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4. 最終目的地

世界は広かった

   私はアメリカに育てられたと思っています。
   もちろん 両親を始め、日本で格別のお世話になった方は数え切れませんが、世界観というか、私が暮らした大阪 東京 札幌から、ある程度 想定していた「世の中の本当の大きさ」というものがとてつもなく小さな「井戸」であることを知らしめてくれたのがアメリカ合衆国でした。
   こう言うと「それはアメリカの国土が日本の何十倍も大きいからだろ?」と思われるでしょうが、アメリカ本土を体験した後、それよりはるかに小さなオアフ島※で、本土の何倍も大きな世界観を学んでいます。
    その土地の大きさは無関係ではないでしょうが、少なくとも「正比例」しているのではなさそうです。

※ オアフ島は東京23区と同じぐらいの大きさだそうです。

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「お先にどうぞ」

   ハワイで暮らすようになって大きく変わった点のひとつが「車の運転」です。 もう完璧に別人と化しました。 優雅と言うか、ゆとりの神運転で、1mmも焦ることがなくなりました。 自分だけでそう思い込んでいるのではなく、昔の私を熟知する友人が訪ハワイした時、私から言い出すのではなく、彼女の方から「まるで国賓を乗せているみたいね」と評してくれたのです。 

   その理由はいたってシンプル「私はもう最終目的地に着いている」からです。 もうホノルルに居るのだから 急ぐ必要はありません♪
   自宅から15分の友人宅へ車で向かうとしたら、 到着希望時刻の30以上前に発車して、法定速度を遵守するか、周りに車が居る場合はその全体の多数決速度で目的地を目指します。 周囲を注意深く見渡し、急いでいる人(車や歩行者)を見つけたら喜んで道を譲ります。 急いでいる人たちというのは、未だ最終目的地に着いていないので、私より絶対的な優先権があります。 その人たちには急がねばならない理由がありますが、私にはありません。 だから、心から譲ってあげたいです。
   譲りたくて運転しているので、当然 そのストレスは日本やアメリカ本土に居たころと比べて99%も激減しています。
   たった1%の(最大の)ストレスは、あいにく相手も譲り屋さんで、譲り合い合戦になってしまい、泣く泣く譲っていただく場合のみです。
   稀に、道が予想以上に混んでいたり、あるいはあまり譲り過ぎて、(ゆとりをもって出発したのに)予定時刻までに着かないかも知れないという事態が発生することもあります。
   でも、それを後悔はしませんし、遅刻しないようにスピードアップもしません。
   時間厳守という「シバリ」が私にはないのです♪ ※1

ハワイ時間 - Hawaiian Time

   ハワイの人々はたいへんお話し好きです。 またミュージシャンも多く、楽器を持ち寄ってセッション(合奏)する機会も多々あります。 (コロナの影響でパーティー等が制限されていて たいへん残念です)

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   ひとしきりセッションを楽しんが後、誰かが時計を見て、「ヘイ もうこんな時刻だぞ 急いで帰ろうぜ」と言い出したとします。 皆がそれぞれの楽器をいそいそと車に積み終えて、「じゃね」と解散するのかと思ったら、なんとその場で立ち話を始めるのです。 それは、時として1時間ぐらいに及んだりします。   最初は たまたま話が盛り上がったからかなと思いましたが、毎度まいど、まるで「セッション終了後は必ず立ち話をしなければならない」という法律でもあるかのごとく、みんな当たり前のように話し始めます。
   もう慣れっこになった私は、「確か君たちは『急いで帰ろうぜ』って言ったよね」とか思いながら、いつまでも談笑を見守るのでした ....

   ※1 噂に聞いた「ハワイ時間」ですが、「Urban Dictionary」という辞書 
https://www.urbandictionary.com/define.php?term=Hawaiian%20Time では、「Hawaiian Time」を以下のように説明しています。
   「Employing a Laissez-faire attitude towards matters of punctuality, referencing a commonly held perception of life in Hawaii being inherently relaxed.  "The boss when yell at me for being five minutes late. I told him relax, I stay on Hawaiian Time."」 (本来のリラックスしたハワイ生活を送れるよう、時間にはゆるい姿勢をとる   ボスが5分の遅刻を怒鳴ったら、私はリラックスして ハワイ時間ですと言う)


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ホノルルの(数少ない)弱点

   恥ずかしいことに、ホノルルのドライバーたちは運転マナーが異様に悪いです。 どれぐらい悪いかと言うと、日本ではダントツの自己中運転を誇る大阪ドライバーたちを余裕で凌駕しています。
   以下の全米ワースト10の常連たちをご覧ください。

運転マナー ワースト10 常連市
・ ニューヨーク (ニューヨーク)
・ ロサンゼルス (カリフォルニア)
・ ホノルル (ハワイ)
・ シカゴ (イリノイ)
・ ヒューストン (テキサス)
・ フィラデルフィア (ペンシルベニア)
・ フェニックス (アリゾナ)
・ サンアントニオ (テキサス)
・ サンディエゴ (カリフォルニア)
・ ダラス (テキサス)

   特筆すべきは、ホノルル以外の9市は、ニューヨークの800万人を筆頭に、どれも人口100万人超の大都市なのに、我らがホノルルは30万人ほどの小都市だということです。 (ちなみに大阪市の人口は260万人です)
   しかも他の街の悪漢ドライバーは運転技術は高くて乱暴な例が多いのに比べ、ホノルルのそれは運転技術が低い稚拙ドライバーか、または観光客でホノルルの道やルール※2 に慣れていない人々が大半を占めています。
   一方通行を堂々と逆走するとか、狭い道から いきなりバックで飛び出してくるとか、こちらが急ブレーキしなければ絶対に事故るという場面が頻出します。 その頻度は、半日もドライブすれば必ず1度や2度はそういう例を見てしまうぐらいです。

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   こういう人たちを相手に、「こっちが優先だぞ」と突っ張っても、事故れば痛いに決まっていますし、間違いなく結構なストレスなので、どう考えても、絶対に「お先にどうぞ大作戦」が一番ですね♪

※2 ご存知かも知れませんが、アメリカは州によって法律が(結構大胆に)違い、道路交通法も例外ではありません。 また、本土からの観光客で、地図やカーナビを凝視して、他の車や歩行者に気づかない迷走車はいたるところを徘徊しています。

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急いだって しょうがないでしょう?





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