Embraer(エンブラエル)について
初めまして。個人投資家の すいすい と言います。
最初の投稿は、じっちゃまこと広瀬隆雄さんのYoutubeでも言及のあったブラジルの中型航空機メーカー、Embraer(エンブラエル)を題材に、財務分析により、短期的な倒産可能性を評価してみたいと思います。
これから財務分析を勉強したい人、海外企業のIR資料を読むことに慣れていない人、コロナショック後の株価上昇を狙いたい人(リカバリープレイ)をイメージして書いています。
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<売上>
コロナショックを受け、売上にダメージがあるのは予想しやすいところかと思います。
2020年Q3売上は759百万ドル、前年同期比マイナス35%。2020年Q1~Q3売上の合計は1,930百万ドルは前年同期間比マイナス43%。
当期利益はコロナ前から赤字が続いていますが、一応、2020年Q2に底打ちしたようにみえます。
<当期利益(特別損益調整後)>
2020年Q3はマイナス148百万ドル。
<キャッシュフロー>
短期的な倒産可能性をみるうえで重要なのはフリーキャッシュフローになります。フリーキャッシュフローは営業キャッシュフロー+投資キャッシュフローで計算できます。プラスが大きいほど高評価となる数値です。
営業キャッシュフローはIR資料にチャートがありませんが、コロナの緊急事態を受け、投資キャッシュフローを絞っていることがわかります(2020年は2019年比で57%削減)。これはフリーキャッシュフローにはプラスに働きます。
投資キャッシュフローを削減する努力をしていますが、フリーキャッシュフローは2020年Q1~Q3まで赤字が続いています。
キャッシュフローが赤字ということは、いわゆる手元現金を燃やしながら営業している状態になります。増資や借金で資金調達をしないと手元現金が減っていきます。そして手元現金が運転資金や借金の返済ができなくなるレベルまで低下すると、倒産することになります。
では足元の手元現金(流動性)をみてみましょう。
<手元現金(流動性)>
グレー(直近期は青)の棒グラフが手元現金(Total Cash)ですが、2019年Q1以降、コロナショック前後でも変わらず概ね2百万ドルを維持しています。
フリーキャッシュフローの赤字が続いたのに現金が減っていないのは、借金をした※からです。
※グラフの下の青い丸がネット借入金(借入金から現金を引いたもの)
で、2019年Q4の0.61百万ドルを底に、2020年Q3の2.37百万ドルまで
借金が増えています。
<評価>
では短期的な倒産可能性はどうでしょうか。
借入金の90%が長期借入金、平均借入期間は4.5年となっています。またチャートに記載はありませんが、2020年9月末時点のバランスシート上の短期借入金(1年以内に返済しないといけない額。1年以内返済長期借入金を含む)は593百万ドルとなっています。これは手元現金の21億ドルに比べればすぐに流動性危機から倒産するレベルではありません。
<今後の動向>
当社製品は中型機であり、国際線よりも国内線中心の製品ラインアップ、受注済みの航空機の大半もアメリカの地域航空会社になります。
そこでアメリカの航空需要をみてみましょう。
当社の主力であるE175型機(青い線)の需要は回復しています。2020年Q3にも米アメリカン航空に5期のE157型機を納入しています。コロナショック中の受注キャンセルもありませんでした。
会社も2021年は回復の年と位置付け、成長は2022年からとしています。
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