この3日間サービスの実務を経験した事で大分自信がつき始じめていた。

「皆、お疲れ様。体は大丈夫？しっかりとお水をたくさん飲んだと思うけど、まだ、体が慣れてないから疲れたと思うから、ゆっくり休んでね。」

税関検査を通り、空港の到着ロビーに集まった12人の前でトレーナーのミッシェルが言うと、全員が「はい。疲れました。」と答えた。

「前回よりはたくさん、お水飲めました。だけど、サービス中にトイレに行来たくなって、ちょっと困りましたよ。」

ジエームスが得意顔でそう言うと、皆が笑った。

しばらく、今日のフライト中のエピソードを皆で共有した後、最後にミッシェルから業務連絡があった。

「明日はいよいよ卒業式だから、記念写真を撮るの。だから、いつも以上にメイクアップに力を入れてね。それから、会社の上層部の偉い人も来るからお行儀良く。」

「はい、頑張ります。ミッシェルがいかにインストラクターとして有能だったかを、さりげなく伝えないとね。」

ケイトが冗談なのか、本気なのか分からない一言を言って、その場が解散となった。皆、充実感に満ちた笑顔で手を振って空港を後にした。

つづく。

【この物語を映画化やTVドラマ化したい】
そのために活動資金を募集しています。
5,000円で1回分、（「この記事は〇〇さんの提供です」のような感じで）ブログのスポンサーとしてお名前を掲載させていただきます。
※noteのサポート機能からでも開業資金の寄付を募集しています。
※合わせてTV局様や映画プロデューサー様、出版社様、マスメデイア様からの連絡もお待ちしております。
-----------------
【YouTubeチャンネル】
スチュワード物語とはちょっとだけ関係しますが、「現役CAユーチューバー　フミ」というチャンネルでCAネタやエアライン業界への就職ノウハウなどを発信しています。是非、こちらも応援よろしくお願いします。
https://www.youtube.com/channel/UCZNKMBiyO9u__fuL3pIGbXw
------------------
【依頼＆連絡先】
Facebook：https://www.facebook.com/no1.caconsultant
Twitter：@nz66614
・元ライザップイングリッシュで英語コーチをしていました。専門学校を含めると合計7年間、英語を教えていたので、英語のレッスン承ります。英語の勉強が続かない方のコーチング、サポートもします。
・国際線客室乗務員として50か国ぐらい旅して来た経験やフライト中の面白い話などが出来ます。講演会とかにもお呼び頂けましたら嬉しいです。
・Youtubeでコラボ動画を撮って頂ける方も募集中です。
・その他のなんでもご連絡お待ちしています。