見出し画像

ロケット打ち上げベンチャーAstraが合併承認直前のInvestor Dayイベントを開催

注目を集める宇宙ビジネス。SPAC上場する予定のAstraが、合併投票直前のInvestor Dayイベントを開催しました。執筆時点のTickerは”HOL”ですが、合併承認後は”ASTR”になる予定です。


Astraのビジネスは過去記事をご参照ください。今回はイベント後半のQ&Aセッションを中心にまとめてみることにします。

なお類似の質問は一つの回答にまとめており、実際のQ&Aと順番が前後することがあります。また私の聞き違い・理解が違う・和訳が間違っている等の場合は当然ながらオリジナル情報が正当です。その点予めご容赦頂きますようよろしくお願いいたします。

本記事は全編無料でお読みいただけます。
もし本記事に価値を感じてくださった方がおられましたら
投げ銭をいただけますとありがたいです。

Q1.同業他社との違いは?

Astraは、ビジネスのスケールアップに注力している。
宇宙への低コストアクセス実現が顧客価値の最大化につながると考えており、具体的には、ロケットの量産化、発射場を増やす、発射回数を増やす、ロケットは小さいままにしておく、ことに注力している。

また、とにかく早く動くことを大事にしている。
過去の打ち上げ時に顧客からもらったフィードバックや要望(コスト面、搭載可能量等)に迅速に対応することによってスケールアップができるはず。

Astraはテクノロジー会社。テクノロジー会社はどれだけ早く開発し、システムに組み込むかがポイント。

例えばAstraは2018/11の打ち上げ時に受けた顧客要望に対応するため、従来よりロケットサイズを2倍にし、早くも2020/12月には打ち上げることができた。
顧客からより早く学び、より多くのデータを集め、ビジネスに反映していくかが大事。

Q2.現状のテクノロジーは成熟したのか?商業化の前に何が必要か?

来年からは、毎月の頻度でロケットを打ち上げる計画としている。そのための次の大きなステップは「スケールアップ」と考えている。
スケールアップを通じてテクノロジーはより良いものになっていく。

Q3.Astraが提供するワンストップの打ち上げのベネフィットは?

Astraが一社通貫で打ち上げを担当することによるベネフィットは、打ち上げ全体のコストを下げられること。また打ち上げまでのスピードもはやくなる。複数の関係者の打ち上げプロジェクトだとコストも高くなり、動きも遅くなる。

Q4.衛星打ち上げ需要の成長には自信ある?

今後、衛星打ち上げの需要は等比級数的に増えていく。需要を大きく3つに分けて考えている。

第一に、すでに需要がある程度見込めるもの。連邦通信委員会(FCC)への届け出を通じて明らかになっている衛星群(Known constellation、アマゾンや政府などによるもの)があげられる。

第二に、今後3-5年間の間に更新を迎える衛星の打ち上げ需要がある。これはサステイナブルな需要。

第三に、これまでにない新たな需要を見込んでいる。具体的には気候変動関係(水面の高さを観測したり)、自動運転、全人類が高速インターネットにつながる世界の実現のため等の衛星打ち上げ需要増加を見込んでいる。

画像1

Q5.AstraのModule化、プラットフォーム化について説明して?


顧客に対して価値を迅速に提供するには、一社通貫で全てができるべきだと考えている。

顧客は打ち上げに関することは全てAstraに任せてもらい、顧客は顧客のビジネスに注力してほしい。例えば、特段意識せずに誰でもDellのPCやアップルのiphoneが使えているように、打ち上げもそのようなサービスにしたい。

Q6.BacklogやPipelineについて。Pipelineの$1.2Bは何?サービスレベニュー?

Pipelineの特徴は3点
第一に、2020年12月に衛星軌道への打ち上げが成功して以来、急速に膨らんでいる点
第二に、顧客の分散が効いている点(ブロードバンド、Iot、政府・・・etc)顧客とのより深い商談では、Astraの一社通貫のアプローチが評価されている点。
第三に、顧客とのより深い商談では、Astraの一社通貫のアプローチが評価されている点があげられる。

Backlogは打ち上げまでコミットした契約(comitted contract for committed launch)。Pipelineには意向表明書(LOI)、基本合意書(MOU)も含まれる。

~~以降、詳細説明している最中に、説明者の回線が切れ、回答がスキップされました~~

画像2


Q7.NASAの調査(2000~2016年)によると、小型衛星打ち上げ失敗率は6%だが、Astraの失敗率はどうか?


打ち上げへの信頼性を高めようとするとコスト増につながる。
大きなロケットで精密な衛星や、人間を宇宙に送る場合には、打ち上げの信頼性が必要で、結果コストが高くなる。

Astraの顧客は複数の衛星を打ち上げ、「衛星群(Constellation)」全体でサービスを提供する。衛星群を構成する1台の衛星の打ち上げ失敗は、顧客のサービスを大きく棄損するものではない。

例えばAmazonはデータセンターを構成するサーバー1台1台の稼働状況は開示していないし、顧客は気にする必要すらないのと同じ。

Astraは顧客価値にフォーカスしている。具体的には、Astraが目指すのはビジネスの様々なファクターを、世界規模で経済的に最適化すること。今後打ち上げ回数を増やしていった場合、結果としてAstraの打ち上げ失敗率が高くなるかもしれない、顧客のビジネスとして最適化されていれば良い。

もちろん、プライオリティーは安全性ファースト、顧客価値ファーストではある。

Q8.打ち上げ価格はRocket Labと比べて安くなるのか?


Astraは打ち上げシステム全体を大量生産・スケールアップへ対応できるように設計しており、内部の開発コスト削減につながっている。

結果、マーケットシェア獲得、キーとなる顧客とのつながりがBacklogとして実現している。

注文から発射まで、最短で5日間しか必要としないのも強み。
打ち上げを急ぎたい顧客に対しては価格競争力がある。

Q9.打ち上げのコストはkg当たりいくらか?


2025年までには、毎日の頻度で打ち上げる計画にしている。
ロケットの材料費や人件費等が$0.5m、打ち上げる衛星を500kgとすると、$1000/kgがAstraが負担するコスト。


契約価格は顧客による。例えば明日打ち上げてほしい、といった厳しい条件の契約だと高くなる仕組み。メガサイズの衛星群なら一回の打ち上げあたりの契約価格は割安にしようと思っている。

打ち上げ以外のサービス(Spacecraft、Space Satellitte、Space Port)はよりマージンが高くなるはず。

Q10.結局、打ち上げまでにいくらの費用がかかる?

打ち上げ場(Spaceport)自体は、フェンスを設置して、コンクリートを敷設し、当局から打ち上げライセンスを取得する程度なので、数千万から数億ドル程度。
加えてロケット製造費用も含める必要があるが、今は具体的数値はない。Astraのビジネスがスケールアップし量産化すれば製造費用は下がる。

Q11.打ち上げ失敗のコストは誰が負担する?保険でカバーされるのか?


Astraのロケットは低コスト、搭載する衛星も使い捨てのものであり、保険を必要としない。打ち上げが失敗したらAstraがロケットのバックアップを送るのみ。

Q12.FAAから打ち上げ場所のライセンスを取得するプロセスは?

打ち上げ場はコンクリートのパッドがあれば少人数で最短5日間で打ち上げできる。(政府のSpace portでは打ち上げまでに12カ月かかる)


打ち上げ場の選定条件は、環境が安全で、資材が運べる場所が理想的な場所で、ビジネス判断。場所選定にライセンスの要素はあまり関係がない。
だからこそ米国内や海外にすでに打ち上げ場を設置できている。

Q13.ロケットはなぜ金属性なの?より軽くて信頼性の高い複合素材もあると思うが。


まず、金属だからといって信頼性が低いと思っていない。
また、Q7で答えたことの繰り返しになるが、Astraが目指すのはビジネスの様々なファクターを、世界規模で経済的に最適化すること。最先端ロケットの技術を追求することではない。その視点で金属製のロケットを選んだ。


顧客は自分の衛星を打ち上げてもらうロケットがカーボン製だろうが金属性だろうが関係ない。
だれも自宅に宅急便を届けるくれるUPSのトラックがカーボンあるべき、と思っていない。

画像3


Q14.2021夏に商業打ち上げを開始する計画についてはどう考えているか?他社はもっと早くないか?


Astraのテストは順調。

Q15.打ち上げの需要超過はいつ解消するか?


顧客は大型ロケット一基で、一度に沢山の衛星を打ち上げて欲しいわけではない。供給面の制約解消には数年かかる。


<Investor Day>

https://astra.com/investors/

以上です。ここまでお目通しいただき、ありがとうございました。「にほんブログ村」ランキング参加中ですので、応援いただければなおありがたいです!


ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?