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英語の発音が一瞬で上達する方法【母音編】

英語の発音はずっと悩みの種でした。大学時代に英語の先生から「カタカナ英語ねぇ」とダメだしされて以来、数々の発音矯正の参考書を読んで練習しました(「単語耳」とか、フォニックスとか)。だけれどどれも中途半端な知識はつくけれど、それが上達している実感は持てず…

それが、英語の音声学について学んだところ、一瞬でコツが分かりました!なぜこれまでの英語の先生達はこのことを教えてくれなかったのか!

まぁたまたま私の英語学習スタイルに合っていただけかもしれません。ですが、もし今現在、英語の発音の習得に悩んでる方のお役に立てると嬉しいので紹介します!

 まずはテスト問題!

【母音】次の単語を発音してみてください。

    1. hat (帽子)

    2. hut(小屋)

    3. hot (あつい)

 【子音】次の単語を発音してみてください。

   1. dream(夢)

   2. three(3)

   3. cars(車の複数形)

   4. cards(カードの複数形) 

 ネタばらし前にこの記事の前提と私の発音についての考え

そもそもの大前提として、英会話の発音の基礎は、「音節同士・単語同士リンキング」と「抑揚」、そして「ある程度のスピード」だと思っています。(リンキングとは"Not at all."が「ナタトー」みたいにつながるやつです。)私は基本的には日本語訛りの英語でもええじゃないか派ですが、英会話において「相手に通じやすい発音」にはこの3点が必須だと思っています。私自身、これらを身につけるためにシャドーウィングをひたすらして英文の感覚を磨きました。それでも、モデル音声と自分の発音が違う気がする、なんか発音がスムーズにできないな、と思っていた時に、この記事に書いた知識と出会って目から鱗がおちました。その意味では、今回の方法は英会話初級者よりは、中級者向けの内容になっているかと思います。

そして、私の英語の発音に対する基本的姿勢は「伝われば良い」です。世界的に見ると、英語を母語として話す人数より、第二言語・外国語として話す人数の方が上回っています。英語はもはや国際語(EIL; English as an International Language)です。ネイティブの発音にこだわる必要はないでしょう。上のテストでも、hatもhutもhotも同じ「ハット」と発音していても、やたらややこしい文脈でもない限り、会話の流れから相手には伝わると思うんです。

だけれどやはり、できるだけ正確に発音を心がける志向性は必要だと思っています。なぜなら自分の発音がまずい場合、理解しようと努力してくれるのは会話相手だから。相手の好意を当たり前と思うのではなく、自分からもより伝わりやすい英語を発信した方が、コミュニケーションが円滑に進むように感じます。

とは言っても、貴重な英語習得のための時間を発音矯正にばかり注ぎ込むことはもったいないですよね。そこで、この音声学の知識です!私にとって、本当に目からウロコでした。 

 

英語の発音が一瞬で上達する方法

次の2点を理解して意識するだけです!

・音が口の中のどこで作られているのか 

・唇の形と顎の位置 

基本知識さえ理解してしまえば、あとは英語を話すときにちょっと意識をするだけです。 というわけで、英語の母音を発音する際に意識するのは以下の図です。

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ややこしそうですよね。発音記号とかね。でも理解すれば簡単ですよ!

この上の逆さ台形、以下の絵のように口の中を表しています。(黄色の部分)

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それぞれの母音が口の中のどこで(前方・真ん中・後方)作られるかをなんとなく理解して意識すると、格段に発音が上達します。

 

口の前方で発音する母音 ① i ② ɛ ③ æ

では、どのように見るかを説明します。是非、実際に声に出してやってみてください。

まずは①②③。すべて、口の前の方(上下の前歯の裏あたり)を意識します。唇の形は横に「いー」と開きます。

① i

口を横に開いて「イ」。このとき顎は閉じています。上の前歯の裏あたりで音を出すイメージです。

② ɛ 

①の「イ」から、下顎を少し下げます。口は横に開いたまま。自然と「エ」の音がでます。

③ æ

例のアレです。「アとエの中間音」とか説明されるやつ。どうやって発音するのかイマイチわからなかったけど、簡単です。②の状態から、さに顎を下にカクッと落とします。顎関節症の私にはツライ。舌先は下の前歯の後ろらへんにそえます。その状態で、音をだしてみてください。それが「アとエの中間音」です。

 ①→②→③と続けて「いえあ〜」と発音してみてください。この3つの母音は、唇を横に開いて、口の前方で作られる音なんだ、とグループ分けして覚えます。忘れても大丈夫!口の形さえ覚えていれば、実際に音を出してみれば良いんです! 

 口の後方で発音する母音 ④ u ⑤ ɔ ⑥ ɒ

 続いて口の後方を意識する母音グループです。唇を丸め、喉の奥の方を意識します。先ほどと同じ要領で、顎を下におろしていきます。

④ u

唇を丸めて、上顎の真下あたりを意識して「ウ」と発音します。

⑤ ɔ

④と同じ唇のまま、少し下を意識して発音。「オ」の音になります。

⑥ ɒ

これがまた問題児です。「アとオの中間音」と習ったような。「どんな音!?」って感じですよね。だけどこれも簡単。⑤の状態から、顎をカクッと下に落とします。顎関節症の(ry。このとき、顎を目一杯下げると、発声したときに音の出る場所が、他の④⑤より若干前に行きます。つまり、「オ」音が「ア」音に近づくんです。これが「アとオの中間音」と呼ばれる理由。だけど日本語の「ア」と「オ」の発音と全然違う!

 口の真ん中で発音する母音 ⑦ ə ⑧ ʌ

さあ、ここまできたらあと一息です。というか、これは一番簡単。唇は軽く開いて、口の真ん中を意識して「ア」と声を出してみてください。これで⑦⑧は完了です!

違いは、アクセントがあるかないかと覚えておけば大丈夫だと思います。

⑦ ə

アクセントがない場合の弱い「ア」

⑧ ʌ

アクセントがある場合の、こもった音の「ア」。 

まとめ

以上のことを踏まえた上で、最初の母音テストの単語を発音してみてください。

1. hat (帽子)→ æ 口の前下方を意識して、顎をカクッと落として「あ」

2. hut(小屋)→ ʌ 口の真ん中を意識して「あ」

3. hot (あつい)→ ɒ 口の後方を意識して、顎をカクッと落として「あ」

口の中のどこで音を出すかを意識すると、簡単じゃないでしょうか?

私がこれまで参考にしていた数多の発音教材にも口の形は書いてありました。その通りに何度もやってみましたが、きちんと発音できている実感がいまいちもてませんでした。しかし、この音声学の知識を知り、口の中の音を出す位置を意識してみると、初めて自分の口から、カタカナ発音ではない「英語の発音」がしているのを感じました。意識するようになってからは、外国人の英語の先生から「母音の発音が良いね」と褒められ、とても嬉しかった。あと、自分が正確に発音できるようになると、リスニング力も格段に上がります!一つ一つの音がクリアに聞こえるようになりました。

というわけで、英語の発音に悩んでいる方は是非試してみてください。

意識するのは一瞬ですから!

【重要】この記事についての注意点

・母音には、他にも長母音や二重母音もあります。長母音・二重母音は日本人には比較的分かりやすいので、基本の母音のみとしました。

・本記事で使用した母音チャートは、内容を分かりやすくするために、それぞれの母音の位置を単純化しています。実際の音声学で使用されている母音チャートはもっと複雑で、繊細な配置となっています。

・英語の発音は国によっても、人種によっても、階層によっても変わります。今回はアメリカの標準的な英語を念頭においています。だけれど例えばイギリスでは、"hat"の"æ"も、"hot"の"ɒ"も、顎をカクッと下まで下ろすことなく、もっとあっさりと発音していたりします。

・こちらのYoutubeの動画も分かりやすいのでオススメです。



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